※女殺油地獄 千穐楽 つづきです
※其の1はコチラ → 女殺油地獄 千穐楽 其の1
遊んだ借金の調達奔走
勘当されても性懲りなし
揚幕が音もなく開き
いつの間にか花道に現れる頬被りの与兵衛
お金を無心に行った豊嶋屋の
玄関先で唯一見せた 父・母への感謝
ここでの与兵衛の気持ちは本物なんですよね
仁左丈の与兵衛を観ていると ホントそう思える
すごく好きな場面でもあります
・・・も束の間
お吉に素気無くあしらわれると
いっそ不義になって貸して下され と言い寄る与兵衛
そこから殺してしまおうと
気持ちが変化する瞬間の表情
明らかに眼が違う
倒れた樽から油が伝う
最初は金の為と無我夢中に追いまわす
それがいつしか狂気に満ち始め・・・
その辺りからが なおスゴい
この人にヒトの心はあるの?とさえ思えてくる
お吉はもう蛇に睨まれた蛙のようなもの
逃げ惑えど逃げ惑えど容赦もない
油に足をとられながら
もつれ合う与兵衛とお吉はなぜか艶っぽい
手負いのお吉を追い詰めては獲物を逃すまいと
狂ったように殺すことを楽しみ
恍惚の表情さえみてとれる
ぞっとする惨劇が
フラッシュバックの如く繰り広げられる
暗闇で手に触れたお吉の帯を引きずり寄せ
うすら笑いを浮かべとどめを刺そうとする瞬間
目の前で展開されているのは紛れもなく惨事
けれど青白い光が灯っているそれは怖ろしくて美しい
あの表情は忘れられない
お三味線の音が織りなす世界と
仁左衛門丈の紡ぎだす与兵衛の世界
・・・これが近松なのでしょうか

息絶えたお吉をみて我に返り急に恐怖感から震えだす
脇差しが手から離れず打ち付けて
やっと手からこぼれ落ちる
鞘に戻そうにも上手く戻せない
この辺りの描写は
こういう時 ほんとにこんなだろうと思わされる
若さよりも もう芸がモノ言う なのだと思います
戸棚の金を掻き集め
やっとの思いで豊嶋屋をあとにするものの
犬の遠吠えにさえ怯える与兵衛
本当にさっきまで人をなぶり殺し
恍惚の表情を浮かべていた人なのかと思えるくらいに
小さくて弱くて怯えきっている
(お席が前方中央だった為)
花道を引っ込むお顔は横顔しかみえなかったけれど
最後のその背中が全てだったような
その後ろ姿に 歌舞伎座全体が
思いっきりの拍手を贈っていました
幕が閉まり客電が点いても
場内アナウンスが流れて?も(拍手で聞こえず)
ずっとずっと鳴り止まない拍手
ありがとうございましたの気持ち
お疲れさまでしたの気持ち
でもやっぱり寂しいです・・・の気持ち
観客のいろんな思いが鳴り止まない拍手となったのだと
拍手をせずにはいられなかった
拍手が止まない中
突然客電が落ち・・・定式幕が開くと
そこには
青白い光のもと惨劇の豊嶋屋
上手にはお吉が息絶えたまま横たわっていました
これが これを観せて下さったことが
その時の観客の拍手に応えて下さった
仁左衛門丈の精一杯の気持ちだと思いました
この場面を観せて頂けて
あらためて ありがとうございました
の拍手を贈りたくなりました
再び与兵衛が現れることがないのはわかっていた事
(現れてほしくはなかったですし)
女殺油地獄 一世一代
渾身の仁左衛門丈の千穐楽
拝見出来たこと とても誇りに思います
※六月大歌舞伎・歌舞伎座
あらすじ等は → 歌舞伎美人 で
※其の1はコチラ → 女殺油地獄 千穐楽 其の1
遊んだ借金の調達奔走
勘当されても性懲りなし
揚幕が音もなく開き
いつの間にか花道に現れる頬被りの与兵衛
お金を無心に行った豊嶋屋の
玄関先で唯一見せた 父・母への感謝
ここでの与兵衛の気持ちは本物なんですよね
仁左丈の与兵衛を観ていると ホントそう思える
すごく好きな場面でもあります
・・・も束の間
お吉に素気無くあしらわれると
いっそ不義になって貸して下され と言い寄る与兵衛
そこから殺してしまおうと
気持ちが変化する瞬間の表情
明らかに眼が違う
倒れた樽から油が伝う
最初は金の為と無我夢中に追いまわす
それがいつしか狂気に満ち始め・・・
その辺りからが なおスゴい
この人にヒトの心はあるの?とさえ思えてくる
お吉はもう蛇に睨まれた蛙のようなもの
逃げ惑えど逃げ惑えど容赦もない
油に足をとられながら
もつれ合う与兵衛とお吉はなぜか艶っぽい
手負いのお吉を追い詰めては獲物を逃すまいと
狂ったように殺すことを楽しみ
恍惚の表情さえみてとれる
ぞっとする惨劇が
フラッシュバックの如く繰り広げられる
暗闇で手に触れたお吉の帯を引きずり寄せ
うすら笑いを浮かべとどめを刺そうとする瞬間
目の前で展開されているのは紛れもなく惨事
けれど青白い光が灯っているそれは怖ろしくて美しい
あの表情は忘れられない
お三味線の音が織りなす世界と
仁左衛門丈の紡ぎだす与兵衛の世界
・・・これが近松なのでしょうか

息絶えたお吉をみて我に返り急に恐怖感から震えだす
脇差しが手から離れず打ち付けて
やっと手からこぼれ落ちる
鞘に戻そうにも上手く戻せない
この辺りの描写は
こういう時 ほんとにこんなだろうと思わされる
若さよりも もう芸がモノ言う なのだと思います
戸棚の金を掻き集め
やっとの思いで豊嶋屋をあとにするものの
犬の遠吠えにさえ怯える与兵衛
本当にさっきまで人をなぶり殺し
恍惚の表情を浮かべていた人なのかと思えるくらいに
小さくて弱くて怯えきっている
(お席が前方中央だった為)
花道を引っ込むお顔は横顔しかみえなかったけれど
最後のその背中が全てだったような
その後ろ姿に 歌舞伎座全体が
思いっきりの拍手を贈っていました
幕が閉まり客電が点いても
場内アナウンスが流れて?も(拍手で聞こえず)
ずっとずっと鳴り止まない拍手
ありがとうございましたの気持ち
お疲れさまでしたの気持ち
でもやっぱり寂しいです・・・の気持ち
観客のいろんな思いが鳴り止まない拍手となったのだと
拍手をせずにはいられなかった
拍手が止まない中
突然客電が落ち・・・定式幕が開くと
そこには
青白い光のもと惨劇の豊嶋屋
上手にはお吉が息絶えたまま横たわっていました
これが これを観せて下さったことが
その時の観客の拍手に応えて下さった
仁左衛門丈の精一杯の気持ちだと思いました
この場面を観せて頂けて
あらためて ありがとうございました
の拍手を贈りたくなりました
再び与兵衛が現れることがないのはわかっていた事
(現れてほしくはなかったですし)
女殺油地獄 一世一代
渾身の仁左衛門丈の千穐楽
拝見出来たこと とても誇りに思います
※六月大歌舞伎・歌舞伎座
あらすじ等は → 歌舞伎美人 で
