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<第二場>
釣家の下館で小桜姫は目覚めます
さっきの愛しい人との再会は夢だったのねと落胆するも

そこへ再び志賀之助が・・・
 前場での『心』の幕は あの場面での出来事は
 全て『夢』ですよと実は表しているそうです
 何か他の演目でも観た記憶があるのですが思い出せず
  → 大道具さんブログ
涼を求めて彷徨っていたというわりには
この登場の仕方がまたちょっと笑える
水色のきんと雲 溜息溜息溜息 みたいなものの上に立ち
下手から唐突に横滑りで登場する志賀之助
鯉の化身なのでそれは水しぶきあせ を意味するのでしょうね(笑)
勢いよく引っ張り過ぎる(押しだす?)と
バランスが崩れそうで妙に可笑しい かわいい
いえ笑っちゃいけません いたって真面目だもの~ akn

今度こそ真の志賀之助だと喜びまくる小桜姫
いやあぁ~あなたじゃ♪あなたじゃ♪と 
一方的なその喜びようったら可愛いのなんの(笑)
ポチャッと芝雀さんがとっても愛らしい
そして呉竹にまぁまぁまぁと
勧められるがままに奧のひと間に消えていく

男性側はなすすべもなく~と歌舞伎によくあるパターンです アハハ
呉竹さんもやり手じゃの~(笑)
高麗蔵さんがなんともいい味 ピース

そこへ仮花道から家臣粟津(猿弥さん)に伴われ
信田家使者刑部(門之助さん)が

この時も七三でやはり クルっ♪
釣家家老篠村(東蔵さん)が出迎えると
姫を信田家へ輿入れさせろ
いやいやそれは横暴だ名刀龍神丸を
殿下へ献上すれば済むことだろう
それなら名刀を見せてみろ
と迫られた篠村が刀を抜くと
一瞬にして辺りに嵐が巻き起こり雷鳴雷が轟く
その稲光に奥のひと間の障子が照らされ
そこに映るは 姫と大きな鯉の影

はい皆さまもうおわかりですね 人差し指 そういうことです(笑)
なのになのに 男を引込み不義とは何ぞ~
って刑部さんどう見ても鯉の影ですけど~(爆)
まあ他の人(生き物)にはかわりないか
篠村は騒ぎ立てる二人を斬り捨て一件落着?
そこへ呉竹に導かれ逢瀬を楽しんだ姫と志賀之助
その名に不信を抱いた篠村が志賀之助に詰め寄ると・・・


ええ~いバレたら仕方がないと
志賀之助はその身を 空井戸へ

◆金丸座ならでは 其の2/空井戸
これは上方の小屋独特なもので今はここ金丸座のみに現存らしい ティンク の 覚え書き-201104金丸座空井戸
  ~画像は歌舞伎美人より
この空井戸これから先も大活躍しますからね~

飛び込んだかと思うと今度はスッポンから
怪しげな煙に包まれドロドロドロ~どろん
その正体をあらわす鯉の精なのでした
そこにはまさかまさかの人間豹?!よろしくな鯉の精が!
いや~こんなところでお会い出来るとは(笑) どーも
その変わり身の早さにもちろん拍手喝采!
美しいお稚児さんが一瞬にしてオドロオドロシイ姿に
これぞまさに豹変(笑)?!
乱歩歌舞伎をご覧になった方は想像がつくと思いますが
あの全身黒の拵えで衣裳に黒白鱗模様があるとお考え下さい
そして頬骨に沿って描かれる隈取りが
青と黒のストライプ 鯉の髭を表しているとしか思えない
なんて芸が細かいの(笑)!
ここから暫し大暴れする鯉の精の軽技(大ワザ)をご披露

◆金丸座ならでは 其の3/かけすじ
花道の真上天井近くに設置されている宙乗り装置
これによって古風な宙乗りを再現
 ティンク の 覚え書き-201104金丸座かけすじ
 ~画像は歌舞伎美人より
まさに役者を宙に浮かせて花道の上を移動する
と表現するのがピッタリかも
花道の上を本舞台側と2階席側に移動させるのは
天井スタンバイの大道具さんお二人のチカラなので
全てがモーターである今仕様のものとは動きが違います
そこがまたよいのですよね風情があって

普通はというか現代の劇場では宙乗りは
2階もしくは3階席後方へ抜けていくものですが
もちろんこの小屋には抜ける場所などなくて行き止まり
ってことは・・・そう
スッポンから舞い上がった鯉の精は
ゆっくりゆっくり2階席のまん前まで空中遊泳
そして見得を切る!と言いたいのですが
向かってくる染五郎さんの顔ったらもう
まさにドヤ顔満開(笑)!!! ニヤリ
へへ~んどんなもんだいってなもので
可笑しいったらありゃしない 爆笑
きゃあ~きゃあ~騒ぐ2階のお客さんを見て楽しんでますな(笑)
こっちもそんなドヤ顔拝めて楽しみましたけどね お互いさま~
で方向転換なんて出来ませんから
そのまま後ずさり状態で吊られて去って行くという
なんともおマヌケな引き返し クス
ですが~そんなおマヌケ状態で終わるはずがございません!
七三辺りまで戻ると何やら身体をピンと硬直
体操選手か?んんん????もしやこれは
そう国立劇場人間豹再び!な
グルングルン後方連続回転大ワザ~!渦渦
もう小屋中がヤンヤヤンヤの大喝采の渦
こんな小さな小屋であれを観ると
もう国立の比じゃない!大迫力に大興奮!
昔ながらの仕掛け(かけすじ)で
こんな事やっちゃって危なくないの?なんて
これっぽっちも忘れてます私sweat*
それどころか昔ながらの仕掛けでも
(もちろんある程度モーター手助けはありますが)
こんな事も出来ちゃうんだの驚き
鯉の精の大ワザを同じ目線からも拝見出来たし
下から見上げる事も出来たし大満足~音符

で興奮はココで収まるわけではなく
何やら鯉の精の目線が仮花道あたりに?
と思った瞬間 鯉の精の胸に突き刺さる矢弓
と同時に一瞬にして逆さ吊り状態
うわぁ~ドキっとしたよ~ええ!!びっくり
あとどうなるんだ?と考える間もなく
いつの間にかスッポンの奥底に向かって天井から一本のロープ
そのロープに手をかけ体制を立て直し
それを手で勢いよく弾いたかと思うと
染五郎さんの身体が独楽のように高速スピン
そしてドリルがネジ込まれていくように
回転しながらスッポンに吸い込まれていきました
うぉお~それってリボン布紐を使ってのシルクドソレイユ技ですか?
しかもそれを軽く超えてません(笑)?
それにしてもほんとに高い所怖いんですよね?
なんて最近ほんと疑っちゃいます(笑)アハハ‥

やっとひと段落~とか思っていると
何やら1階東桟敷(普通の劇場では西(下手)にあたる)の
側面の障子が全開になり外の光が~

◆金丸座ならでは 其の4/明り窓・桟敷背面障子

客席外側の廊下を一目散にひた走る人物ダッシュダッシュ
扇子でお顔をお隠しあそばせ
楚々を装いつつも(笑)全力疾走するのは
紛れもなく今スッポンに消えた染五郎さん!
小屋の魅力を駆使して あくまでも魅せま魅せます
頭からすっぽり布を被って(BY yumiさん)
走っていた時もあるそうで日々進化ですね

なんだか観客に休む間を与えず
すごいな~とかカッコイイ~とか考える暇さへ与えず
次々にたたみかけるように楽しませて下さる
そんな染五郎さんって益々好きだわ~ハート脱帽です
ひと息なんてついていたら
容赦なく置いていかれます(笑)
もうお客さんがこれだけ湧いていると
自分が楽しむのはもとよりファン冥利に尽きます
思わず スゴいでしょ~?って言いたくなりません(笑)?
ここでドヤ顔(笑)?

走り抜けたと思うがこれまた同時に
上手仮花道から矢を手にした人物が颯爽と登場dash*
鯉の精に矢を命中させたのは本物の志賀之助
これまた拍手大喝采 1人2役も楽じゃない(笑)
でも我こそはというその登場は
卑怯なくらいカッコイイsei
鯉の精に痛手を負わせた志賀之助は
小桜姫の屋敷に向かい鯉退治に向かう事を告げるのです

志賀之助のお衣裳は
かっこいい鎖帷子仕様だったかと
小笠原騒動の犬神兵部みたいな
といえば想像して頂けるかなぁ?
あみ あみ がね sweat*

イザ出陣~という場面での定式幕歌舞伎・定式幕
ここで拍手喝采が自然アンコールの手拍子に変わっていく
こういう歌舞伎の終わり方も結構あるので
ここでこうなるのはすごくわかる
・・・で・す・が~要はこれは皆さんの勘違い アハハ‥
まだこの演目の最大の見せ場
“鯉を退治してません”から~(笑)!!!

 → こんぴら歌舞伎 其の参~鯉つかみ③ へつづく