日生劇場・三月花形歌舞伎
平成22年3月6日(土)~26日(金)
通し狂言
染模様恩愛御書
  ~細川の血達磨


大川友右衛門 / 足軽袖助:染五郎

印南数馬:愛之助

横山(印南)図書:猿弥
腰元あざみ:春猿
細川奥方照葉:吉弥
細川越中守:門之助

横山いよ / 大川きく:芝のぶ
医者玄庵:幸太郎
松井帯刀:錦吾

講釈:旭堂南左衛門

 → 歌舞伎美人該当ページ
 → 染模様恩愛御書公式HP
 → 染模様公式ツイッター

3年半を経て甦った染模様恩愛御書
初日が開く前から
初演時からあった再演話がなぜ?今?日生だ?とか
肝・腎・腸~!!!は今回封印することを
匂わせる染五郎さんのインタビュー発言だとか
日生には盆がないのでどうするんだ?とか
猿弥さん図書様のご出演ははたして叶うのか?とか
(↑ 1月途中2月を体調不良で休演されていて)
初日直前ゲネプロの様子をニュースで拝見したら
友右衛門が実は今回 白塗りではない!!!とか
(↑ 結構驚愕の事実でした私には)

色んな事がアタマを渦巻く状況での幕開けも
(↑ これは私の勝手)
開けて実際拝見してしまえば一部を除いては
余計なお世話でした的にぶっ飛んでましたけどね(笑)

【あらすじ】
大川友右衛門は細川家の小姓・印南数馬を恋慕うあまり
武士の位を捨て 細川邸に中間として奉公するようになります
二人は衆道の契りを交わし数馬の父の仇である
横山図書を討つべく兄弟の義を結びます
やがて友右衛門と数馬は 見事図書を討ち果たしますが
争いの末に起こった火事により 細川家の宝である
御朱印状を入れた宝蔵へ火が移ってしまいます
友右衛門は御朱印状を守るため 火の中に飛び込み・・・


それでは早速 
いつもながら観た人にしかわからない?・・・と思います
順不同 贔屓炸裂  問答無用  同意大歓迎
再び三度 壊れましょうぞ~(笑)

初演松竹座よりもかな~り削ぎ落したところが多く
上演時間も幕間含め2時間45分(初演3時間30分)に
今回 数馬の母が出てこないとか
図書がいよを斬った理由が少し違うとか
友と数の場内お散歩がないとか
いろいろいろいろ その辺りのこともあったり
染@友右衛門の出端 今回は開演20分弱ですが
松竹座では40分出てきませんでしたからね ええ??!でしょ(笑)

削ぎ落した分 = 人物の因果関係とか物語の背景?なのか
その辺りがちょっぴり気薄になったような
しかしそう感じてしまうのは初演を知っているからであって
その辺はやはり難しいですね 記憶は消せないし


◆猿弥さんの 図書

も~愛してやまない じゅちょさま~❤
↑ そういう役柄ではないのですけど(笑)
友右衛門様の次くらいに好きかも猿弥さん最高!
ほんと戻ってきて下さってよかった~
殺陣が達者で友右衛門と渡り合える腕前
それでいて絵になる悪の存在感必須!
適役は憎まれてナンボですから(笑)
初演時からなくてはならない方
今回もそれを遺憾なく発揮!
ただなぜかDV炸裂図書様となってたのがちょっと
やはり妻いよは妖刀に操られるように斬ってしまい
愛していた妻への後悔と思慕の念から
生き写しの きく を妻に・・・が私はよかったかな~
その方が図書という人間に深みがあったかも
しかしこれは脚本上そうなったので仕方なし
今回はその辺を削いで悪!適役として際立たせたかったのか

仇討ちの場での 友vs図書 の立ち廻りは 速い!!!
歌舞伎の立ち廻りイメージ超えてません?
染五郎さんの刀が弧を描けば描くほど
空を斬れば斬り裂くほど風を感じ
太刀が交わるほどに観ていてチカラが入る 猿弥さんあってこそ!
目の前で展開される≪仁木弾正ですか?な対決≫には大興奮
空をつかみ もがき苦しむ死に場は見事じゃ
でも実は重いのね(笑)? とか
1回も勝てなかったのは残念至極だった事でしょう?
とかツイッターな話題がアタマをよぎる(笑)
病み上がりとは思えない猿弥さんに大拍手でした

でも楽屋で <仮面ライダー> を唄いつつ
「来たな!ショッカー!」とテンション上げる姿を想像すると
いやはや何ともカワゆらしい


◆芝のぶさんの おいよ・きく

この方をみるといつも思う事
なぜそんなにいつどこでみてもキレイなの?
カワイイの?女の人にしか思えません(笑)
そしてお顔だちからでしょうが幸薄き女性がお似合い
だから今回のように殴られ虐げられはまさに
しかし斬られた後の伏した姿の
(身体の線の)なんと美しい事よ!


◆門之助さんの 細川越中守

お咎めを言い渡すと思いきや友の数への思いや
数の孝心の篤さに感銘を受け
逆に友を武士に取り立てる詮議の場
ここでどっと笑いが起きる時もありましたが
(↑ まあわからなくは無いけど)
よくやった越中守! 的に拍手喝采の日があり
そうよそうなのよ~!これよ~!と
ほくそ笑みながら共に拍手が出来た時はうれしかった~

もちろん その日は越中守の
“大川とてもとは細川”
そして友の句
“絶えずして流るる水を見渡せば
上(神)は細川 下は大川~”でも
キタ------- 的に(笑)拍手が湧き
客席が不思議なほど一体化してました
これ顕著だったのは例の初2回カテコの日です
 → 清々しく?!~初2回カテコ

友と数の不義を許すに相応しい
友右衛門がいずれこの恩に報いようと決意するに至る
懐のデッカイお殿様だったと思います


◆春猿さんの あざみ

この詮議の場で実は
私が目を離せなかったのがあざみ
友・数・越中守に目が行きがちですが
90%はこっち↑をみながら10%で?
あざみをずっとみていたのです
ここでの春猿さんがとってもいい

友・数の“出来事”を目撃した時を含め
初演時は着物の袖が引きちぎれそうな位
嫉妬メラメラしていたのですが
(それはそれで良かったし好きでした)
今回はそれに加え数馬に惚れたが為の切なさみたいな
悔しくて恨めしくて・・・打ちひしがれて哀れで
自分のやった事に対する愚かさまで見えたかも
あざみはとても女の人なのだと感じてしまい思わずジワっ
最後自害してしまう哀しさ
(↑ 初演は引っ立てられていくのみ)
この人もある意味忠義の人なんですね

左側神経であっぱれあっぱれ~
よかったよかった~と思いながら
右側神経であざみの姿に涙する私
ああ~忙しい(笑)

余談?ですが
私 女性の立ち廻り結構好きなんですよね~
袂を気にしながら押さえつつ懐剣でっていうのが特に

忙しさはまだまだ続く?!
そしていよいよ?!友右衛門と数馬の登場
・・・其の2 へ