三千歳!!!

(直はん!)

もうこの世じゃぁ あわれねぇぞ

201601直侍


この言葉が切な過ぎて
何度思いかえしても
胸がきゅうっとします なみだ泡
あえない、から切ないのではなく
(←勿論それも切なくなるけれど)
あわねぇ、という気持ちが
痛いほどに伝わるからとても切ない


たとえこれから直はんが
どんなお仕置き受けようとも
死骸は私が引きとって
千住へ葬り墓を建て
比翼塚の昔にならい
長く浮名を残しますのさ
  ※今回この台詞はありません
  (場面が違いますから)

宝國信士 四十年
 俗名直侍事 直
  天保三辰年 十一月廿三日


三千歳さんではなけれども
直はん最期の小塚原
冬空のもと手を合わせる

いえ、芝居の中の直はんですけれど
なんだかオーバーラップというか
いや、お二人とも
実在の人物なんですけれどね
けれど リアル、というのとは違うの
染五郎さんの直郎が、
芝雀さんの三千歳が、
互いにものすごく心の通った、
目の前の 今、を
生きてるかのような錯覚
それくらい私には自然だったのかも

そんな直侍と三千歳の
雪の日の逢瀬と別れ
清元がしっとり流れる中でも
静寂が濃密にも切なさにもなる

多くを語るよりも
ただただ切なくなるばかりで
そんなだからか
直次郎さんが眠るとされる地※で
手を合わせたくなったのかもしれません
 ※小塚原刑場跡/南千住回向院


前回(平成17)染五郎さん初役では
河内山との通し上演
「天衣粉上野初花」でしたので
雪の中 捕方から直次郎は逃れていけど
三千歳!!!
・・・もうこの世じゃぁあわれねぇぞ
の展開とは若干違っていて
(河内山が出てきますら)
この台詞もなく、でしたので
染五郎@直侍で
やっと、やっと、
耳に、目にすることが叶いました うれしい泡

いやぁそれにしても
なんなんざんしょ(笑)
前半/蕎麦屋での 染五郎@直侍の
何をするにも あの色気
頬かむりのお頭(おつむ)のてっぺんから
手先指先つま先まで
酒を煽る、蕎麦を啜る、
手紙を書く、雪道を歩く、
一連の所作は段取りだらけのはずなのに
全くそうは見せないから凄いやね
流れるような、とはこれまさに
いちいち、かっこいいんだわ はぁとv
そりゃ女郎も気病みになるってもの

特に好きなのは
(←たくさんあるけど強いて言えば)
手紙を書く段になっての
衝立越しに筆と墨を貸してくれと
頬かむりの手拭い噛んでの身振り手振り
言葉を発しないように
手拭いの端を猿ぐつわ的に噛む、
なんと色っぽいことよなぁ 顔 うっとり
襟元に刺した楊枝を噛みほぐし
筆の代わりにさらさらと、も
なぜだかドキドキときめいてしまう(笑)

あぁそれと猪口の酒に浮いた埃を
チッ、と思いながら取り除く仕草も好きよ(笑)
もう言い出したらキリがないってば

染五郎さんの演ずる
御家人崩れの小悪党っていうのが
陰を落としていて、いいのですよ
これは今に始まったことではないけれど
いまさらながら、あらためて、
そう感じます

この演目に関しては
直次郎役者が脚を晒す、のは
大前提ではありますけれど(笑)こらこらっ
やっぱり程よい筋肉の
素晴らしき おみ足は
何度拝見しても よろしおすなぁ
(←何故か京言葉) キャー

あっ忘れちゃいけない股火鉢(笑)
決して下品にならずに
さらっとクスッと笑いを誘うのは
お・上・手・です うふっ


後半/大口寮では
やさしさと切なさ
そして やりきれなさ・・・汗
先にも書きましたが
芝雀さんの三千歳と染五郎さんの直侍
とても気持ちが通じあってる
言葉は無くとも互いの気持ちが
見えるようで

三千歳が直次郎の胸にいる時
所在無げに何気に
直はんの脚に手を添えますが
その手に(気持ちも)そっと重ねる直次郎
・・・いやぁもうたまりません
と同時にとっても刹那

三千歳からの煙管のやりとり、
簪での髪梳き、
愛おしい人への思いの数々
花魁である前に
ひとりのかわいい女性です

染五郎@直はんが何度か三千歳を
引き寄せる、抱き寄せる
そのとあるところで切なすぎて
泪がこぼれそうに・・・泡
(いえ泣きましたけど)

そして冒頭の
三千歳!!! へ繋がるのです


ああ~なんだかまだ
書き忘れてることきっとある
思い出したら知らないうちに
書き加えてるかもしれません
悪しからず~、です


遅ればせながら
歌舞伎座
壽初春大歌舞伎 千穐楽

まことにおめでとうございました

私自身の2016年芝居事始めは
染五郎さんの
歌舞伎座/廓三番叟で幕を明け
二条城の清正での金太郎君の秀頼に
感心したりウルっとしたり
でもやっぱり最後に
ぜ~んぶ持ってったのは
雪暮夜入谷畦道 の直侍
こと直次郎さんでした

染五郎さんの言われる
今年のあんなこと すき やこんなこと 焦る
ほんの一部が明かされ(獅子王)ましたが
暫くすれば そんな 顔 ことも

今年も自分なりに楽しめたらいいな、
 ・・・そんな風に思っています