おおくらさん初主演舞台「蜘蛛女のキス」、全公演終了しました。
キャスト・スタッフの皆様お疲れ様でした!
 
ファンになって初めての主演舞台。
発表から公演終了までの数ヶ月、ドキドキとヒヤヒヤとワクワクに包まれた幸せな時間。
今まで舞台をやっていたメンバーの担当さんはこんな気持ちで過ごしていたのかと…!
 
それに加えていまおおくらさんにはラジオ生放送のレギュラー番組もあり、稽古期間からの様子を語ってくれたのも嬉しかった。
最初は「逃げ出したい」だなんて弱音を吐いてたりしていた人が、だんだん楽しくなってきた様子も伝わりましたよ(優くん上手に話を引き出してくれてありがとう)。
ただの1ファンの私だけど、なんだか一緒に駆け抜けたような気持ちになっていました。
 
私はお友達のおかげもあって、ありがたくも数回入ることが出来、本当に幸せな3週間を過ごさせていただきました。
少しだけ、この日々を自分なりに振り返りたいと思います。
 
 
なんといってもおおくらさんのヴァレンティン。
公演の序盤では、まだぎこちないかな?と思っていた仕草なんかは中盤では自然になり、終盤ではさりげない仕草がつけ加えられていたような気がします。
大きく劇的に変化があった訳ではないけれど、どんどん良くなっていってたと思います。
だからといって序盤のあたりが全然ダメだったとかではないんですよね。
これが舞台公演のいい所でもあるのですが、ちょっとづつ変化がありました。
 
例えば、元恋人マルタへの手紙をモリーナに口述筆記で書いてもらうシーン。
最初に見たときは、想いがつのってどんどん苦しくなっていったヴァレンティンという印象でしたが、最後に見たときは、マルタの体を思い出しているというくだりでヴァレンティンは笑顔(というよりニヤけていたと言った方が合ってるのか)だったんですよね。だけどもマルタの体に二度と触れられないどころか、衰弱していく自分に苛立ち絶望していく顔に変わるんです。
そこで私はあっ、こんな表情じゃなかった、と我に返って感じました。
 
もちろん序盤にしていた演技でも全然おかしくなかったんです。
だけどそうすることによって、ヴァレンティンのより「男」な部分が見えたんですよね。
これが演出の(鈴木)裕美さんからの指示なのか、おおくらさんが自分で考えたのか自然と沸き起こったお芝居なのかはわかりません。私が勝手にそう見えただけで、最初からそういう演技だったかもしれません。
何もかも私の目線で見たものでしかないし、映像がある訳ではないから私の記憶の中だけの印象です。
だけど何か“変化”を感じた瞬間でした。
 
 
ヴァレンティンとモリーナがお互いを軽く笑い合うシーンでも、おおくらさんがちょっと笑う回数を増やしてみたら、いっけいさんも同じくらいに増やしてみたり。
重い芝居の中で少し軽くなるシーンでも2人の掛け合いがよりコミカルな感じになっていたりとか。
加えたり削ったり、何もせずに繰り返すことも含めて、生のお芝居は積み重なっていくのだな、と改めて感じました。
 
 
ヴァレンティンの印象は、最初は本当に何を考えてるのか全然わからなくて感情移入が出来ない人だったのですが、回を重ねて見て言葉の端から感じられる苛立ちや孤独感や焦り、自分への情けなさからくるモリーナへの感情…。手に取るようにとはいかないけれど、少しづつ彼の心の動きに気付くことが出来た気がします。
 
 
それからやっぱり声。
おおくらさんの声はあまり抑揚がないと友達に言われてたんですよね。テレビや映画では声の強弱ってあまりわからないものだなと舞台を観てみるとそれがよくわかりました。
舞台上のおおくらさんの声は通るし滑舌もよかったので、ささやくような小さな声でも台詞はハッキリ聞こえるし、強弱の付け方でヴァレティンの虚勢を張った部分、反対に優しい部分や、弱い部分。それがわかりやすく耳に届いたんですよね。
この演じ分けは稽古のときから創り上げたのでしょうが、とっても良かったんです。
とにかくヴァレティンって喜怒哀楽が激しいんですよ。
演じていておおくらさんも疲れたと思います(笑)。
だけどそんなヴァレティンだったからこそ、いろんな演技が見られたんだなぁと思うとまたひとしお…。
 
 
いっけいさん演じるモリーナも回を重ねるごとに可愛くて愛おしくなっていきました。
ヴァレティンが心の動きが忙しそうなのに対して、モリーナは動作が多くて、とにかくよく動いていました。
その仕草一つ一つが女性らしい細やかな動きで、いっけいさんすごいなぁという以前に「モリーナかわゆ!!!」という気持ちが先に出ていましたね(笑)。
冷静に考えたら女性の格好をしたオッサンなのに(失礼)あんなに可愛らしく見せられるのはキャリアを持つ渡辺いっけいさんの力だからなんですよね。
 
最後までヴァレティンを想っての行動。慈愛と母性愛に満ちたまさにモリーナは「愛の人」。
モリーナの優しさ、絶望、覚悟そして愛。全てを背負って監房を出て行くモリーナの先に希望はないとわかっているのに希望を感じずにはいられないような美しさ。
その直後監房の重い扉が閉まると同時に絶望しかないことを思い返させられるラストシーンには涙が溢れて仕方ありませんでした。
 
 
 
「本日をもって、ヴァレンティンの中の人を皆様にお返しします。」
公演最終日、全てが終わって、モリーナの中の人がこう言ってくれました。
明日からはもうヴァレティンはいないのだ。
 
おおくらさんのヴァレティンといっけいさんのモリーナが居る世界はどこにもなくなっちゃったけど、私の心の中にはずっと残っています。
 
 
ヴァレティンとして舞台の上で生きていた3週間。
彼がヴァレティンという人物と、自分の演技と向き合っていた3週間。
その一部分としての同じ時間を共有できてよかった。
 
見たくても見られなかった人もたくさんいたと思います。
そんな人たちにはこれからの演技のお仕事で彼は返してくれるのであろうと思っています。期待して待ってて損はないと思います!
だけどここまで来て次につまらない芝居してたら怒るよ!って言ってやりたいです(笑)。
 
 
最後の挨拶でおおくらさんは、
「いっけいさんと裕美さんが、演劇を嫌いにならないよう、嫌いにならないよう気遣って引っ張って下さって、嫌いになるどころか大好きになりました。大倉忠義ではない違う誰かになって、またいつか皆様とお会いできますように」
と言ってくれました。
 
彼のことを好きになってから、きっとこの先無いであろうと思っていた舞台の仕事。
それが叶いました。しかもこんな素晴らしいものとなって。
その上「大好きになった」と言うくらいに。
 
そしていつか、おおくらさんが30代後半とか40代くらいになったときに、今度はモリーナを演じてほしいなぁと思いました。
それくらいたくさん経験を積んでいって欲しい。
 
 
最後の公演を見届けた後、作品そのものへの感動と、終わっていくことへの寂しさ、そこに立ち会えた喜び、おおくらさんの演技に満たされた想い…いろんな気持ちが入り交じってずっと泣いていました。
これがロスってやつか…。ロス半端ねぇな…。
 
対照的に最後のカーテンコールの時のおおくらさんのは涙もなく清々しく、やり切ったという表情をしていました。
後ろ向きで両手でガッツポーズをして舞台から去っていく姿も堂々としていてかっこよかった。
 
彼はいつでも前を向いている。
そういう人だから私は彼のことが好きなのだ。
私もいつまでも蜘蛛女ロスを引きずっていないで、また前を向いていかなければ。
 
 
だけど最後に一言だけ。
 
 
ヴァレティンを見せてくれてありがとう。
ヴァレティンでいてくれてありがとう。
 
 
本当に、お疲れ様でした。
 
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