まだ夏休みの宿題(観劇記)やってます

すでに今月初日開いてるので

演舞場夜の部の引窓への手引きとしてどうぞ~
なんて言い訳しておきます(笑)
手引きにもならないかも~
・・・松竹座・夏芝居回顧・其の3 です
→ 七月大歌舞伎/松竹座 あらすじ等
松竹座・夏芝居回顧・其の1はコチラ
→ 握った拳 通じ合う瞬間
松竹座・夏芝居回顧・其の2はコチラ
→ はなみず・泣きべそ・よばあたれ
→ そうだったの?ちょっと番外篇
(以下敬称略)
◆双蝶々曲輪日記
井筒屋 / 米屋 / 難波裏 / 引窓
南与兵衛
後に南方十次兵衛 / 仁左衛門
藤屋都後に女房お早 / 孝太郎
濡髪長五郎 / 染五郎
山崎屋与五郎 / 愛之助
藤屋吾妻 / 春 猿
三原伝造 / 段治郎
平岡丹平 / 猿 弥
おせき / 吉 弥
母お幸 / 竹三郎
放駒長吉 / 翫 雀
今回若手にも存分に働いてもらう
と仁左衛門さんがおっしゃってましたが
まさに それが活きたのがこれかなぁと
いつも歌舞伎座等で観る角力場・引窓は
やはり大御所と呼ばれる方々のご出演が多く
観ている時は重厚感~終わってみて余韻を
という感じだと思うのですが
若手な配役によってリアルに近い年齢での上演で
古典が観る事が出来たかなと思います
実際それぞれのお役の↑想定年齢は存じませんが
花形歌舞伎とはまた違う趣きでした
*
◆本来 井筒屋の前に 角力場 が入る
この場があると 与五郎のつっころばし振りが表現され
こんな憎めない人だから濡髪は後々
色々苦労する事になっちゃうのよ~と思えます
※今回上演はなし
*
◆初めて観た井筒屋
以前にも書きましたが
ホントそんな簡単にそんなことやっちゃってな世界
普通考えたらかなりグロくてエグイですよ(笑)
都と吾妻の悪びれる事なく(濡れ衣着せて)
あっけらか~んとした(部外者に指切って~)
あまりに大胆不敵な(笑)企みがそう思わせない
ねじ伏せた感は感じさせず
自然 笑いにすり替わっている それってスゴイ~
陥れられた方はたまりませんけどね

相思相愛な与五郎と吾妻のジャラジャラ
与五郎さん小指噛みちぎられて血がダラダラなのに
な・の・に~ まぁジャラジャラ位は許しましょう
けど衝立裏にいって何してるの(笑)!!!
あの傷 あれからあとどうなったのでしょ
そんな突っ込みしたい心を抑え

美男美女カップルに まっいいか~と(笑)
そして意外や意外(失礼千万)


高下駄に重量感しっかりの
染五郎さんの濡髪に一目惚れ(笑)

困った事あらば いつでもどこにいても来てくれそうな
とても頼りがいのある関取さん
誰がここまでハマろうとは
恰幅は・お声は・そんな諸々の余計な心配(笑)をよそに
おおかたの染ファンをよい意味で裏切る
魅力的な濡髪さんでした

お相撲さんにしておくには男前過ぎですけど
・・・ね(笑)
吾妻の身請けを巡る 長吉・長五郎の互いに
懇意にしてくれる(恩ある)人のメンツを掛けての対峙
お相撲さん同士ですから
丸腰での相撲の手を入れながら
取組みさながらの立ち回りはおもしろい!
明らかにガタイの違いで笑えるところもあったりで
片や相撲が生業の濡髪長五郎
片や素人相撲の放駒長吉
二人の対比も鮮やかでした

◆初めて観た米屋
預かりとなっていた喧嘩の決着の為長吉宅を訪れる濡髪さん
真剣勝負で大立ち回り随所随所でのキメは勿論
その時の 流し目にも思える視線に
胸がドキドキ



俵に刀傷がつき お米が頭上から
ザ~っと流れ落ちる見せ場では
客席も思わず おおぉ~

さらに米俵持っての見得には
はい もう参りました~

と言わずにはおれないカッコよさです

対する長吉はとても浪花な青年らしさが出ていたと
何かと言えば喧嘩沙汰の弟を心配し
偽芝居を打ってまで正そうとする姉と
そんな気持ちを知ってか知らずか
いつもヤンチャな長吉の場面が主ではありますが
この場を観たことで
引窓で濡髪がなぜ母親に逢いにくるのか
逢いたくなったのかという事に更なる訳が見えた気がします
(難波裏で)人を殺め
先は長くない(自害か捕まる)だろう気持ちから
幼い頃に別れた 母にひと目~というのは勿論の事
長吉が姉に大事に思われている様を目の当たりにし
母への思慕が大きくなったのだろうと思えます
心から案じてくれる身内がいる事の幸せ
その羨ましさを 長吉に言い聞かせるところ
濡髪さんはなんて優しい目をしているのでしょう
思わず濡髪の心情を思うと

長吉の姉の願い出といえ義兄弟の盃は
濡髪さんにとっても身内が出来たようで
うれしかったのではないかなぁ
→ 握ったその手 ② へ続く