犬同士がコミュニケーションをとる上で、
相手に自分の気持ちを伝えるボディランゲージについては既に何度かお話ししていますが、
初対面の犬同士が出会った時や、再会でも場所が変わったり、
ノーリードだったのがオンリードになったりと状況が変わった時に、
犬同士が出し合っている様々なシグナルを読み解くのは、
一般の飼い主さんにとっては至難の技です。
例えば下の動画は、タンタンが年上の雌犬小雪ちゃんに挨拶しに行く時の様子です。
皆さんはタンタンがいくつカーミングシグナルを出しているかわかりますか?
タンタンはまっすぐ近づかずに、斜めに近づいて行きます。
脇腹を見せて、敵意がないことを示していますね。
これをまっすぐ直線的に近づいて行ったら、かなりぶしつけになります。
あくびをし、丁寧に地面の匂いを嗅いで重ねて「あなたに敵意はありませんよ」と
伝えています。
尻尾は右方向にも左方向にも振られず、下げもしません。
特に怖がりもしていませんが、会えるのがとっても嬉しいわけでもなく、
興奮もしていません。
簡単な鼻と鼻の挨拶が終わった後も、左右にそっぽを向いて、
さらに敵意がないことをアピールしています。
小雪ちゃんは、軽く尻尾を振って自分も敵意はないよと伝えた後、
ブルっと身震いして緊張した気分を切り替えています。
実は小雪ちゃんはタンタンにあまり興味はなく、
儀礼的な挨拶もそこそこに私からおやつをもらいたいのです。
タンタンも表情に若干のストレスが感じられ、
パパに「お行儀よくご挨拶したでしょ? ご褒美ちょうだい」
って伝えています。
こんな風に説明した後、もう一度みると分かりやすいと思うのですが、
なかなかパッと見ただけで犬たちのボディ ランゲージを理解し、
その状況からどのような展開になるかを先読みするのは難しいものです。
少なくともこのDVDくらいは見たほうがいいです。
できれば3回以上...↓
以前、『犬同士挨拶させる必要ある?』でも動画でご覧いただきましたが、
個々のカーミングシグナルやストレスシグナルを見て推測していると、
突然意外な展開に変わることがありますので、
犬同士のコミュニケーションを見るときには、
部分部分のシグナルの意味を知るだけでなく、
広い視野で眺めて全体のムードを総合的に読み取る必要があります。
そこで必要になるのが『遠山の目付』(えんざんのめつけ)です...
日本の古武術(特に剣道)で重要視されるのが、
目付け(相対したときの目の付けどころ)で、
その中でも基本中の基本が遠山の目付です。
視点を一箇所に集中するのではなく、
遠い山を眺めるように全体としてとらえなさいという意味なのですが、
犬たちのボディー ランゲージを読み解くために特に大切なのが、
この視野の持ち方です。
これができないと、「お互いに尻尾を振っていたから大丈夫だと思って近づけたら喧嘩になった」とか、
「うちの犬は地面の匂いを嗅いでカーミングシグナルを出してたから安心していたら、相手の犬に突然噛まれた」などという状況を招いてしまうのです...
ドッグランなどで多頭の動きを観察するときも、遠山の目付は大切です。
より広い視野で眺めていないと、次の瞬間何が起きるかを予測できません。
犬のボディー ランゲージを勉強し個々のシグナルの持つ意味を理解してきたら、
次のステップとしてこの遠山の目付を心がけ、練習してみてください。
カーミングシグナルはトゥーリッド・ルーガス先生が体系化したものなので
この本が基本なのですが再販がずっと遅れていて現在中古が5000円以上で
販売されている状態です↓
英語が読める人はぜひこちらをお読みください↓
トゥーリッド・ルーガス先生が、
「犬の本を一冊だけ読むなら、この本を選んでください」と言つた本
電子書籍ですがよかったら読んでみてください↓