第二十七回
四国こんぴら歌舞伎大芝居
平成23年4月9日(土)~24日(日)
(全32回公演)
→ あらすじ等はコチラで
【第二部 3演目目】

(1:06)
●湧昇水鯉滝
『鯉つかみ』
市川染五郎宙乗り相勤め申し候
第一場
江州琵琶湖畔市女ケ原蛍狩りの場
第二場
釣家下館の場
第三場
琵琶湖中鯉退治の場
滝窓志賀之助
実ハ鯉の精
滝窓志賀之助 / 染五郎
釣家息女 小桜姫 / 芝 雀
関白家使者 堅田刑部 / 門之助
家臣 粟津郷右衛門 / 猿 弥
篠村妻 呉竹 / 高麗蔵
家老 篠村次郎 / 東 蔵
鯉の着ぐるみ / 錦二郎

約40年ぶりの上方復活狂言です
過去上演で本水を使って人気をとったものですが
今回は国の重要文化財金丸座での上演のため
本水にある程度制限があるのをわかった上で
わざわざ染五郎さんが金丸座で
この狂言を演りたかった訳が
目に見えて満載(笑)の鯉つかみでした
藤娘が終わっての幕間でトンテンカンと
次幕の道具を設えていくのは歌舞伎では珍しくないけれど
花道には湖面を表す水模様の布が敷かれ
2階席最後方にある数段のハシゴ状な階段を上がり
筒抜けな天井(ブドウ棚)に数人がスタンバイ
花道の丁度上あたりのかけすじでも
大道具さんがなにやら仕込んでおります
これらの様子を見ているだけで
妙にワクワク


期待が妄想が膨らみます

物語は琵琶湖畔
釣家の小桜姫のもとに湖水の彼方から
美しい稚児姿の滝窓志賀之助が現れます
しかしその正体は先祖の積年の恨みを
晴らそうとしている鯉の精の化身でした
やがて本物の志賀之助が鯉退治に乗り出し・・・
とお話はいたってシンプル
正体がバレた時の鯉の精のムチャぶりと(笑)
大詰めでの本当の志賀之助vs鯉の格闘ぶり
が最大の見せ場!
この演目に関しては特に贔屓でなくとも
かっこいい~!

キレイ~!

スゴ~い!

ワァ~!

おおぉぉ~!

キャァ~素敵!

形容詞と擬音語が主体になると思うので(笑)

えっ?私だけ?

でもこれ観て楽しくなかったという人いないと思う

どの辺りがそう言わしめるのかを
覚えているだけ出来るだけ
話の順を追って挙げていけたらなと
映像がない分(記録映像録ってるかな?)
滅多にかからない演目なので
記憶に残したいが為の単なる私の覚え書きです
故に長~くなると思いますので
興味のある方のみどうそ~
思いこみもあるでしょうし
日々進化していたようですので
ご覧になった時とは違う部分もあるかも
そのあたりは寛容にお願いいたします
※文中ストーリー部分は色を変えています
携帯からはかなり読み辛いかと思いますがご容赦下さい
でははじまりはじまり~

<第一場>
ある夏の夜
琵琶湖畔に呉竹たちお供を連れ蛍狩りにやってきた小桜姫
のっけからの仮花道登場に場内は湧きます
本舞台には琵琶湖畔の水辺の草むらに蛍が飛び交い幻想的
そして七三あたりで立ち止まりご挨拶代わりに
その場でクルっとひと回り
これ花外のお客様にもお顔が見えるよう
衣裳が見えるようとの心憎いばかりの演出です
当たり前のようであまりないですよね こういうの
それもすごく自然に2階席にも視線を巡らせる
この場面に限らず役者さんが
花道・仮花道に登場する時は必ずといってよいほどクルっ♪
そしてその意図はちゃ~んと観客にも伝わるので拍手で応える
芝居中に客席と役者さんで自然とコミュニケーションって素敵です
楽しそうに蛍を追ううち
急に胸の痛みを訴える小桜姫
侍女たちが心配していると姫たちの方に
花道から低空飛行(飛んでるわけじゃなく(笑)
這っていると言った方が正しい?)で
静かに忍び寄る一匹の鯉(←張りぼて(笑))
2階席から観てると1階席ではお席によって見えないものが見えたり
すぐには気がつかないことも即座にわかったり楽しい事もたくさん!
もちろん見えない部分もありますがそこは1階席の時にカバーです
その鯉が(スッポンに)消えたかと思うと
かわりに現れたのは稚児ひとり
その稚児こそが小桜姫が恋焦がれていた志賀之助だったのです
ここであまりの美しさに 客席から感嘆と溜息が~

金糸の袴に薄紫?のお着物 前髪なお稚児姿
染五郎さんまだまだイケます(笑)!(←どういう意味じゃ)
充分カワイイ!!!

横笛を奏でるその姿 追いかけると触れようとすると
消え入りそうで どことなく物悲しい
志賀之助との再会を暫し喜ぶ姫と呉竹ですが・・・
志賀之助が一瞬キッと険しい表情を見せると
その念で小桜姫と呉竹が眠らされたかのようにその場に伏せる
そして暗闇が広がり 本舞台にはいつの間にか
黒地に白抜きで 『心』 と書かれた幕
やがて客席の頭上あちらこちらに蛍火

それらが放つ緑色の光は幻想的でしばし小屋の中が夢の世界
まるで志賀之助が仕掛けた手妻(マジック)のよう
そしてこの時 蛍ばかりに気を取られてはいけません(笑)
笛を手に奏でながらも
蛍に心奪われているかのような表情をみせる志賀之助の美しさ
今にも消えて居なくなりそうなその佇まいに
息をのみ暫し見とれておりました
この世のものとは思えません~

その蛍火の闇の中 志賀之助は花道へと消えていくのでした
その時の面灯りに照らされる染五郎さん
なんと色っぽいことよ~


この幻想的な蛍の演出こそ
◆金丸座ならでは 其の1/ブドウ棚

天井にスタンバイしていた方々がこのブドウ棚から
LED仕様の蛍火を浮遊させて下さっていたという訳です
→ こんぴら歌舞伎 其の参~鯉つかみ② へつづく