夏休みの宿題の続きですアハハ‥

3部★盟三五大切
八衛門、源五兵衛、三五郎を経ての
再びの源五兵衛です
昨年、仁左衛門さん源五兵衛で
三五郎を勤める際(7月松竹座)に
『江戸のアウトローにスポットを当てた
鶴屋南北らしい この作品はとても好きで
新たな演出での上演を企んでいるところ
そこを見据えての三五郎・・・』
と当時おしゃっていて
今回、変えてこられましたね
なので五代目幸四郎由縁の
眉上のホクロもありません

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スタンダード版を9年前のものと仮定すると
丸窓五人斬りと、小万殺しからの
花道引っ込みを、大きくかえられてました
受取る側の感性の違いであって
なにが正解ってのはなけれど
今回試みた演出に私は好意的

愛染院門前(庵室)の場で
小万の首がカッと目クチを見開く
いかにも南北って演出ですが
それと同じような効果を狙ったのが
今回の五人斬りなのかもしれず、なんて
斬られた首なし胴体が倒れ込むの
ギョッとしませんでした?ゾンビ感もあったし
鈴ヶ森の、斬られた手足が飛ぶ的なのもあり
米吉さん菊野が斬られ飛び散る血飛沫が
漫画の吹き出しの如く衝立に現われ
劇画チックだなあと それも含め
南北作品の持つスプラッタ感、
シュールさが増した感じ
グロテスクとシュールが混在してもいいんじゃね?
だから今回思うの(恐れずに言うと)
五人斬りで笑う、小万の首で笑う
挙句の果ては三五郎のあの世へ門出で笑う
(←まあここは流石にどうかと思うけど)
そういう受け手の方たちを
全否定出来なくない?ってね
この辺りに関して否なるコメント頂いても
お返事いたしかねますご容赦(汗)三つ指ごあいさつ

演者違いで何度か拝見の小万殺し
残虐な殺しを以て様式美を確立させる
歌舞伎ならではの すてきに素敵
な 殺しの美学 ってやつですが
今回、小万殺しにエロ感(←言い方っsweat*)
感じた方いません?
これ七之助さん&幸四郎さんだから?
エロというか、艶、かな
ここで今まであまり強く感じたことなかったから
なのでこういうとこも、今回ならではなのかな

幸四郎さんの源五兵衛は
初役の時より小万への惚れた感が
表に出てたと思うの
七之助さん小万の 人を惑わす色香、
けど、根っ子には三五郎が感じられて
決して源五兵衛ではないのね
(←ざんね~んって違うッ(笑)sweat*)
だからこそ、裏切られた時の怒りマックスで
あの残忍さに繋がってくんですけど

小万の首を懐に入れての引っ込みは
首への思い入れが意外とアッサリ
←解釈が今までと違ってるのよね?
花道七三で愛おしさからの優し気な眼差し
を見せる訳でなく(←私としては戸惑いどころで)
これだと、わざわざ首落とし持ち帰る
のが違和感で殺すだけでいいよねってなるし
その替わりじゃないけれど、ふっと闇に落ちた
もうひとりの源五兵衛のニヤりが見えたりして
ここで不思議にかつて感じたことのない
忠臣蔵の討入りが浮かんできたんだな

小万殺しのあと長屋を出る時
雨が降り始め番傘、になるわけですが
雨が強くなり、かなり大きな雨音
その中での、先ほど書いた七三
花道を歩むにつれ鳥屋からの照明で
番傘源五兵衛が舞台側にゆらゆら影を落とす
雨音が激しさを増し光が強くなり
影が大きく濃くなることで
逆に回りの静寂が浮かび上がって
源五兵衛が暗く深いところに
墜ちてるのを生々しく感じ
その様は不気味でした

すっぽん横で拝見した時
鳥屋からの強烈な光を受け
それに向かって吸い込まれていく
光がなければ本来見えるはずのない
番傘越しに透けて見える
源五兵衛の背中は虚無感で
これを体感できる席って花横前方ならでは
席によって この演出の感じ方は違うかも

え~っと色々書きましたが、やはり
変えられた箇所に注目しちゃいます
のでそこ中心に覚書としましたが
何年後になるかはわかりませんが
次回、はあると思うので
その時に、どうされるどうなるか、です
これらとは別次元で幸四郎さんが
カッコいいことには違いありません
←そこかっ(笑)
さらに、すっぽん横で拝見した時
源五兵衛が横を通る度に
ふんわりと白粉の、いい匂いがしたの るん
香水ではないと思うの テヘうっとり

ストーリーを知った上で
何度となく観た盟三五大切だけど
源五兵衛、三五郎、小万、それぞれ
忠義としては許される?
(いや、やっぱり許されない)けど
それ人としてはどうなのよ、っていうね
でも皆、本質的に悪い人じゃなく因果は廻るです
今回、忠義という名の百両
に振り回される人間の滑稽さ
忠臣蔵外伝って感じさせられる部分
それらが私の中ですごく浮き彫りになってて
なんなんだろうな この感じ

長々と遅蒔きながらの夏休みの宿題に
お付き合い頂きありがとうございました