年末ですねぇ
年末なのになんだこの忙しさ
ってことで(←どいうこと?アハハ‥)

先日12月26日(土)
国立劇場
12月歌舞伎公演
通し狂言 東海道四谷怪談

無事の千穐楽を迎えました
あらためて
おめでとうございますクラッカー祝
(←いまさらでスミマセン)

20151226四谷怪談千穐楽

冬の四谷怪談として
また以前に
伊右衛門を演じた染五郎さんが
今回はお岩さまを演ずる
はたまた(阿弖流為ロスな方からは)
阿弖流為な役者さんが多く出演
などもあり話題に事欠かない
初日を迎える前から
いろいろと注目されていた公演

幕が開いてみれば
四谷怪談とその裏(表)にある
忠臣蔵の関係がわかりやすく描かれ
古くからのケレンも今の技術で見直し
舞台と客席が一体となった
とてもエンターテイメント性の高いもの
一級のエンターテイメントとしての上演となり
特に週末等満員御礼が続き
うれしいこととなりました
国立大劇場としても今月黒字らしいピース

まあそんな中でも地獄宿が観たいやら
三角屋敷がないやらと
ないものねだりはいつの世も(笑)
確かに全部通して観たいぞ~
と思ったりもするけれど
どの人物、エピソードを強調したいかで
限られたもの、こと、の中で
展開構成は決まってくる
大人の事情もあるわいな
いくら国立といえ長丁場にもなるしね
全ての方のご要望は聞きかねます(笑)
ってね

それはさておき
演目発表時から思えば最終的には
染五郎さんは5役を勤められましたが
やっぱり一番はお岩さまであること
には間違いなくて・・・
今回いろんな場面で
様々な感想を持ちましたが
今公演を観るまでと違ったことが幾つか
気持ちの受け取りようの部分で
ですけれどね

今まで何人かの役者さんで
お岩さまを拝見しましたが
伊藤家からのお薬を押し頂く場面で
(ストーリーを知ってるわけで)
あぁ飲んじゃダメ飲まないで
となったものですが今回は違ったのですよ
ありがとうございます、
ありがたく頂戴いたします
と、自然にそう思っていました

それは染五郎さんが
お岩さまをされているから
自分もお岩さまの立場に、的なものでなく
なんだか上手く言えませんけど
観ていてそういう気持ちになれる、
させられる染五郎さんのお岩さまでした
今月何度観てもここはそう
目から鱗ってかちょっと衝撃
ああなんだろ、この心持ちはって

それと伊右衛門の卑劣さ冷酷非情さ
が増すほど虐げられるお岩様が哀れ・・・
となるのが普通でしょうが
(←2年前の菊@お岩さまがそうでした)
今回勿論そういう面もあるのですが
虐げられて可哀想というより
染@お岩さまが武家の娘(女)としての
自負心というか矜持を失わないことが
逆に彼女を不幸にしていくのが
痛々しく哀しくて なみだ
落ちるところまで落ちていても
その芯の強さというか
それがとても見て取れるお岩さまでした
誇りはいつしか哀れみに・・・なのです

お岩さま自身の本質は変わらなくとも
たぶん観る側にとれば相手役の
伊右衛門の在り方にもよるんだろうな
幸四郎さんの伊右衛門は
染五郎さんのそれ(2013/7歌舞伎座)とは違って
とんでもなくヒドイ奴、どこまでも冷徹
ってタイプではないのね私には
どこかしらまだ丸み?の残る
のらりくらりのどうしようもない奴
って感じで それもあってか?
お岩さまに対する伊右衛門の
加虐(の効力?)による
只々可哀想なお岩さまとは
少し趣が違ってたかなと
わたしとしては
どちらの伊右衛門もあり!ですが

武家の娘(女・妻)という立場(彼女のプライド)が
ぎりで保たれていたわけで
それが崩れた時
彼女は死んでしまうんですよね
(柱に刺さった小平の刀での
不慮の事故?自害?)

浪宅以降でお岩さまのまとってる空気が
もう限りなく陰惨で痛ましくて
でもそんな中でも
坊やをあやしたり向き合う時は
ふっと幸せそうなんですよね
それが私にはやっとの救いでした

意地と執念での女としての
身支度(髪すき、お歯黒)は壮絶でした
まさしく髪から血が流れるほどの情念
支度すればするほど外見は
恐ろしいものになっていく
彼女の気持ちに反していくのが哀しくて
けれど、崩れていない方の顔はとても美しい
物理的にというのではなく、染五郎さんの
お岩さまの気持ちがそうなんだと思います

他にもですね
提灯抜けで現れたお岩さまが
赤子を抱き微笑んでる姿が
怨み、つらみの権化のはずなのに
まるで菩薩の化身のように思えた
瞬間を覚えた日もあったんですよ
ここのお岩さまとっても美しい
その美しさが逆に怖いのかもしれません

提灯抜けからの尋常ならざる
様々な所業も
恐ろしい事であればあるほど
怖ろしいと感じるほどに
お岩さま そんなにも・・・
と心がきゅうっと痛かったり
四谷怪談でこんな思いは初めてかも
本来はケレンを楽しむところなのにな
いえ、ケレンも充分楽しんでますよ

又之丞隠れ家を挟み
最後に討ち入りまで見せることで
何だか全てに決着がついた感じがして
小平は浮かばれ もしかすれば
お岩さまも成仏できるのでは・・・
とそんな気さえしています

まだまだ書きたいことが続出
お岩さまの事もだけど
それ以外の忠臣蔵部分とか
まだ全然書けてないもんね
・・・と言いながらまとめにはいる(笑)
だって終わらないんだもの

実は、12/14観劇後、泉岳寺へお参りに
ってことは以前書きましたが
 → 中日が討ち入りの日
こんな機会はそうないというのは勿論のこと
今回の四谷怪談の大詰めも大詰め
染五郎さん演ずる由良さんのその姿に
ポン!とダメ押しで
背中を押されたのかもしれません
由良之助を初役で勤められて
この3年あまり(正確には3年7ヶ月)の
染五郎さんの芝居人生が詰まった
由良さんの立ち姿だったから・・・


今月は四谷怪談や忠臣蔵という
素材が素材なので多くの落語関係の方にも
御覧頂いたようです
その上、評価し楽しんで下さってるのが
とてもうれしいな

いつもながら様々な演出家さんや
ジャンルの違う役者さんにご覧頂けたのは
勿論ですが いかがでした?と
一番聞いてみたいのは菊之助さんかな
観にいらしたということは
やはり気になるのでしょうね
2年前ご自分のお岩さまを相手に
伊右衛門を勤めた染五郎さんが
どうお岩さまを・・・と



今回新たな試みのように見えて
実は元来の四谷怪談に立ち戻る
忠臣蔵と四谷怪談
忠義と不忠が入り乱れ
武士と町人 表と裏 光と影
登場人物の物語がしっかりとみえる
それが冬の四谷怪談
もうひとつの四谷怪談 なんだなと

今回の染五郎さんのお岩さまを拝見し
願わくば
どこまでも救いようのない気持ちのまま
劇場を出なければならない
(いつもな忠臣蔵の絡まない)
成仏出来そうにない哀しいままの
お岩さまも染五郎さんで観たいなと


国立劇場賞
12月歌舞伎公演
「通し狂言 東海道四谷怪談」の受賞者

         (以下敬称略)

○優秀賞
市川染五郎
伊右衛門妻お岩・小仏小平・佐藤与茂七
大星由良之助・鶴屋南北の演技に対して

○奨励賞
中村京蔵
乳母お槇の演技に対して



忠臣蔵という
“師走らしい”雰囲気を味わいつつ
2015年の良い観劇納めとなりました

今週末ってもう来年ですアハハ‥
早過ぎますね困るな(笑)
それでもって2016年の幕開き
壽初春大歌舞伎の初日ですって

2015年も残すは2日
この1年も自分なりに
染五郎さんをよく追いかけましたうんうん
そんなことしか書いてないブログに
遊びにきて下さりありがとうございます三つ指ごあいさつ
来年もどうぞお付き合いのほどを
2015年最後の最後まで
長々と失礼いたしました

みなさま
良いお年をお迎えください sao☆角松