伝統歌舞伎保存会研修発表会 続きです
→ 其の壱はコチラ
・・・やっとタイトルの内容に追いつく(笑)
●解説 ('05)
松本幸四郎
幕間を経て『素襖落』の解説になるわけですが
“また出てまいりました”と幽霊でも ものの怪でもないのに
スッポンから袴姿で再び幸四郎さんが浮上(笑)
これには会場は湧きましたね
9代目團十郎丈が晩年勧進帳を体力的に演れなくなり
その代わりになるものとして
福地桜痴に書いてもらった演目だそう
劇中 太郎冠者が使う扇には縁起がいいとされる
蝙蝠の画が表裏両面に描かれていて
初演以来 太郎冠者演じる役者自らが描くとのこと
歌舞伎役者さんは絵心のある方が多いですよね
幸四郎さんもご自分が描かれた扇を見せて下さり
それを頭上にかざしキメ

ほどなく素襖落の開幕となりました
※蝙蝠→こうもり→子を守り→子を守る ということで
縁起がいいとされているそうです
●新歌舞伎十八番の内
~素襖落 ('50)
太郎冠者 / 染五郎
大名某 / 友右衛門
姫御寮 / 高麗蔵
鈍太郎 / 廣太郎
次郎冠者 / 児太郎
三郎吾 / 廣 松
幸雀/紀世彦/京三郎/錦二郎/高弥
太郎冠者は主人である大名の遣いで訪れた先で
姫御寮に酒を振る舞われ 餞別に素襖まで頂戴します
帰宅した太郎冠者は もう酩酊状態
決して渡すまいと隠していた素襖を落とし
それが主人の手に渡ったことにも気づかない始末・・・
餞別のお礼に源平合戦 那須の与一の件を
太郎冠者が舞ってみせるのも見せ場のひとつです
お弟子さん達の発表会(三人吉三)に続いて
素襖落は御曹司な若手花形(廣・廣・児)の
勉強会といったところでしょうか
(←染五郎さんは自分も勉強だとおっしゃってます)
私にとっては これがこの日最大の目的
(←スミマセンわたし的にはってことで

そして期待を裏切ることなくお世辞抜きに最高~
元々コミカルな舞踊ですが ここまで楽しかったっけ?!
太郎が・・太郎が・・・太郎冠者がぁ~~~
ラブラブLovely過ぎるだろ~

↑ほとんど壊れてます(笑)

一家にひとつ?!ひとり?!
そんな そんな 手のひらに乗せて遊びたくなる
愛玩したくなる?!一家に一台?!な
愛敬たっぷりな太郎クンなのです
ご本人も(実際は大変でしょうが)楽しそう?に演じてらして
拝見してるこちらも自然ニコニコ(笑)
でも所々リキ入り過ぎぃ~なところも

そうかと思えば一転 那須の与一扇の的を
語り舞うところでは キリッとカッコ良く
その情景が浮かぶようです

太郎クンがご機嫌のモト“素襖”を隠し通す
大名・鈍太郎コンビがこれまたよく
友右衛門さん&廣太郎さん さすが親子!
息もピタリで なんだか二人と一緒になって
染五郎@太郎クンをいじめたくなっちゃう(笑)

探すのを手伝うのではなく イジる側ね
そして二人に翻弄されてる(笑)?太郎クンが
酔いも手伝いちょっと抜けてて なんとも愛らしい

おおらかでひょうきんな太郎クンに客席からはクスクス
辺りを包む空気も ほのぼの~

染五郎さん本興行では未経験のお役なのですが
そんな事を感じさせない素晴しいものだったかと
ああ~でも久しぶりに
染五郎さんの舞踊を観たぞぉ

って感じの満ち足りた感!


今月は新春公演/奴凧~でも踊ってらっしゃいますが
また趣きが違うんですよね~松羽目物
この素襖落 近い将来きっと本興行でお目にかかれるかと
