本舞台に義経、弁慶を残し幕が引かれる
太鼓と笛のみが幕外 花道の袂に
そして花道七三
長刀を携え、息を整える
この時、静寂が小屋を支配してる
静かに眼を閉じ
その時を待つ幸四郎さん知盛
藍隈をとっているとはいえ
この後の幕外引っ込みの
荒ぶる姿を思えば
別人のように静かに佇む
内にチカラを集中させているかのよう
(今回ここの表情が佇まいが印象的で
なぜかものすごく好きなのです)
そして附けと共に
幸四郎さんの「はっ」という掛け声
太鼓と笛の相乗
幸四郎@知盛はそこからまた
一気に怨霊と化し波間に浮き沈み
長刀を背負って渦巻きの花道引っ込み
源氏への無念を滾らせ
海の藻屑と消えゆく

知盛が鳥屋に引っ込んだ後も
暫く拍手は止みませんでした

20191017源平の雅1

いきなり大詰め幕外から
話を始めましたが
これが為に文楽劇場に足を運んだとて
後悔はありません

そして書き終わって知る
幸四郎さんと
藤舎呂悦さん、貴生さん親子の
心温まる素敵なエピソード
幸四郎さん5年ぶりの船弁慶が
一層すてきな思い出となりました
本当にありがとうございました
そしてオマケにクスッとエピソードも
ユニフォーム、こんな、日に(笑)ねぇ
藤舎貴生さんインスタ1
藤舎貴生さんインスタ2

いえ勿論、幕外だけではないですよ
都名所を舞う幸四郎さん静御前は
哀しさを秘めながらも嫋やかでいて
義経の行く末を案じ
愛しい人を思う気持ちが
奥底に静かに流れている
それを拝見していると
なんだか静御前の心を
共有しているような心もち
烏帽子がぽとり・・・
哀しいけれど何度観ても好きな場面

そもそもこれは
桓武天皇九代乃後胤
平知盛 幽霊なり
あら珍しや いかに義経
思いも寄らぬ 浦波乃

船弁慶、平知盛の霊
花道登場での第一声
ああやっぱり
幸四郎さんの腹の底からの
重低音が大好きな私、を実感

静御前と知盛、
静と動、人と怨霊、
善と悪(っていうのは少しニュアンス違うけど)、
相対する二つを同じ役者が演ずる
そのおもしろさを
改めて感じたりする秋の夜長

間狂言として藤間のご宗家、
菊之丞さん、狂言の茂山逸平さん
と新しい趣向 違う領域の方々が集う
中々拝見出来ない豪華なものとなりました

20191017源平の雅4

幸四郎さんの船弁慶、
亡き天王寺屋さん直伝なのです
今回その舞台に義経として
御子息 鷹之資さんが立つ
これも縁えにし、です
NHKでの富十郎さんと幸四郎さんの
お稽古風景が思い出されます

しかし長モノ扱う幸四郎さんは久しぶり
やっぱりカッコいいですよね
船弁慶、三響会など単発でも
結構されてるのですけど
本興業では
2004年の松竹座、2007年の歌舞伎座
2014年の博多座、それ以来ご無沙汰です
ぜひ本興行で拝見したいな

お昼の12:30から夜の19:30
昼夜通したので長丁場でしたけど
とても素敵な時間でした
ありがとうございました

20191017源平の雅2

20191017源平の雅3