・・・松竹座・夏芝居回顧・其の2
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→ 握った拳 通じ合う瞬間

(以下敬称略)

◆竜馬がゆく~風雲篇
坂本竜馬 / 染五郎
武市半平太 / 愛之助
西郷吉之助 / 猿 弥
寺田屋お登勢 / 吉 弥
おりょう / 孝太郎
吉井幸輔 / 猿三郎
三吉慎蔵 / 松次郎
岡田以蔵 / 喜之助



初日前には京都にあるお墓にも参られ
準備万端で臨まれた染五郎さん
竜馬は大阪初見参ですから意気込みも違います!

歌舞伎座とは登場人物も配役も一部かえ
今のブームに乗り遅れない
(← ブームの前から手掛けてましたけどね)
歌舞伎ならではの竜馬を展開されたかと思います
奇しくも大河ドラマ進行と同時代をたどってましたしね

それではタラタラと~スタート長文注意


国抜けの罪を許され釈放される場面で幕開き
大海の中に浮かぶ
“竜・馬・が・ゆ・く”のタイトルバック
雷鳴轟く中しっかりと大地に足をつけ
暗闇の中ピンスポ一本で舞台中央に立つ竜馬
腕を組み天を見据えるその表情は
希望に溢れているのか はたまた
未来を見据えているとでもいうのか
今更 惚れ直してしまう場面です はぁとv
そうはいってもカッコイイばかりが
染@竜馬の魅力ではありません
その辺はまた後ほど


エピソードとしては
松緑さんの中岡に代わって
愛之助さんの半平太を登場させ
竜馬の人生に不可欠な人物とのエピソードが
またひとつ広がりました
が時間の関係というか
竜馬とおりょうの出逢いの場面がない!
いきなりそこ?と思われるかもしれませんが
そこ!なんです(笑)重要!

あの出逢いの場面 結構好きだったのです
取りわけドラマチックな出逢いだった訳でもなく アハハ‥
竜馬の方は最初からまんざらでもなさげだけれど
おりょうは八金八鷹お転婆自分本位全開って感じで えへへ…
どちらかと言えば反発というか(笑)

でも竜馬はこの時 おりょうの先々に対する
モノの考え方とか見据える目に
どことなく自分と同じニオイみたいなものを
瞬時に感じていたのではないのかなとも思える大切な出逢い

この場面があることで(うまく言えませんが)
その後の展開で竜馬とおりょうが
どんな事があっても心の奥底で通じ合えてる
通じ合う心が後押しされる要素として
私の心のどこかで存在しえたのですよ
おりょうの人となりも よくわかる場面だと思いますし

それを今回 寺田屋で初めておりょうが登場する時に
“火事場で竜馬に助けてもろうて・・・”
このセリフひと言で片付けちゃった ・・・汗
これだけではカバー出来ないもの多々
この点は残念だったな~ 涙

今回風雲篇とタイトルを付け再演と言ってしまってるので
歌舞伎座初演時を思い出すなと言う方が無理でして
違うエピソードを入れるには引きかえに
何かと差替えないといけないのは仕方なし
わかっちゃいるのですが
・・・ちょっと言ってみました アハハ‥

こうなればシリーズ化してエピソードを増やし
ベストチョイスで通し上演して頂くしかない!人差し指
って結局そこへ繋げるか~(笑)

ご自身のもくろみでは 立志篇以前の
土佐での坂本家のホームドラマもやりたいそうですし(笑)
↑ コレ楽しそうですね~ akn
乙女姉やんは誰がいいかな~
あぁ~日本初のハニームーンもお願いしたいし
すでに妄想モードに入ってます キャー

あっ何だか少し今回の風雲篇とは
話がズレてきたので 軌道修正を・・・


◆風雲篇に初登場の人物について
愛之助さん演ずる半平太
~言説さわやかで人格も高潔にして誠実
武士道仁義を重んじ・・・~ にたがわず
土佐勤王党の大将然として落ち着いた姿が凛々しく
しかしながら彼についてまわる
暗殺・天誅などのダークな面はあまりみせず
“武士”たるものはという生き方を全うする
竜馬とカタチは違えど この国を思っての
あくまで真面目一徹ゆえ・・・はよく表れていたかと

その代わりと言うのか 間接的に
半平太のダークな側面を担った?形の
喜之助さん演ずる以蔵
半平太を信じる心が“人斬り以蔵”を造った
と思わせるに相応しい
純粋でありながら陰のある哀しい以蔵でした
“坂本さん許してつかぁさい”の言葉が胸に突き刺さります


◆今回 何を以ってもこの人抜きには語れまい
そう猿弥さんの西郷さん(初役)です
薩摩藩邸を訪れた竜馬との場面は
初演よりもさらに見せ場になっていたと
“竜馬が心底惚れ込んだ西郷さん像”を熱演
ぶっとい眉も(笑) それ濃すぎません?な豊麗線も(笑)
なかなかどうして違和感なくって
見た目はちょっと小ぶり(笑)ですが心はデカく立派です

そんな西郷さん相手ですから
染竜馬も熱が入るってもの 腕。
話の本質に近づくにつれ緊迫感が漂いますが
そこに至るまでのやりとりでは
竜馬のおおらかさや
西郷さんの懐の大きさも見えます
観ている方も自然と引きこまれます

竜馬がやってることは
勝先生への背信 二股ではないのかと
竜馬に鋭く突きつける場面
猿弥さんかなり凄みありました

それに対する竜馬の
天がわかっちょってくれたらいい
それこそ男子の本懐で
天に恥じる事は微塵もなく・・・
のくだり
互いに相手の目をジッと見据える姿は
まさに息を呑む嘘のない二人のガチの勝負
劇場中に緊張が走るぐらい張り詰めた空気が感じられ
ここまでになるとは・・・ほー


◆ここが違う!
クライマックス大屋根が歌舞伎座に比べ
小型化していたのは玉に瑕ですが sweat*

天いまだ我を見捨てたまわず
畢竟回天の大業を成就させよと
おりょう わしゃこれぐらいのことで死にゃぁせんぜよ
生きちょるということはおもしろいのぉ
生きちょるということは有り難いのぉ

 (あれ?素晴らしいのぉだっけ?えへへ…

竜馬!おりょう!
 > 高麗屋♪
 (ここで柝と共に低いお声の抑えた大向うが
 スッと入ってカッコよく決まっちゃう ニヤリ
ハニームーンぜよぉ~!
 (暗闇の幕が振り落とされ)
朝焼けが広がる~

う~ん 大屋根での
竜馬とおりょうのこの場面
いつみても何度みても
私を幸せな ハート 気分にしてくれました ありがとう

ここが全て!とは言いませんが
今回の風雲篇で印象深い場面の上位ランク間違いなし!

初演時のこの場面より一層思い入れたっぷりというか
元々あった場面の中では大きく演出変更された部分かなと

前回はおりょうが瀕死の竜馬を抱きしめ
名セリフである“ハニームーンぜよ~”
も含めおりょうさんが主導でしたが
今回は竜馬がおりょうをしっかり抱きとめ
主導権を握っていたように思います

おりょうのキャラクターの違いが出ていて
なるほど~ ほー と私は感じたのですが
実際それが意図するところかどうかはわかりません

亀@おりょう
めちゃくちゃ八金八鷹で気性が激しい
言い方変えれば?しっかり者(笑)
竜馬もちょっぴり押され気味でお尻に敷かれてますか?的
でも竜馬はそんな彼女に惚れてますみたいな

孝@おりょう
お転婆には違いないけれど
(うまく言えないけど)あくまで竜馬が存在してこその
竜馬が守ってやらないといけない感が強いおりょうさん
故に竜馬のそばにいるのが とても幸せそう

役者が代われば個性に合わせて演出も変わるもの
どちらが好きというのはあるかもしれませんが
これはこれでありだな~と思った次第です


◆好きな場面は多々あれど
西郷さんちで鈴虫を追っかける無邪気な竜馬

頼りにしてます!的ど~んと構えたお登勢さんに
おりょうを養女にする意図を見透かされ
恥ずかしそうに照れる竜馬

風邪っぴきのくせに おりょうの月琴で
浮かれ踊る竜馬も可愛い

刀では時代を変えられんと窘めつつも
愛情を持った大きな心で以蔵を抱きしめる竜馬

三吉さんとのコンビも大好きだな~
大屋根での何見てんだよ~あっち行けよ!な
やりとりなんてよいですよね
切っても切り離せないコンビです

“えへんえへん”と乙女姉やんに書く手紙
自慢げに誇らしげに報告する竜馬も微笑ましく
またその染五郎さんの
えへんえへん が 妙~に shokopon

かと思えば
“天がわかっちょってくれたらそれでえぇ”
と西郷さんに熱く語る竜馬は かっちょえぇ~

掲げても掲げてもキリがない・・・

これらをみてもわかるように 凄く人間的というか
人より胆力・行動力・交渉力に長けていたかもしれないけど
決してスーパーヒーローなではなく
他の人間と同じように悩み 考える のだけれど
自然と相手を自分のペースに引き寄せ
いつの間にか納得させているというか
竜馬の人となりが周りの人間に影響を与えもたらした結果が
後々偉業と言われる事の下敷きに繋がった

・・・のではないかなと思わせる
そういう飾らない人間臭い部分を
強く感じさせるのが染五郎さんの竜馬かと

ホント水を得た龍の如く生き生き演じられ
様々な竜馬がすぐそこにいて
今回に限った事ではありませんが
まさに等身大の坂本竜馬です


今までにも感じたけれど
染五郎さんと竜馬が同化しているよう
あまりに自然過ぎて竜馬と染五郎さんに境がない
なので観ていても
ご本人のやる気満々とは裏腹に(笑) ← ここがよい!
力んでなくてとても自然体なのがいい感じ
土佐の海の匂い うれしい がしてきそう
そんな染@竜馬が大好きです

実際舞台では三条河原での宴会場面で
スルメのニオイがぷんぷん(笑) アハハ‥
(↑ ひとこと多い(笑)?)


そしてそして最後に
やっぱり言っておかないと~な事 それは
染五郎さんの話される土佐弁
立て板に水の如くとは言うものの
時には力強く 時には厳しく
そして優しく温かい fuwa2
竜馬の人となり そのもので
やっぱり とても好きなのでした


立志編では“上機嫌+男臭さ”
ご本人的には風雲篇のテーマは何だったのでしょうね

  ティンク の 覚え書き-201007竜馬

単に雑談として書いても書かなくてもな事が
いくつかあるのですが
ここまでの道のりが長かったので sweat*
別記事にて書きま~す
つまんない事でもお付き合い下さる方は
コチラで
 → そうだったの?ちょっと番外篇