my spring #014 (てちりさ)
今日は朝から雨が降っている。
ベッドの上で聞く雨音は、嫌いじゃないし、部屋の中は薄暗くて、起きることができない。
もう今日は、このまま寝続けよう。その時だった。まぶしいっ。携帯の明かりが灯って、私は飛び起きた。
待ち望んでいる彼女からの連絡。そう思ったのに、連絡の相手はミズキくんだった。
『今日の1限2限は、教授が体調不良で休校らしいよ。どっか、遊びに行かない?』
渇望していた私は携帯を伏せて、再びベッドに沈み込んだ。寝返りをうつと、未完成の友梨奈の絵が目に入る。
「だったら、少しの期待もさせないでよ。」
私はカーテンを開けて庭を一望すると、絵の前に座り筆を取った。
ハルジオン、タンポポ、ドクダミ。
季節のお花、いっぱい植えてあげるね。
友梨奈が望んでいたものを書き足した。
本当は彼女と背景を完成させてから、重ねて描こうと思ったが、それらは未完成の状態ままで、赤いソファーや、フローリングにお庭の花を植えて行く。
「あ、まずい。」
夢中になって描いていたら、時間は15時になっていた。友梨奈が私を待ってるかもしれない。寂しい思いをしているかもしれない。
私は、急いで図書館へ向かった。
今月のピックアップの棚には、昨日同様「クリムトと猫」が置いてあり、パラパラっとめくった。
手紙は、残っていた。
私は確信する。もう、彼女はここへは来ない。
手紙をポケットにつっこみ、回収した。