オジサマたちの軽快な冗談を交えながらのゆるーい解説や裏話、それも私がロードレース観戦にハマった魅力のひとつ。そうでもなければ5時間近いレースに毎日かじりついてはいられない。

しかしカメラのチャンネルを切り替えた途端に解説の声は無くなり、視点はそれまでの俯瞰からぐっと下がってバイクの目線に切り替わる。
ジェットコースターのシート目線の動画なんかがYouTubeにあるけど、あんな感じ。
外国の街並み、つづらおりの山道、急斜面のヘアピンカーブ。
見知らぬ異国の景色の中を、時には時速100キロ近い速度で走る、ヘルメットに薄いスキンスーツ一枚だけのロードレーサーたち。
ガードレールもないカーブで、一歩間違えば死んでしまうという恐怖を感じないかのように、選手たちは生身で恐ろしいスピードを出して走っていく。

彼は3ヶ月前にレース中の落車で鎖骨、肋骨を骨折、肺挫傷、肺気胸の大怪我を負ったばかりだというのに、怖くないんだろうか。
自転車のタイヤがギリギリのコースを攻めるたび見ている方が思わず目をつむって、崖から避けるように体を傾けてしまう。


上りの山道や市街地に入ると沿道を観客が埋めている。
それぞれ国旗をはためかせたり、選手の名前を書いたりプラカードを掲げたりお祭り騒ぎ。

あれだけの大観衆に自分の名前を呼ばれるのは一体どんな気持ちなんだろうかと思う。
1秒を縮めるために命がけのスピードを出してペダルを踏みながら、それでも応援されるのは嬉しいだろう。力になるだろう。
優越感を覚えるだろうか。自己顕示欲が満たされるだろうか。
トップロードレーサーは年俸数億円を稼ぐ、スーパーアスリートだ。











昔、サドルを盗まれたことがあるねんけど…盗んでどうするんや。。