四つん這いになった身体に鞭が振り落とされはじめた。

アオくんの鞭はこんなに痛かっただろうか。

痛むたび力を込めて耐えているうちに、熱を持った全身から汗が滲む。

他の人と遊んだときのような冷や汗ではなくて、それは運動後と同じ心地よい熱い汗だ。



それから絡みつくように長くセックスして、さっき充電したバイブも使われてへとへとになる。もういい、と音を上げると、


「あんなにいきたかったのに、もうギブアップなの?」


とアオくんは優しく笑った。





シャワーを浴びて部屋に戻ると、アオくんはソファで煙草をくゆらせながらスマホを弄っている。

誰と連絡しているんだろう、と考えたのを見透かしたように画面を見せて、杞憂であることをさりげなく示す。


「今年の漢字、ってあるじゃない」

「ああ。税、だっけ」

「それをね、相手にイメージする漢字を当てはめるっていうのをやってるんだけど。ユカリさんの漢字はなんだろうな…」


私と同じく、アオくんも文学にはこだわりがある。

こういう話が出来る相手は楽しい。

普通、身の回りにはあんまりいないのだけど、何故か界隈には芸術畑の人間がたくさんいるので話題には事欠かないのだ。