早朝5時。
明け方から眠りが浅く、バウンサーでゆらゆらしたまま眠りについた息子が、静かに目を開けた。
私は昨日の出来事から心配が消えず、息子の服がこすれるカサっという音に敏感に反応し、飛び起きた。
息子はまだ眠そうにむにゃむにゃしている。
と思ったら、四肢がビクンッと跳ね上がり、腹筋をするような形で、急にぐーっと全身に力が入った。
目は左上を睨み付けている。
しばらく空けて、またぐーっと力が入る。
10秒おきくらいでそれを繰り返す。
『…おかしい。』
昨日よりずっと強いし目付きもおかしい。
私は枕元のデジカメをすかさず取り出す。
昨日散々調べて、動画が診断の決め手となるということを何度も目にしたからだ。
息子の動きは、だんだんとガクガクに変わっていった。
突っ張った左手と、顎がガクガク。
目は明らかにこちらの世界にはいない。
動画を撮りながら、耐えきれなくなって名前を呼ぶ。
早く、早く、戻ってきて!
怖くてたまらない。
5分ほどして、やっと泣き声が出た。
しばらくして、土曜日でまだ眠そうな旦那を起こし、動画を見せる。
…のそばから、息子のガクガクがまた始まる。
2時間たっていない。
今度は旦那も、実際に息子の動きを見て普通じゃないことを感じたようで、すぐに病院に行こう、という話になった。
自宅近くの病院は、かなり年期の入った古い病院で、実は1週間前にロタワクチンによる発熱で入院していた。
病院の設備も、入院時の対応もかなりひどく、二度とかかりたくないと話していた。
近くの病院では心配なので、車で四時間の、旦那の実家のある町の大きな病院に向かうことにした。
田舎の病院にかかっても、結局紹介状書かれて大きな病院に行くはめになるのだから、と。
行く前に義母に連絡するも、
『心配しすぎ、このあいだ入院したばかりでかわいそう、まだ2ヶ月なのに連れまわすなんて』
と乗り気じゃない様子だったが、旦那が説得してくれた。
向かう途中、いつもなら車に乗るとぐっすり寝てしまうのだが、この日は少し寝ては起き、ぐずぐずとよく泣いていた。
さらに途中、旦那が警察に捕まる。
速度オーバーだ。
待ってる車内で、息子はまたあの動き。
結局、旦那の実家に着くまでに、3回の発作。
目と首が、左にぐーっとよじれる動きも加わった。
旦那の実家に着くと、義母義父がそろって出迎えてくれた。
発作じゃない時には普通に見える息子に、
「ほら、なんともなさそうじゃない」
と安心した様子。
病院は月曜にしようか、なんて話しているうちに、また始まった。
やっぱりおかしい。明らかな痙攣ではないけど、普通じゃない。
すぐに救急病院に連れていこう、という話になった。