・・・十二月日生歌舞伎公演 続きです
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【夜の部】
(0:40)
●錣引~しころびき
 摂州摩耶山の場


順礼七兵衛
 実は悪七兵衛景清 / 染五郎
虚無僧次郎蔵
 実は三保谷四郎 / 松 緑

忠光妹伏屋 / 笑 也
長谷三郎 / 亀 寿
木鼠次段太 / 市 蔵


  → あらすじ等はコチラ

思っていたよりおもしろい!とは失礼な
きっと目にする粗筋の書き方が悪かったのよね
だから実際観るとおもしろいよ!となった訳で(笑)

互いの身分を偽っての腹の探り合い
ちょっと途中間延びしちゃいそうな所も
無きにしもあらずでしたが
そこはほら 松緑さんと染五郎さんが
何だか楽しそうに見えたりしたので それでカバー

最初の拵えも素敵だけど一旦引っ込んで
ヤツし姿から一転 五右衛門を彷彿させる
百日鬘に黒のフリンジ金色どてら景清が
とってもお気に入り~
その上“裸足”っていうのがすごく萌え~(笑)  
長刀振り回しで風来るお席では
しっかりガン見させて頂きました
様式美を楽しむものだそうなので(←都合のいい私の言い訳(笑))
こういう観方でも ですわよね

あぁでもやっぱり お相手が松緑さんだと
互いがわかりあってるはずなので
観てる方もある意味安心~
(いい意味で)じゃれ合ってるように見えるのは気のせいかしら
立ち廻りも息ピッタリで
お二人とも芝居する事がすごく楽しそうでした


(0:10)
●七世幸四郎襲名百年
口 上


染五郎
海老蔵
松 緑


裃に白塗りな口上が一般的ですが
今回は七世17回忌追善時にならい黒紋付袴で並びます
お化粧・衣裳で固めていない分
口上でおっしゃる事に それぞれの
人となりが見えるようでした

いつのまにか日替わりと化した
松緑さんの楽しい口上(除・千穐楽はいたって真面目)
そうなるきっかけは2日目だか3日目の終演後の
染五郎さんから松緑さんへの至上命令
いえお願い から始まったもの
しかし毎回よくあれだけ違うエピソードが出るもので
よい藤間 悪い藤間な日もあれば
松緑草食系 染えび肉食系説
サンタは居ない!説も浮上したり(笑)
雨は夜更けすぎに雪へと変るだろう
・・・ん??コレどこかで聞いたような
すぐわかった人からは笑いが漏れてましたニカッ
普通に言葉として話したらちょっぴり違和感(笑)
歌えばよかったのにね松緑さん!

ためになる ひいおじい様のエピソードから
それに類する はとこモテ話や学生時代暴露話
ブラックなユーモア?まで飛び出す飛び出す
染五郎さん曰く無い事 有る事 無い事・・・
らしいですが それらをまた松緑さんが
いたって真面目にお話されるから可笑しかったりで
前後の緊張感のある舞台の息抜きにもなりました

染五郎さん 時には動揺し←なぜ動揺(笑)?
時には(いや毎回?)肩を震わせ笑いを堪えてる

(始まる寸前まで薄い定式幕内側で何楽しい事話してたの?)な
堪えるどころか幕開き最初から笑い気味で
上手下手中央と見上げる時もあったりして
そんな染五郎さんを拝見するのも楽しかった~(笑)

口上締めのご挨拶では
ちゃっかり(グッズ販売)営業活動も忘れず
香川(照之)さんを探せ!を促す日もありましたね
あっグッズ買った方 今年何かいいことありました(笑)?


(1:10)
●歌舞伎十八番の内 勧進帳


武蔵坊弁慶 / 海老蔵
富樫左衛門 / 松 緑
源義経 / 染五郎

亀井六郎 / 亀三郎
片岡八郎 / 亀 寿
太刀持音若 / 梅 丸
駿河次郎 / 猿 弥
常陸坊海尊 / 市 蔵



四天王も含め年齢的に近いというのもあったからか
(善し悪しは別にして)
ある意味 等身大の勧進帳といったところ?

染五郎さんが“誰よりもよい義経を”
との意気込みで臨まれた勧進帳
そしてご自身にとって今公演が
“最後の義経”という思いで勤められたその姿は
追われる身 堕ちていく哀しさを備えつつも
気品溢れる御大将でした

今までいろんな意味で最強の四天王は
吉右衛門さん弁慶の時の染・松・菊・段だったけど
今回の亀・亀・猿・市は すごく染@義経が尊敬され
守られてると痛感出来る四天王ですごく好き

それどころか行く手を阻む側の
松緑@富樫にもその徴候・・・?!
全てをわかった上で一行を見逃し
泣きあげクッと上手へハケる場面
主君を意に反し金剛杖で打ち据えた弁慶にというより
自分を守る為の弁慶の機転といえ
黙ってじっと打たれるその義経へ
畏敬の念を抱いているようにみえたのですが・・・
このお役 12年ぶり?だという松緑さん
造形としては私は結構好きな富樫でした

四天王も富樫もこうあったのは
染@義経の持つ何かがそうさせたのかな?と
ええ ええ 贔屓目だと言われよが
今回自信を持って声を大にして言いますわよ
“誰にも負けない最高の義経”だったと



  



七代目幸四郎を曾祖父に持つ曾孫3人
各々所縁ある演目で競い合った12月ひと月
染五郎さんは いつもとは違うプレッシャーに
いつにもまして攻める姿勢で
まさにライバル意識むき出しに
ひいじっちゃんこと“七世幸四郎”の名のもとに
プライドをかけ臨まれました
その姿を芝居を意気込みを
直接肌に感じられた事とてもうれしく思います

あっ皆さん 染五郎さんに
“どれ(どの演し物)がいいですか?”
と問われた事を覚えてますか?


 ティンク の 覚え書き-201112日生本チラシ