9割フィクション小説~Door Breaching~ #13~ | 横須賀どぶ板通り巡り人

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横須賀在住の主がどぶ板通りの飲み屋をメインにどぶ板の魅力を発信するサイド

散り際の葉桜は雪の様だ…


桜の木々を前に、前島は思った。


暖かい春の桜なのに


雪が降っているような感覚は不思議で少し心地いい。



人生初のインフルエンザを経験し


ほぼ、回復し、


明日の出勤を控え


なまり切った体と気分転換を兼ねて


前島は職場の同僚に教えてもらった桜スポットへ来ていた。



しかし、時期が遅すぎて見ごろとは


程遠い桜並木。


それでも、久々の外の空気を吸い込むと気分が良かった。


…しかし、23才の男子が一人花見とは

かなりシュールだ…



この土地にきて、友人と呼べる存在はおろか


知り合いさえいない。


なので、何をするにも1人なのは当たり前なのだが


1人では難しいシチュエーションも多々ある。


そんなことを思いながらも桜並木をゆっくり歩いていると…


「プァープァー!」


後方からのクラクションに


自分ではないと思いつつも、振り向いてしまう。



自分を通りすぎ、近くで止まった車の主は


真砂一郎だった。