えっとね、なにが回転するかっていうとじゃね。

 

そりゃ、お寿司じゃろう!

 

ちくわは鉄火巻きがそれはそれはそれはそれは大好きで、マジ好きでやね、鉄火巻きとなら所帯を持ってもいいなと思うくらいなのでした。

なんだあの完璧なコラボレーション、フォルム、震えるほどのダイバーシティ感、寿司界の革命児、鉄火巻きこそキングオブキング! 至高の存在じゃあ! はあはあ(*´Д`)

そもそもあれは誰が考えてくれたのじゃろう。

カッパ巻き考えた人と同じなんだろうか、それともお新香巻きの人なのだろうかとか、いろいろと想像が膨らむのじゃったよ。

なんにしても「あんたはえらいっ!」(小松正夫?)

お寿司は本来回転したりはしないものなんだけど、今はもうぐるんぐるん回っている。

回らないものの方が好ましいには違いないけど、ちくわはもう回っていたってオーケーなのでした。

 

ああ、なんかお鉄火巻き愛がありすぎて、余計な出だしになっちゃってるけど、今回はお寿司には関係のない話なのじゃ。

(いや、やっぱりないこともないか)

 

弟が休みだというので、そんじゃあお昼にちょいとお寿司でも食べちゃおうかとじゃな、どこかの有閑マダムみたいにスシ〇ーに行ったの。

平日だったからそこまで混んでないよね、って思ってたんじゃけど、なんたるちやかんたるちや(そういうのいいから)、結構な人が待っておるじゃないですか。

ううむ、平日の昼に寿司など食おうと思うプチブル共めえ。(おまえもな)

仕方ないので番号札とってやね、待合のベンチによっこらしょと腰を下ろしたす。待合室じゃないけど、ここってそんなに広くはない、壁際にベンチが据えられてて、真ん中にもそれが一文字に置いてあるだけ、だいたいじゃけど30人座れるかなってとこなの。

その真ん中に腰かけたちくわは、なんやら視線を感じて目を上げました。

お母さんに抱っこされた、そうね二歳くらいの男の子がガン見していたのやね。目が合ったので「にぃ」って感じで笑ったら、ぷいっとされてしもうた。(ちくわはよくあるす、こういうこと。なので傷ついたりはしないの)

なので苦笑したんだけど(傷ついてるやん、おまえ)、坊や抱っこしてるお母さん見て仰け反りそうになった。

 

あのね、小説とかでは結構ベタでじゃね、よく使われる手法がありましょ? 他人の空似。

なんでもこの世の中に似た人は三人くらいいるんだよ、とかね、言うじゃな~~い。(ギター侍?)

まあね、そうかなって思う、そのくらいは居るよねって感覚的に思う。

でもさ、ですよ、こんなことあるかあー。

 

ここまで引っ張っていてじゃな、きわめて個人的な案件になっちゃって、大変申し訳ないのじゃけどね。実はその人が某大物女優さんにそっくりだったあー、とかじゃなくて、なんてことないちくわの同級生でやね。でもね当時好きだった(*ノωノ)山本さん(仮名)のそっくりというか、もうね「そのもの!」だったのこと。そ・の・も・のそ・の・も・の・ よ、そ・の・も・の・! 

口ぽかーんってなっちまったのじゃ( ゚д゚) 

 

賢そうな額、やや吊り上がった細い目、小さな鼻、綺麗な頬骨、しゅっとした顎の線。薄い唇。 く、く、く、くろーん! っていうくらいに似てましたよ。く、く、く、く、くろーーん!

思わず立ち上がって挨拶しそうになった。「久しぶり、ちくわです。お子さんですか? 可愛いですね」みたいな。

しやけど、そんなはずはない。

そんなはずはない。

そんなはずないやーーーーん! 目を覚ませ!おーーーい!起きろお!大変だぞーーー! パフパフッ!

理性が前方に回り込んでちくわを止めます。ええ、鳴り物入りでじゃ。

そうよ、そうだよ、ちくわの同級生いま幾つよ、なのじゃ。

こないだ書いたようにじゃね、ちくわはおっさんからジョブチェンジしたばかりじゃ、そんなら山本さんもそのくらいじゃないですか。

しかもやね、同窓会とかでおととしとか見てるじゃん、あんた。そやろ? ちゃんとジョブチェンジしてたやん。(失礼な)

な、ならば、娘さんか?

いやいやいやいや、娘さんたしか居たけど、ジョブチェンジ娘ならアラフォーじゃないすか、目の前の人もっと若いじゃろ。絶対に20代。

じゃ、じゃあ孫? お孫さん? アラフォーの娘さんの娘さん? しかし、そうだとするとすげえ若くして産まないと計算合わないなあ。

やさぐれて16で産んだ娘があんただよう、それがどうしたのさ、もう関係ないんだからね。 みたいのじゃないと合わない。

うーーうむ。

じゃ、じゃあ、もしかしてだけどー、もしかしてだけどー(どぶろっく?) あかのたにん? なのかな? そうかな?

いやいやいやいやいや、しかし、そんなに似るものかね。

 

ちくわがそんなで煩悶しておりますとね、さっきまでちくわをガン見していた小僧が、やはりちくわをじっと見てるではありませんか。

「我が母を無礼にも凝視しているそちは何奴じゃ」 そんな感じ(笑)

まあ、そうだな、お前の立場からしたらアヤシイ奴じゃろうな。すまん。しかし、仕方がない事情があるのだ小僧、決してこちらを指さしたり、泣いたりするでないぞ。いいかわかったな。

ちくわ、二歳幼児とメンチ切りしましたな。

 

ちょっとだけ訊いてみようかな、そう思わなくもなかったす。「失礼ですが、ちくわの同級生の山本さんのお身内の方ではありませんか? いえ、あまりにもそっくりでしたので」とかじゃな。けど、違っててもあれだし、果たしてそうだったにしてもあれだからなあ。(なんだ?)

そんなわけでちくわは自分の気持ちがさざ波っぱなしなのをおくびにも出さず、小生意気な幼児と睨み合うだけにしたのでした。

隣にお座りになっておられる、フィジー代表のラガーマンみたいな旦那さんが怖かったわけではありません。ええ、そうじゃないです。

ただ、胸の内にしまおうと考えたわけですじゃ。

 

やがて、番号が呼ばれ彼らは立ち上がりました。

ちくわは幼児に小さく手を振りましたが、きゃつはぷいっと顔を背けましたな。まあ、そうか(笑)

 

なんか中学時代の思い出がけっこう蘇りましたよ。そうそう、あんなことやこんなこと。いえ、いやらしいことじゃないです。

懐かしくて仕方なくなりました。

そう、想いが回転するのじゃな。どこのだれだか知らないお母さんにがんばってねってエール出ししたす。

 

今日は寿司の味とかしないんじゃないかな、そう思ったりしたんだけどね。胸が一杯じゃないですか。

けど、そうでもなかった(笑)

鉄火巻きだけで4皿食べたのでしたよ。おいしいなあこれ。誰が考えたんじゃろう。