平成21年度
(社)全国公立文化施設協会主催
松竹大歌舞伎 中央コース

平成21年6月30日(火)~7月31日(金)

一、伊賀越道中双六  ~沼津
   
    呉服屋十兵衛  吉右衛門
    お  米      芝 雀
    池添孫八     歌 昇
    雲助平作     歌 六


二、奴道成寺

 白拍子花子実は狂言師左近  染五郎


      ※巡業中央コース
          あらすじ等は → 歌舞伎美人

 
天候不順 暑い最中の
慣れない会場 土地 での公演のこと
どんな事があっても おかしくはない
そんな?こんな?で (どんな?)
長かった巡業も無事千穐楽を終えました

夏バテの為?
沼津でちょっとお昼寝してしまった日もあり~の
(私 私がですよ!)
ごめんなさ~い (^▽^;

奴道成寺では 
染五郎さん 今日は???どうしたのでしょう?と
キレが感じられず 何だか違~う
と思った日もあったり~の (-"-;

いつもの事ながら
ツラツラ~と (ダラダラと?) 書きたいと思います

テ ィ ン ク の 覚 え 書 き-09夏中央

◆伊賀越道中双六  ~沼津

生き別れになっていた父と子が
ふとした偶然で再会し
お互いがそれと分かった時には敵討ちの敵味方
幕切れは最期の別れになってしまう悲劇ではありますが

前半は道中お散歩などがあって
笑いやなごみの場面も多く楽しめました
巡業には 沼津を観たこともなければ
下手すれば歌舞伎が初めてという方もいらっしゃるわけで
お客様の反応も素直 (^O^)
会場が一気にテンション上がるのがわかります (笑)
でもそういうのいいですよね

未だに客席通路を使った芝居に出会うと
何回も観てわかっていても何気にうれしい (笑)
それが染五郎さんだったりしたら余計 (^▽^;
6月の 幡髄長兵衛とかね~
あれは子分達が一瞬駆け抜けていくだけでしたけど
親分はゆっくりご登場でしたし

客席をも舞台に捲き込んで
その間に 居どころ変わり で舞台転換
よく考えられたお芝居です
巡業に この演目を充てたことよかったかも


平作が なぜお米が印籠などを
と考えあぐねているうちに
自分の足指の傷をみて はっと気付く
娘が秘薬欲しさに客人の印籠を・・・
その時の表情 この場面が
今回の沼津に関しての
私の涙のキッカケになったような
歌六さん 巧いなぁ~

とても今回初役などとは思えない平作です
所縁のあるお役ではあるけれど
この方の為の役じゃないかと思えるくらい

最近あまりにも老け役が多い歌六丈ですが
たまに (;^_^ お若い役をされると
あっまだお若かったんだと
ごめんなさ~い (笑)
最近だと6月の髪結新三の弥太五郎源七とかね

まっいいんですよ 吉右衛門さんなんて
今回28歳ですから (^▽^;

その吉右衛門/呉服屋十兵衛
これまた思いのほか よかったなぁ
 ( 失礼 m(_ _)m )
しっかりした それでいて愛想のよい商人風情が感じられ
ひと目でお米に ほの字に (笑) なるくだりは
とっても可愛かったですね デレデレだったけど

平作を父と知り 家人の目が無い時に
立ち退くその瞬間 母の仏壇にそっと手を合わせる
なんとも言えない十兵衛の気持ちが痛いほど感じられる

父だと知れたけれど それと同時に敵味方とも知れ
目の前にいるのに名乗れない
せめて・・・父平作の顔をきちんと見たいと
十兵衛が “この蝋燭で吉原まで行けるか” と灯りをかざす場面
その時の十兵衛に出来る 精一杯の気持ちがよく表れていて
ここがまた吉右衛門さんが巧い その瞬間の表情がよいのです!

“理を非に曲げても言わせてみしょう”
と平作に言わせてしまう義理しがらみ

息子十兵衛に敵の行方を言わせるには
義理しがらみを超えさせるには
自ら腹を切り 心情に訴えるしかないと 考えたのでしょうね
とても哀しくて やるせない気持ちになりました

息も絶え絶えの平作が
聞くものは我が一人とかたきの所在を懇願する
それに応えるかのように
商人の道の義理ではなく
あくまで息子として 死にゆく父に語るという建前で
雨がかからぬよう平作に笠をかざして
かたき 沢井股五郎の落ち着く先は 九州相良~と
どうかそこまでで勘弁と言う十兵衛

もう涙なくては観れませんでした
客席のあちらこちらからもすすり泣く声
もうあとは 。゚(T^T)゚。 です

舞台袖から流れる胡弓の音色が
哀しく響いて・・・とても効いていました


この物語には その後があり
十兵衛はわざと志津馬(妹お米の病身の夫)の手にかかり討たれ
志津馬に沢井股五郎の行方を明かし
お米のことを頼んで絶命するのだそう

平作が“理を非に曲げても言わせてみしょう”
と心に決めたと同じように

十兵衛が父平作 (と妹お米) に かたきの行方を明かした時点で
こうなる事を心に決めていたのだと思うと
なお一層 哀しくなります


    ※長くなりましたので 奴道成寺は分割します