38.8℃…
デジタル体温計を見てさらに熱が上がった気がする
こんな高熱は10年ぶり以上か
幸いに今日は休日
薬を飲んで、横になっていれば
下がるか不明なだが
寝ないよりはマシなはずだ
実家を出たのが
大学入学と同時だから
1人には慣れている
ただ、ここまでの熱だと起き上がる気力さえない
多分玄関までもキツイ
確か以前にいった」病院で
塩水を飲んでいれば1週間は人は死なないなどと
先生様が言っていたような…?
いや、しかしこの高熱はさすがに1週間は持つまい
仕事のことを考えても3日が限界だ
眠くなってきた…
薬なのか、熱でモウロウとしてきたのか
夢と熱の間で
懐かしい
変なことを思い出す
我が家は
風邪で熱が出ると
兄弟にうつらないように
隔離されて
豆電だけつけた部屋で看病された
そして
母親が自分のおでこの濡れタオルを
交換してくれる
これが1晩続く
大人になった今でも
病人になった気分で豆電は嫌いだ
ヤバイ…
こんなくだらないことを思い出す当り
熱で思考がタイムスリップした証拠だ
病は気から
とかいう事があるけど
本気で病で気力が尽き果てそうだ(意味違うけど)
ガチャ
バタン
誰か分からんが
空き巣なら
通帳は引き出しだ
最早、意味の分からない思考と無言で対応する
額に冷たい物が触れる
うっすら目を開けると
同居人の前田だった
そうだ、こいつ鍵…
というか、お前の家でもあったな
開けっ放しのカーテンから見える外は暗い
もう夜か…
前田は想像以上の高熱に
氷枕やらお粥やらバタバタしている
部屋には豆電球ではなく
サイドランプの優しい明かりがついていた
病は気から。
案外そうかもしれない