『始まり』 | はーたんタンタン

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生後2ヶ月で結節性硬化症、ウエスト症候群と診断された、はーたん。
脳腫瘍、右手のマヒ、てんかん、色々あります(^^;

そんな息子はーたんの成長の記録です。

朝起きると、息子の口が小刻みにカクカクとと震えていた。

目は一点を見つめ、宙を見てぼーっとしていた。


「痙攣!!」


とっさの私の言葉に、旦那も一瞬びくっとして息子を見る。

しかしすぐに、その予想外に“痙攣”らしからぬ動きに、


「これが?」

と返す。

確かに、痙攣のイメージは、白目を剥いてガクガクと震えるようなもっとダイナミックなものだ。

それに比べると、息子の動きはあまりに小さく、顎を震わすだけだ。
とても痙攣とは思えない。



しかし、私はつい一ヶ月前の実母の言葉を思い出していた。


息子が生後一ヶ月の時、時間にしてほんの2、3秒、同じように顎がガクガクガクと震える動きをしたのだ。

その時、重度の知的障害者の施設で働く母がこう言ったのだ。

「あ、痙攣。」


下顎の震えは、新生児にはたまにあることのようで、母もあまり気にはしていなかったが、
『へ~これも痙攣なのか』と、その時のことは印象に残っていた。





息子の“痙攣”は一分ほどで終わり、何事もなかった顔をして、また元気に動き出した。

私も旦那も安心し、きっと新生児特有の動きか何かが残っていたんだろうと、いつもの日常に戻っていった。




それから2~3時間後に、また異変は起きた。


電動メリーの下で機嫌よく遊んでいたはずの息子の動きがおかしい。


今度は顎の動きと共に、右手をぎゅっと曲げ、左手を拳のまま突き上げる。

左手が突っ張ったままプルプルと震え出す。

周期的に、ぐっと力が入り、ビクッビクッと身体を硬直させる。

顔の前に手をかざしても、反応はない。焦点の合わない目で、どこかをぼーっと見ている。


しばらく壊れた人形のような動きをしたのち、泣き声と共に意識が戻ってきたようだった。


私は手にびっしょりと汗をかき、ただただ息子の名前を呼んでいた。

この動きが“痙攣”なのか何なのかはわからなかったが、ドキドキと、嫌な予感だけが渦巻いていた。



その後少しぐずったが、しばらく抱っこしていると、また何でもない顔をして寝てしまった。

すやすやと眠る息子を横目に、私はケータイにかじりついた。

『痙攣』
『赤ちゃん 変な動き』
『下顎ガクガク』

いくつものキーワードを絞りだし、息子に似た症状を必死に探す。


その間にも、息子は2、3時間おきにおかしな動きを繰り返した。

心なしか、動きも強く長くなっている気がした。


病院にかかることを考えて、デジカメで動画を撮った。

手が震えていた。




数時間調べたのち、辿り着いたワードは、

『点頭てんかん・ウエスト症候群』
『結節性硬化症』

正直、聞いたこともない。
けど、一番近い。


産まれたときからある白いアザ。

眠りに関係して起こる発作。

乳児期早期の発症。

明らかな痙攣ではない、独特な動き。



そしてどちらにも書かれているのは“予後不良”の文字。


不安にかられながらも、まだ確信できない自分がいた。


おかしな動きはしても、合間はいたって普通に見える。

最近覚えたての左だけにやっと笑うニヒルな笑顔も見せてくれる。

おっぱいもいつもと同じようにごくごく飲んでいた。





夕方、旦那が帰宅。

動画を見せ、息子の話をするも、


「ん~、大丈夫だって。そんなたいしたことないと思うよ。」


とたしなめられる。


そう言われると、考えすぎな気もしてくる。気に病みすぎか。



息子は旦那にお風呂に入れてもらい、いつものように寝てしまった。


2、3時間おきの変な動きも、旦那帰宅後からはしなくなり、私は半信半疑のまま、息子と一緒に眠りについた。