推理とは・・・沼のようなものだ。
脱出しよう、脱出しようともがき、疑心暗鬼につかまり、深くもぐってしまう。
なかなか抜け出せない。
時にぶら下がる手がかり(ヒント)という名のロープ。
掴み、ようやく脱出できるかと思ったら"犯人"のワナ。
あっさりハサミで切られ、また俺は落ちていく。
アリバイと言う名の迷路。矛盾という名の亀裂。
亀裂を打ち破ると、さらなる疑いという名の新たなる迷路。
この迷路の先には、犯人がいるのか?
それとも、犯人をかばっているだけなのか?それともそもそも関係がないのか?
そうして俺の夜は過ぎていく。
いつしか俺は沼を脱出する。
九死に一生を得たかのような、一筋の光明に照らされて、快感と喜びを得る。
そしてまた別の沼に行こうとする。
あれほど苦しんだくせに、また沼に行こうとするのか。
それほど思考の沼が好きなのか。
ならばよかろう。もっと深くへ進むがいい。
肩よりも、首よりも、そして頭すらも、沼に入り込むがいい。
呼吸も出来なくなるくらい、深く入り込み、諦めと挫折に遭いながら、
俺は沼から手を抜き出す。