子犬の免罪符 | タンタンとパパの子犬の社会化ブログ

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基本的に犬の世界では、

生まれて6ヶ月齢くらいまでの子犬に対し、

どんな不躾(ぶしつけ)な行動をとっても、

しつこくじゃれついても成犬は本気で怒りません。

 

穏やかに見守って軽くたしなめる程度の対応をします。

 

生後半年くらいまでの子犬がこのように何をしても叱られない特権を

パピーライセンスと呼んでいます。

 

 

どうもこのライセンスは子犬が発する独特の匂いによるものらしいのですが...

 

大体6ヶ月齢をすぎ、身体も大きくなってくると

このパピーライセンスは有効期限が切れて、

それ以降はヤンチャな行動をするとオトナたちに厳しく叱られるようになります。

 

「こういうことをすると叱られるんだな」と学習して

子犬たちも成犬になっていくのです。

 

 

ごく稀に子犬の無礼な行動に対して本気で怒り、

うなって歯を立てる成犬もいるのですが、

そのような個体は社会化期に何か問題があって

充分な学習ができていなかったり、

ストレスや病気等でイライラしていたり、

先天的に感情をコントロールできなかったりという

特殊なケースが多いようです。

 

 

一般的には親犬や周りの成犬は子犬たちがやりすぎの争いや

成犬がどこまでやれば怒るのかを試すような行動をとった場合、

カーミングシグナルを出したり、

2頭の間に身体を入れて止めさせたり(インターセプト)、

それでも止めない時はお腹の下に押さえ込んだりして

穏やかにそれがよくない行動だと教えます。

 

こういう穏やかなオトナたちの行動を見て肌で感じて、

子犬たちには『基本的信頼感』が育まれ

『自己肯定感』が高まって感情が安定していきます。

 

 

にもかかわらず飼い主である人間は、

パピーライセンスを持った子犬が甘噛みしたり物を壊したりすると、

怒鳴ったり頭を叩いたり口にゲンコツを噛ませたりします...

 

『最初が肝心』と言って、散歩中にリードをグイグイ引いて

匂い嗅ぎを止めさせ、好きな方へ歩くことを痛みで制御しようとします。

 

 

これでは子犬の社会化に異常な影響を及ぼしても仕方がないと思いませんか?

 

(もちろん成犬になってもすべきではありませんが)

 

 

 

 

 

自分がそんな対応をされていたら、

成犬になっても子犬に対し穏やかに対処できなくなったり、

常に他の犬や人に対して攻撃的になったり、

警戒心が強くなって吠えが強化されたりする可能性もあるでしょう。

 

 

まずは異種族である人間と暮らしていくということは

自分にとって安心なことなんだと教えることこそが、

犬と暮らすに当たっての『最初が肝心』なのです。

 

昔の間違いだらけのしつけ書や、

いまだに古い認識で仕事をしている訓練士、

ろくに動物行動学を学んでもいない獣医師、

売るのに必死で何も分かっていないショップ店員など

新米飼い主さんを惑わせるワナが世の中にはたくさんあります。

 

 

どうか子犬を叩いたり強く叱ったりしないでください。

 

寂しがらせたまま放置したりしないでください。

 

子犬とは慈しむべき未来そのものなのですから…