前回の記事に書きました通り、「蜘蛛女のキス」の“当日券購入予約整理番号”が獲得できましたので日曜日のお昼の公演へ行ってまいりました。

 

ダメもとでかけてみた電話、受付時間の12時ちょうどから電話をかけて(ちなみにスマホで自宅の部屋からかけてました)、おなじみの「しばらくたってからおかけ直しください」のアナウンスを聞き続けること約10分。

突然の「ナビダイヤルでおつなぎします」のアナウンスに絶句。

 

それからお姉さんの声に切り替わり、日曜日の昼公演希望と伝え、様々な確認事項を伝えられ最後に整理番号を口頭で言われました。

そして思いのほか早い番号でビックリしました。

 

心臓がバクバクと音を立てるなか、急いで新幹線を予約。

(EX予約が出来るカードを数年前に作っておりました。これ本当に便利)

 

同じ日の朝にWSで舞台の様子を見たばかり。

それを明日私が自分の目で見られるなんて!

 

そして当日、集合は開演時間の1時間前(昼公演開演は13:30)には劇場へお越しください、と言われていましたがなんとなく早めに着いていたくて12時頃にはグローブ座に着きました。

 

 

約1年ぶりのグローブ座。(マクベスの感想書かないまま年月が経ってしまいすみません汗)

 

あの大きな看板、画像やお友達が送ってくれた写真で見たけれどやっぱり肉眼で見ると喜びもひとしお。

 

 

こちらもね。

 

同じように当日券の予約購入と思われる数名の人、開場時間待ちと思われる人多数、既に劇場入口にはおられました。

しばらくして劇場の係の方が当日券の人を案内、整理番号順にキッチリ並べ、1人1人の身分証明書をチェック。

12:25くらいにはほとんどの人のチェックを終えて、12:30から整理番号の早い人から窓口でチケット購入、という流れでした。

(この日は60番台くらいまで整理番号がありました)

 

私は1階のS席のチケットでした。

実は以前にグローブ座で関係者席で観劇させてもらったことがあるのですが、ほぼその列と変わらない感じでした。

当日来られるかもしれない関係者用に空けておいた席が流れたんじゃないかなぁと思います。

なのでそれなりにいいお席でした。ありがたい。

両隣は当日券の整理番号が前後の人でした。

 

そんな感じで、とても良い席に座れたのも何かの思し召しというか、愛の力というか(笑)、ただの幸運ではあるのでしょうが何か運命を感じてしまった次第です(重い)。

 

「蜘蛛女のキス」という作品について、調べたら映画版が公開されたのはおおくらさんが生まれた1985年でした。

そこにも何か繋がるものを感じずにはいられません。

その映画版を私はもう20年前くらいにリバイバル上映で観たんですよね。

当時の私はフランス映画とか単館映画館でのロードショー作品を観まくっていた頃でした。ぶっちゃけ、なにか気取ってましたね(笑)。

で、その頃に観ていたけどモリーナ役のウィリアム・ハートのことしか思い出せなくて、ストーリーもラストもどうなっていたかほとんど忘れていました。

なので、おおくらさんの舞台の初日にあわせてレンタルでDVDを借りて先に見たんです。

まぁ正直言うと「あっれー?こんなんだったっけ?」という感想です。人の記憶力の乏しさよ(笑)。

原作本も買ったのですが、私はとにかく本を読むのが遅いので、映画での予習くらいがちょうどよかったです。

 

 

そして13:30、遅れることなく開演。

 

 

真っ暗な中でいっけいさん演じるモリーナの語りだけで始まりました。

長い語りの中で言葉を挟むヴァレンティンの声に一瞬「うっ…」と言葉にならない言葉が喉の奥まで込み上げてきました。

 

「たっちょんの声や…」(私の心の声)

 

暗闇で続く2人の会話、そしてゆっくり2人の顔にあたるライトがだんだん明るくなっていきます。

完全に姿を現したとき、なんとも言えない気持ちになりました。

物語をちゃんと追いたい、台詞をちゃんと聞いていたい、なのに自分の感情が込み上がってくるのを押さえないとという気持ち。

しょうがないです、最初は。

静まりかえった客席と緊張感と共に私はだんだんと集中していけたと思います。

 

 

映画でも感じたのですが、政治犯ヴァレテンティンには全然感情移入できないんですよね。

時代背景とか、思想とかわかっていないのもあって。

モリーナは体は男性・心は女性なので自然と感情移入はしやすい。

だからこそ、いっけいさんのモリーナに寄り添って、ヴァレンティンが何を考えているのか知りたくなってしまう。

そういう目線で私はヴァレンティンを見ていました。

 

 

おおくらさんのヴァレンティン。序盤はまだぎこちない部分もあったけど、それは回を重ねているうちに変化していく部分だと思います。

まだモリーナには心を開いていないというのもあるけど、まだ“うまく演技をしようとしている大倉忠義”が垣間見えてたんですよね。

だけど物語が進むうちにそういう部分は気にならなくなっていきました。

そう思うと、映画やドラマと違って、物語にそって演技をする舞台の方が、おおくらさんの役者としてのいい部分が出るんじゃないかなぁと感じました。

 

 

映画版ではわからなかったけど、モリーナは40歳、ヴァレンティンは26歳なんですよね。

あの荒々しさや葛藤ゆえの苛立ちは若さゆえだから、と思うとなるほどなぁと納得できるものでした。

(映画には年齢を語る台詞はありませんでした)

だからこそ、言ってみればまだちょっと荒削りなところがあるおおくらさんはヴァレンティンに合っていたな、と。

 

いっけいさんのモリーナは、もう可愛くて愛おしくてね。

ヴァレンティンが心を開いていくのもわかります。

 

 

モリーナは自分の保釈と引換に、刑務所の所長からヴァレテンティンの仲間の情報を聞き出すスパイを任命されているんですよ。

だけどなんとか誤魔化しながら引き延ばすモリーナ。

これが切なくて切なくて…。

 

ヴァレンティンが恋人に宛てた手紙をモリーナに口述筆記をしてもらう場面。

最初はモリーナが書き取れるようにゆっくり話始めているのに、だんだんモリーナのことが見えなくなってきてどんどん早口になっていきます。

そして感情が高まってその手紙を破り捨てるヴァレンティン。

そのときのモリーナの表情も相まって、ちょっと私泣きそうになりました(まだ泣いていないw)。

 

そしてだんだん2人の距離は近づいていき、肉体でも結びつきます。

うまいこと見えないように演出されたベッドシーンがあります(笑)。

姿が見えないままヴァレンティンの喘ぎ声が聞こえてくるんですよ…これがいろいろ想像してしまってヤバイですww

(逆に映画ではぼやかしてあります)

でもここは大事なシーンなんですよね。

肉体の結びつきがあっての、作品のタイトルへと繋がるんです。

 

やがてモリーナは仮釈放され元の世界に戻ることが決まります。

ヴァレンティンは仲間への連絡をするという一握の望みをモリーナに託します。

だけどそれを拒否するモリーナ。

自分がもし疑いを掛けられて捕まったら絶対に話してしまう。

そうするとヴァレンティンはもっと酷い目に遭わされるのがわかっているから。

自分が話してしまう性格だとハッキリ言って断るのはモリーナの優しさ。

 

最後のお願いとモリーナがヴァレンティンに求めたのはキス。

セックスはしたけどキスはしていなかった2人。

拒むことなくモリーナにキスをするヴァレンティン。

 

そしてキスをされたモリーナはこう言います。

「仲間の電話番号を教えて」と…。

 

もう一度モリーナを抱き寄せて深いキスをするヴァレンティン。

 

…はい、ここで私の涙腺が決壊します(笑)。

 

そして荷物をまとめて出て行こうとするモリーナ。

と同時に照明が変わり、それまでの現実世界とは違う様子だとわかります。

モリーナが刑務所を出てからどうなったか。

モリーナについてはヴァレンティンが、ヴァレンティンについてはモリーナが語ります。

 

この場面が素晴らしくて素晴らしくて。

 

モリーナはヴァレンティンの仲間に連絡を取ってみたが警察に尾行され捕まりそうになるがヴァレンティンの仲間に射殺されてしまう。

しかしそれはもし捕まりそうになったら自分を殺してほしいとヴァレンティンの仲間に頼んでいたこと。

(これが映画ではどうしてモリーナは射殺されたのかわかりませんでしたが舞台ではその理由が台詞となっていてよかったです)

 

このモリーナのことを語るヴァレンティン、想いが込み上げてほとんど泣いていました。

瞳が潤み、声が震え、何度も言葉を詰まらせてながら語るヴァレンティン。

台詞に詰まったのではなく、ヴァレンティンとして、モリーナのことを想うからこそ詰まる言葉。これがあまりにもリアルでした。

 

…もうダメです。

私はここでボロッボロ涙を落としていました。

(いまもキーボードを叩きながら泣きそうになってます)

 

ヴァレンティンが愛していたのは元恋人のマルタだったけど、モリーナはヴァレンティンを心から愛してくれた人。

最後まで自分を守ってくれた人。

モリーナの最期を知らないはずのヴァレンティンの口から語るのは酷だけど、彼本人が語ることによって、最後にやっとモリーナへの気持ちが伝わってきました。

本当にとても、とても素敵な演出、そしておおくらさんの演技でした。

 

ヴァレンティンは決して口を割らないために酷い拷問を受け、刑務所内の病院に収容され、痛み止めのモルヒネを打たれため朦朧としている中で夢を見ます。

愛していたマルタと遠い島で幸せな時間を過ごしている夢。

 

ここでの2人の対話は、その後の天国での再会を意味しているような、別世界にいる2人でした。

 

それからまた現実世界に戻り、独房を出て行くモリーナと、見送るヴァレンティン。

 

そして閉幕しました。

 

 

カーテンコールに出てきたおおくらさんといっけいさん。

とてもいい表情をしていました。

お客さんも、キャーキャー騒ぐことなく、静かで暖かい拍手が送られていました。

 

2回目のカーテンコールでは最後にちょっとおおくらさんは手を振ってくれて、いつものたっちょんスマイルにホッとしました。

 

おおくらさんがかっこいいのはどうしようもない事実なんですが(←)、そういう部分ではなく、彼が芝居をしているところをじっくりたっぷり見られたのは本当に良かったと思います。

 

上の方にも書きましたが、物語と共に役として生きる舞台は彼に合っていると思うんです。

そして彼自身とても舞台を楽しんでいるようなので、またいつか舞台に立ってほしいと思います。

 

私は開幕から2日目の公演を見ることが出来ましたが、まだまだきっと回を重ねていくことで良くなっていくと思いました。

舞台はやっぱり経験だよなぁ…。

 

手紙の場面と、最後の場面では本当におおくらさんの演技にものすごく心を打たれてしまいました。

彼の演技を見てそんな風に思える日が来るなんてな…。

 

 

もっともっと言いたいこと感じたことを書きたいのですが、なにせ浮かんでくる言葉が陳腐すぎる。

この気持ちを表現できる言葉を見つけたいのに見つからなくてもどかしい。

 

だけどあの場所に立ち会えて本当に良かったです。

この幸運に感謝を。

 

そして公演はまだ始まったばかり。

さらなる進化と、公演の無事を祈ります。

 

 

~~余談~~

 

ヴァレンティンに自白をさせるために、薬を混ぜた食事が出され、知らずに食べたヴァレンティンが腹痛に襲われる場面がありました。

そこではきっと誰もが「腸閉塞のときもこんな様子で苦しんでいたのでは…」と思ったのではないでしょうか(笑)。

(しかしこのあと耐えきれずウ○コを漏らしてしまったヴァレンティンをモリーナが介抱する場面は映画も舞台も好き。愛があるから。)

 

以上、余談でしたー(笑)。