2010年もあと1時間
歌舞伎座がお休みに入ったりと
今年はいろいろありましたが
観劇納めとなった
国立劇場12月歌舞伎公演について
時間も迫っておりますので(笑)
簡単ではありますが~ざっと駆け足で

仮名手本忠臣蔵
~大星由良之助本伝

  (以下敬称略・順不同)

三段目 足利館松の間刃傷の場
四段目 扇ヶ谷塩冶判官切腹の場
    同 表門城明渡しの場
浄瑠璃 道行旅路の花聟-清元連中-
七段目 祗園一力茶屋の場
十一段目 高家表門討入の場
     同 奥庭泉水の場
     同 炭部屋本懐の場
     引揚げの場

高武蔵守師直
大星由良之助 / 幸四郎

顔世御前
お軽 / 福助

塩冶判官
早野勘平
寺岡平右衛門 / 染五郎

原郷右衛門 / 友右衛門
大星力弥 / 高麗蔵
鷺坂伴内 / 亀 鶴
斧九太夫 / 錦 吾
小林平八郎 / 錦之助
石堂右馬之丞 / 左團次

門之助 / 男女蔵 / 宗之助
児太郎 / 桂 三 / 由次郎 / 右之助
秀 調 / 家 橘 / 彦三郎 他


師走と言えば忠臣蔵!といえ
12月に歌舞伎で忠臣蔵を拝見したのはいつ以来?
それも変則的ではありますが通し上演

今回は 判官・勘平・平右衛門と
染五郎さんが初役含む全3役!
配役発表時はもうこれだけでテンション
ひゃぁ~様々なお役がビジュアルが拝見出来る~
ってなものでしたが
観ると聞く(勝手に思う)とは大違い
これかな~り大変でございます
全編通せば 一番舞台上に居るのが長いような
ほとんど休む暇なく
顔をしては衣裳を着付け舞台にあがる
の繰り返しだったのではないかしら
それぞれのお役の気持ちの切り替えもさぞや・・・
演じる方もですが観る方も結構忙しい

さすがに終盤はお疲れからか
白塗りの上からもわかるくらいの
顎のラインに吹き出物がちらりでお労しい~
でもそんな事はものともせずお芝居は
三役それぞれ思うところもあるのですが

◆ 判 官 
“ 鯉口に手をやる ”
何度かありますが一番最初に鯉口に手が触れるところ
最初拝見した時はそうでもなかったのですが
観る度に涙がこぼれるように
でもそれは行く末がわかっていることからくる
感情ではないような
いまだになぜだかよくわからないけれど

それがある時ある瞬間
“ 裃を正す ”
羽織紋服を脱いだ後あらわれる白の死装束
この裃に手を掛け正す その何気ないことに
判官の覚悟というか全てが見えた
感じられた時があって・・・
切腹に臨むその一連の美しい所作の中でも
この一瞬の仕草に心がズキンと

私にとってはこの2つが
染@判官の全てと言ってもいいかもしれない
他にもあるんですよ
師直の悪口雑言に怒りが増幅していくあまり
だんだん目に充血が走り息が微かに震え
耳が真っ赤に染まっていくところとかね
あるんですけど あるんですけど やっぱり↑なのです

凛としたもの 品格 はありすぎるほどあるのですが
見た目がキレイで整い過ぎているゆえなのか
主君としての判官としてはまだちょっと線が細いような
初役ですし これからも拝見していきたいお役です
まあ究極は ご本人的には由良之助を演じることなのでしょうが

◆ 勘 平 
哀しいから美しいのか 美しいから哀しいのか
愛しいお軽といても 心はどこかを彷徨っていて
ふっと見せる表情がとても哀しい
鮮やかなはずの 真っ赤な襦袢も目に染みて
一層悲しさが増していきます

しかし道行に立ちふさがる追手を
バッタバッタとやっつける勘平さんは
かっこ良かったな~

伏せたその目がというか
長~~い睫毛が憂いを帯びて
それでなくても色っぽいひと筋のおくれ髪が
睫毛にひっかかったりしちゃうって
どんだけ長い睫毛なんだ~
花横では 間近でその色香を感じ
正面では勘平さんの周りの空気が動く度
どこからともなくよい香り~
なんて イケナイ楽しみ方で萌えたりも(笑)

ああ~五・六段目の勘平さん染五郎さんで観てみたい~

◆ 平右衛門 
巡業で初めて演じられ今回3度目
当時から私のお気に入りなお役
このお役の拵えも大好きなのです
初役の頃と比べると
(偉そうにスミマセン)
随分と骨太になったなあとも思います

妹を思いやる心と忠義にかないたいと思う心
そのどちらもがきちんと感じられる平右衛門
なので東下りが許された時の
平右衛門の喜びようは
観てる私もうれしくてうれしくて
それが他のお客様も同じなのか
拍手が沸き起こる事が多いですね

まあ正直姉弟に見えるという噂もありますが(笑)
そりゃ昨年歌舞伎座は幸四郎さんの平右衛門に
福助さんのお軽だったりしたのですよね
南座は仁左さん玉さんだし~ しょうがないさ~
そういうの関係なしでも
役の性根がしっかりあればいいと思っております

十一段目の平右衛門はご馳走でしたね
本来 名のある役者さんがなさらない限り
(という表現も語弊がありますが)
あんなに目立つ?お役ではありません
今回(は七段目で同役で出演なのもあり)ならではってことで
衣裳もひとり鎖帷子をじかに身につけ  
ヘアスタイルも目立ってましたわ~
引き揚げも一番最後に木槌?を振り上げ誇らしげに(笑)
これはこれでおいしかった~


    

幸四郎パパの由良之助について
数ある由良さんの場面で
今回の公演中 特にココ!と思ってるところが
判官が切腹した後の場面にあるのです

判官の亡骸に扇と書状が挟まれていますが
それを取り払い上体を折った姿勢のままの判官を
丁寧に衣服を直し 九寸五分を握りしめた手を戻し
安らかに眠れるよう整える・・・
仕えているものだからという
そういうことからくるものではなく
切ないほどの愛情を感じたのです

中でも 亡骸の背にそっと手を触れ
ほんの少しの間ではありますが
じっとその手を通して語り掛けているように感じるところ
その瞬間のなんと優しいこと
無念の判官の死を受け止め
悲しみの中にあるはずの由良の心が
こちらの胸が痛くなるほどに
愛情に満ちていて思わず涙があふれてしまいました

もうこれ!これが全て
由良之助本伝なので他に見せ場はたくさんあるはずなのに
すみませ~ん幸四郎パパ~ 
私にはココなのでした


あっそうそう道行と七段目で忘れてはならない人
亀鶴さんの鷺坂伴内
もう達者ですわ~今回あらためて感心しちゃいました


    

何気に今月もったいないな~と思った事
・その1/錦之助さんの起用の仕方
以前にも VS歌昇さん 歌舞伎座で拝見していますが
錦之助さんのお歳からいったら やっぱり
これだけの連続殺陣はキツイと思われますが
降りしきる増量中(笑)の雪も相まって
この場面の殺陣の素晴らしさといったら!
このお役をやると他のお役で出られないのかもしれませんが
なんだかやっぱりこれだけでは勿体な~い
そういうのもあってか?
終盤いつの頃からか 舞台転換しながらの
橋の上で とてつもない海老ぞりを~
拍手喝采となっていましたね
やっぱり見せ場作らなくちゃですね

・その2/南左衛門さんの起用の仕方
道行が終わり七段目冒頭 すっぽんからご登場で
省かれている五・六段目での勘平・お軽のお話や
道行と同じ役者が七段目ではこうなります
というご説明などなどを
そして塩冶浪士の名前をツラツラと~
さすが!!!淀みない名調子で聞かせて下さるので
割れんばかりの拍手となっていましたが
う~んこれだけって正直なんとも勿体なく申し訳ない
あの引きこまれるような語りもっと聞きたかったぞ~
演出幸四郎さんの趣向としての意図がいまひとつよくわからないのでありました

何気に好きだな~っていうお役
その1 友右衛門さんの原郷右衛門
その2 左團次さんの石堂右馬之丞
なぜだかというのも失礼な言い方ですが
今月このおふた方が気になりまして私の中では

    

しかし変則的通しといえ
七段目 全部観たかったな~
冒頭の由良の遊興の場も観たかったし
平右衛門が嘆願書を何度も突っ返されるところも観たかったし
ないモノねだり~(笑)
そんなこと言いだしたらきりがないのですけど

なんだか悪くは無いのだけれど
今回は通しにしたことで?というより
省略した場が結構あったりすることが
なんだかその幕その幕ごとの
インパクトを下げているような気がしなくもなくて
(↑逆に言えば元を知ってるからそう思うのかもですが)
1公演5時間で通しっていうのに無理があるのか?何なのだろう?
染五郎さんを堪能出来たには違いないのですけどね


大晦日に観劇記書くなって話ですが
いつもなら月またぎでもと思いますが
年またぎはやはり・・・ってことで
駆け足であげてしまいましたので
思い出せば思い出すほど書きたい事が
増えていきそうなので このへんで
これぎり~にしておきます

そんなこんなでひと月の忠臣蔵生活も終わり
あとはカウントダウンするだけ?!となりました
まあ大晦日の翌日は元旦なわけで
振り返るなりのご挨拶は明日以降でもって
なのでここではサラリと

今年1年ありがとうございました!
皆様 よい お年を~


と書き逃げ状態って どうなん?!