【ついでに】モンハン3ネタ:「オトモアイルー:僕の明日」 | AQUOSアニキの言いたい放題

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徒然なるままに俺自身のネタや、政治・社会ニュースへの辛口コメント、最近観た映画の感想とかを書き綴ります。

たまーにブログのデザイン変更とか自作ブログパーツを出したりします。「ムホホ~♪」

ちょっと遊びながら浮かんだネタです。今日の記事 とあわせて読んでもらえると嬉しいです。






「・・・というわけで、お前と一緒についていくオトモだ」


ご主人様に紹介された一匹のアイルー。僕なんかとは比べ物にならないくらい綺麗な毛並みと、つぶらな瞳。簡単に言うと、「めちゃカワイイ」。ハンターのオトモという過酷な仕事なんかワザワザやらなくてもモデルとかそんなんでも通用しそうなくらいだと思った。なのに、なんでこんなろくでなしハンターのオトモなんぞ好き好んでやるのか。

先輩オトモである僕から見ても、他のハンターのとこでやったほうがマシだろうに。






事の次第は、僕ことペパローニのご主人のハンターと、ユクモ村長さんとの雑談から始まる。かいつまんで話すと、ユクモ温泉の観光事業に関わってる、いわゆるスポンサーのところにいるアイルーを、ご主人のクエストにオトモとして参加させて欲しいとの依頼を受けたのだ。


スポンサーということはもちろん大金持ち。好き好んでハンターのオトモなんかやらなくたって一生、好きに遊んで過ごせるアイルーなのだ。息子同然に可愛がっているらしく、かわいい子には旅をさせろという意味合いで、ハンターのクエストに同行させることになった、というのが経緯らしい。


ご主人は「表向き」ユクモ村の英雄なので、信頼のおけるハンターとして同行させるハンターのご指名を受けたというわけにゃ。本当は裏ではオトモをコキ使って手柄をぶんどる外道ハンターにゃ。僕の装備だって、僕の兄弟に送る仕送りのお金を装備代と称してピンハネしやがったし。


・・・でもこれは僕にとってチャンスにゃ。このかわいいアイルーには悪いけど、ここでクエストを失敗させて、なおかつこの腐れハンターの正体を白日の下に晒すことが出来れば・・・僕は晴れて解放!別のハンターのオトモになれるにゃ!


オトモの世界は契約社会。ネコバァにハンターを代えたいって申し出たことがあるけど、雇われの身だから契約金を叩き返すか、クビにでもならないと無理とかぬかしやがったにゃ。僕の契約金は10万。クエストの報酬の大半はご主人がピンハネしやがるから、仕送り分を差し引いた僕の手取りはわずかにゃ。さらに装備代や笛代でも減るからさらに減るっていう有様。爪に火を灯すように少しずつお金を貯めて、契約解除するのが僕の今の目標にゃ!


その目標をすぐに達成できそうな機会が巡ってきた!そう、これはチャンスにゃ!

クエストを「あえて」失敗させることで、ご主人の信頼は失墜。次々と悪事の数々が明らかになれば、契約どころじゃない。僕はこっそりと肉球に力を入れたにゃ。


「ちなみに君、名前はなんていうにゃ?」

僕はフレンドリーな態度でオトモの相方の名前を聞くことにした。

「佐藤大介です」

・・・佐藤大介。コメントしづらい名前にゃ。なんでこう、僕の周りにはアイルーらしくない名前ばっかりが多いにゃ?とりあえず、「大介」と呼ぶことにするにゃ。


肝心のクエストの内容を確認する。上位なら、僕も「ワザと」忘れ物をしたり、どさくさにまぎれてご主人に爆弾をぶつけることとかも出来るにゃ!積年の恨みを晴らしてやるにゃ!


「渓流:ジャギィ10頭の討伐」


・・・なにこれ。めちゃくちゃ簡単にゃ。オトモいらにゃいじゃん。ご主人がこのクエストを選んだ理由を推理してみる。


「・・・見破ってやがる」


僕は小声でそうつぶやいた。僕の考えなんてお見通しらしい。

「おい」

ご主人が後ろから威嚇するように僕に声をかける。大介のほうにはにこやかな態度で応対するくせに、この豹変振りは何なのか。


ご主人は僕の肩を掴んで、ニコニコと笑いながら語りかける。


「いいか?クエスト失敗なんか仕掛けてみろ。お前の給料、生涯全カットだからな」

「ネコバァに訴えるぞこのヤロウ」

「お前・・・わかってねぇな、自分に置かれた状況って奴が」

そう言ってご主人は、懐から一枚のメモを取り出す。それはクエスト契約書だった。

でもそれは僕らがこれからやるクエストじゃない。全然別の・・・クエストだった。


ニャンタークエスト。アイルーだけが受けるオトモ専用のクエスト。


契約書に書かれたアイルーの名前は・・・僕の兄弟の名前だった。


「!!・・・てめぇ、どこまで腐ってやがる」

「わかってんだろうな?お前の兄弟が上位クエストの火山で失踪するか、または渓流で呑気にキノコ狩りで生きて帰れるか、お前次第だってこと」


僕は舌打ちして、コクリとうなづく。僕はこのとき、めでたくコイツに対して100回目の殺意を覚えた。


「ねぇ、出発まだー?」


少し離れたところで大介が、待ちくたびれた声で催促する。

「あ、はいはい!ただいま行きます!ほらペパローニ!準備は出来たか?」

「・・・準備出来てるにゃ」

僕はやる気の無いクエストに素っ気無い返事を返す。

ご主人は僕の後ろに足をまわして僕の尻尾を思いっきり踏みつけた。

「愛想よくしろよボケ」

痛みを堪えながら僕は表向き笑顔を出しながら必死に抵抗する。

「報酬倍額だからにゃ、外道ハンターが」




「ほらほらペパローニ、獲物を探しておいで」

普段と違った態度で指示を出すご主人。調子狂うにゃ。


ジャギィはそこらへんに居た。ご主人は愛想よく大介にこんがり魚を差し出しながら接待している。


「じゃあ、討伐しよー」

大介はボロいピッケルを取り出して殴りかかろうとする。・・・世間知らずにもほどがあるにゃ。


そんな素人の大介の攻撃など、普通ならジャギィでも簡単にかわしてしまうだろう。だからご主人は、あえて得物のボウガンを使わずに片手剣を振り回し、ジャギィを蹴飛ばして大介のボロピッケルに当たるように工作する。


・・・これくらいの器用さを普段から発揮すればいいのににゃ。


そうしてクエストは終了。なんも面白味もないクエストだったにゃ。


・・・と、そこで。


渓流の流れに大きな波紋が起こり、空気が乱れる。バタバタと鳥が逃げ出し、ガーグァもケルビも逃げ出していく。


ずしん、ずしん。


「・・・おい、なんでこんなとこにいるんだよ。情報にはまるで無かったぞ」


ご主人がそうつぶやいて、僕たち一人と二匹が見た視線の先には、ナルガクルガとジンオウガが木々をへし折りながら姿を現していた。



「やべぇなオイ。爆弾とか持ってるか?」

「もともとがしょっぱいクエストなんだから持ってるわけないにゃ」


そう言ってご主人は舌打ちする。ご主人も、大型モンスター討伐用のアイテムなど持ってきていないのだ。しょっぱい楽勝クエスト。お互いにそう思っていたのだ。


ご主人は大介に視線を送る。一匹ずつ仕留める作戦でなら、手持ちの装備でもなんとかなるだろう。だがここにいる大介には、指1本触れさせるわけにはいかない。


「とりあえず逃げるぞ」


僕たちはキャンプの位置まで目指して逃亡することになった。





「おい、どういうことだよこれは」

ご主人がそう毒づいたのは、姿を消したキャンプだった。通常ならそこには支給品やベッドがあり、アイテムの補充や体力の回復が出来るはずなのだが・・・それが無い。一切合財無かったのだ。


「ああ、やっぱり・・・」

そうぼそりと言葉を口にしたのは大介だった。


「どういうことにゃ、大介」

大介は重苦しそうな顔つきで僕たちに告白する。

「・・・見捨てられたんだ、僕」

「・・・つまり、ハメられたってわけか、俺らが」


村長や村の人間がこのことを周知していたとは考えにくい。だとすれば、大介のスポンサーが単独で画策したということになる。

あえて情報を伝えずに、ご主人が楽勝なクエストを契約することを見越した上で大型モンスターをその場所に放り込む。


必要な道具もほとんど用意してないのだから、そこで失踪すれば良し、脱出出来たとしても危険なところに我が子を放り込んだと非難すれば良し。どっちにしても気に入らないやり方だった。


「ご主人様が僕を見捨てたのはなんとなくわかってたんだ。新しいアイルーを見つけたからね。僕を都合よくお払い箱にするのに、ハンターにオトモさせるのが丁度良かったんだと思う」


大介はへたり込んでその場から動けなかった。しくしくと嗚咽を漏らしているのが聞こえてくる。


「おいペパローニ、わかってんだろーな」

「・・・僕がこういうときなんて言うかわかってるくせに」

「・・・そうか。あいつを置いてけぼりにして逃げるとかぬかすんじゃねぇだろうな」

「それはアンタの台詞だと思うにゃ」

「ボケ猫が。これだけ連れまわしてるのにまだ俺の性格がわかってねぇのか」

「ふん・・・」


「「気にいらねぇな(にゃ)」」


ご主人と僕は武器を取って、渓流のほうへと歩いていく。


「あの・・・二人とも、どうしたんですか?」

大介が目にしたのは、それまで接待でヘコヘコしていたハンターの姿ではなく、目の前の巨大な獲物を狙う、ギラついた目のハンターの姿だった。


もう猫をかぶる必要は無いと見て、ご主人は普段通りの態度を取る。


「今からあいつらぶったおしてくる。契約外だから報酬ゼロか」

「ちゃんと給料払えにゃ。時間外労働だからにゃ」

「半人前のクセにいっぱしの口利きやがって。ボケ猫が」


そう言って一人と一匹は巨獣たちの居る渓流へと駆けていく。

契約外ということは、倒された後のサポートが無いということだ。倒されたらその場でモンスターたちの餌になる。・・・がしかし、制限時間もない。つまり、アイテムを現地で調達さえすれば、どれだけ時間がかかろうが倒してしまえば良いということになる。


大介の元に二人が戻ってきたのは、それから明け方になってのことだった。




それから翌日。無事に帰還した一人と二匹は、ネコバァにオトモ雇用の契約を結んだ。

契約金は破格の20万。新メンバーは佐藤大介。口止め料、手切れ金込みの意味合いを持って、ご主人自らスポンサーの前に金を叩きつけた。


契約を結んだあと、僕たちはヘトヘトの体を自宅のベッドで仲良く寝転がった。