melt away. | tiny-heaven

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背骨を真っ直ぐに打ち直したら

肋骨を帆にして

リズムを持った心を紡ごう


脚を鳴らして
胸を震わせて。





前向きすぎるんだと、投げ掛けられたそれが意外すぎて、わたしはその言葉に続ける。

全然前向きじゃないよ、寧ろ後ろ向きだ、と。


すると彼女は微笑って、それにまた続けた。


違うよ。自分自身に後ろ向きなだけで
相手にされることに対してはすごく前向きなんだよ。海だね、海。


彼女があんまりに気持ち良く、お前は海だと言い放つから
なんだかわたしも可笑しくなってしまって、しばらく彼女のように笑った。


多分逢うのはもう2年振り位なもので
だけど再会のその瞬間から、そんなタイムラグを感じさせない空気がそこにはあった。


乾杯と、お互いの近況報告。

散々だった恋愛話を、昔から彼女は
私の代わりに笑い飛ばしてくれていたけれど

今回もそれは例に漏れなくて。

だけども、いつになく真剣に
私の代わりに怒ってくれた。

そうやっていつも、
怒れない私の代わりに怒ってくれたんだよな、なんて

懐かしい想いをグラスにかき混ぜて唇を付けた。



大切なのは、過程じゃない。

結果だよ。


どんな日々があったとしても、
結果そんな終わり方なんだったら
何も意味がない。

それは相手をポジティブに思ってあげすぎなんだよ。


そう放った彼女の言葉は
そのままサクッと、私の胸に食い込んだ。



そうだよね、

そう思いたくないと、ずっと認めずにいたけれど
今ある現実がこの全てで、

最後に見て、感じたあれがきっと
本心で本性なんだろう。


美化した時間は、何の糧にもなりはしないし
何より。

私を想っていない言動は
当たり前だけれども、私には何も返ってこない。



サクッと刺さったそれは
私の胸にすーっと溶けた。

そしてその後に
わたしを想ってくれる人の言葉と優しさが、じんわりと広がっていく気がした。



同じ夜を過ごした翌日の夕方、
見送ってもらった駅前で見上げた空は

長い強い雨の後の夕暮れに彩られていて

その強いコントラストは
何処かへでも、ちゃんと歩いてゆけと背を押すようだった。




真っ直ぐなことを無下にする人間は嫌いだと、彼女の言ってくれた言葉に頭を持ち上げられて

また少し、見つめ直してみる。

誰かより先に、私自身のことを。






あれから


不思議なくらい、
よぎる回数が少なくなった。



在ったことは、無くならない。

感情も、記憶も、匂いも、涙も。



だけどそれらはもう、
これからの私を創るものじゃない。



私は役者にはなれないから
私自身を全うするだけだけど


私のすきな人たちが
そのままでいいんだと、

そういうところがすきなんだと、

そう言ってくれるところを

ちゃんとすきになってあげようと思う。





照明を落とした部屋の中で
自分の影をぼんやり眺めながら

落としてきた欠片を探すように
私自身の、心をみつめる時間は

非道く、穏やかだ。




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