◆国立劇場開場45周年記念
初春歌舞伎公演
2012年1月3日(火)~1月27日(金)

(以下一部敬称略)
通し狂言 三人吉三巴白浪 四幕七場
~さんにんきちさともえのしらなみ
('70+'75)
和尚吉三 / 幸四郎
お嬢吉三 / 福 助
お坊吉三 / 染五郎
八百屋久兵衛 / 寿 猿
土左衛門伝吉 / 錦 吾
伝吉娘おとせ / 高麗蔵
手代十三郎 / 友右衛門
同じ吉三と名のつく三人の盗賊が活躍する『三人吉三』
屈指の名場面「大川端」に見る様式美
因果がめぐる数奇な運命のドラマ
両花道を使った「火の見櫓」の立ち廻りなど
歌舞伎の多様な要素が見事に融合した白波物の名作
今回通し上演というのが大きいと思いますが
三人の吉三の因果因縁がすごく感じられたと
最近観たこの演目(大川端のみが多いけど)では一番面白かったかも
業を背負うは和尚の因果
この三人の吉三のバランスが今回よかったな
幸四郎さんの和尚が絶対的に兄貴分

久しぶりに歌舞伎の幸四郎さん拝見しましたが若いな~(笑)
福助さんのお嬢がお坊より(性格が)多少男前で
かつ骨太っていうのも好きだった(笑)
だから?お嬢とお坊 2人の間に感じる男同士なんだけど~
な危うい倒錯感(←特に吉祥院と火の見櫓の場)と
兄弟分な感がシックリ来たのかしら?と思ったり
そして我らが染五郎さんのお坊は
前回より線の細さが薄れ 落ち着いた感が

でもお坊ちゃんぽさは残しつつ
御家人崩れの影あるアウトローが色っぽい

いい具合に大きくなってたかと思います
(主語がない部分は基本お坊の事です(笑))
固めの血杯で土器に血を絞るところ
小柄をくわえ(←これポイント)血止めの手ぬぐいを
自ら縛る(←ここもポイント)その姿が色っぽく

お竹蔵の冒頭では
視覚的にキッパリな白地に吉の字菱の着流しが
実は大川端の銀鼠より好きだったり
腰には大小さらに頭巾被りっていうのが素敵過ぎ(笑)

立ち廻りに備え 頭巾を紐代わりにたすき掛けする姿も好きだ~
あっそうそう大川端での 襟元に“楊枝”今回も差してましたね

火の見櫓の場の両花道演出は見応えがあり割りセリフには効果的
本・仮両方観るのは難しく忙しく・・(笑)

糸立て(ムシロ)で姿を隠しながらといえ揚幕の出から97%本花に釘付け
尻端折りに 頬被り 覗く素脚の色っぽさ

見えないことへの想像というか妄想というかチラリズムというか(笑)
七三で振り返り糸立てを広げた瞬間“参りました!”


素敵なんですよね~この場面
・・・なんて具合に萌えポイントなど挙げだしたらキリがない
二本花道もそうでしたが演出では
火の見櫓自体をせり下げ 逆にお坊の屋根の上での
立ち廻りを上手く見せる事も印象に残りました
だから再び櫓がせり上がり 木戸をちゃんと越えられる(笑)
それにしても雪(紙吹雪)


チラチラと降り始めた雪がいつの間にか・・・
持ち帰りしようなんて思ってなかったのに
帰ってみたらカバンの中からブーツの中からザックザクでした(笑)
今回忘れちゃならないのがおとせ十三郎
失礼ながら ちょっとお年を召したカップルでしたが(笑)
並んだ雰囲気もお似合いで その分 いい味だされてましたね
そしてこの2人の運命に犬の報いと畜生道を今回ほど感じた事なかったかも
高麗蔵さん国立劇場優秀賞おめでとうございます

さらに長屋の夜鷹三人組!
幸雀さん 芝喜松さん 芝のぶさん
もう顔ぶれ見ただけで何やらニヤリとしちゃう配役でした
やはり皆さんそう感じていらっしゃるからこその
奨励賞!おめでとうございます

初春歌舞伎公演 其の弐へつづく