トリミング業界のジレンマ | タンタンとパパの子犬の社会化ブログ

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実はみなさんが愛犬をトリミングしてもらっているペットサロンの業界は大きな問題を抱えています。

 

①料金を値上げできない

この数年かそれ以上トリミング業界のセット料金はほとんど上がっていません。

 

テクニックやセンスを評価して高くてもそこでお願いするという飼い主さんよりも、

少しでも安い方がいいという人が圧倒的に多いため値上げするとすぐに顧客が減ってしまうので、なかなか値上げができないのです。

 

ろくに日々ブラッシングもされていないわんこの毛玉を丁寧にほぐし、肛門腺を絞り、シャンプー&ドライしてそれぞれの個体を顧客の希望通りのスタイルにトリミングし耳の掃除をして爪を切り、迎えにきた飼い主の気に入らないところを調整する...

 

そんな大変な作業をたったの1万〜1万5千円(地方では1万円とれないところもあるでしょう)でやらなければいけないのですから。

 

②スタッフに技能に応じた給与が支払えない

料金の値上げがなかなかできないために、スタッフが何年か働いて技能がアップしてもそれに応じた賃金のアップがなかなかできません。

 

③仕事に慣れたスタッフがすぐ辞めてしまう

2〜3年働いて仕事を覚え、やっと任せられるようになったスタッフも、

賃金が頭打ちになるのでもっと給料の高い店に移動するか独立してしまいます。

 

そのため常に雇われスタッフはスクールを出たばかりの技術力も知識も低い者ばかりで、

深い知識や技能が受け継がれる前にいなくなるため業界全体のレベルが上がりません。

 

そして残ったチーフクラスの技術者の負担が増える一方になります。

 

④個人サロンが乱立する

仕事が増えてもスタッフを雇うと利益が上がらないため、

個人経営のサロンばかりが増えていきます。

 

新規オープンなので前の店の顧客を抜いて行くのは美容業界と同じです。

 

そして顧客獲得のため低料金でスタートするのでそのエリア内で価格競争が起きます。

 

既存の店舗はますます値上げが難しくなります。

 

⑤仕事は増えても利益が上がらず仕事が雑になる

 

とにかく個人サロンは仕事を増やして利益を上げるしかないので日々できる限りの仕事をこなしていかなければならず、新しい知識や技術の習得に時間が割けなくなります。

 

そして、心に余裕があれば絶対にやらないような判断ミスが起きやすくなり、事故や顧客とのトラブルも増えてくるようになります。

 

 

このようにペットサロン、トリミング業界は大きなジレンマを抱えており、

店舗維持拡大を図るためには送迎サービスや出張サービスなどを行ったり、超音波バスなどの高額な機器で差別化を図ったりと付加価値が必要になってきています。

 

それでもサロンだけでは生き残りが難しく、生体販売・ペットホテル・グッズ販売・動物病院などを併せ持った複合施設でないと生き残りが難しくなっているのが現状です。

 

そんな厳しい業界で店舗を存続させるためには精神的なタフさ、気の強さがなければやっていけませんから、中には決して自分のミスを認めなかったり嘘を言い張って頑として謝らない店もあるわけです。

 

 

本当はトリマーさんたちがもっと応用行動分析学とその知識に基づいたクリッカートレーニング、ハズバンダリートレーニングを学んで、グルーミングを嫌がる子をサロン好きな子に変貌させるような方針で他店との差別化を図ってくれるといいのですが...

 

 

 

料金は高くても遠方からも顧客が来てくれるようなサロンになるための工夫が今後生き延びるための鍵となると思います...

 

ちなみにそういうサロンは少しづつですが増えてきていますよ。