先日ブロ友さんと少しやり取りをしまして、
「自己抗体」って何だろう?という話題になりました。
確かに、これってなかなか難しいですよね…
私の覚え書きも兼ねて、少しまとめてみようかと思います。
● 抗体とは
まず、「抗体」とは何なのか、ということですが、
簡単に言うと特定のばい菌(主にウイルス)をやっつけるために、
体の中で作られるたんぱく質を指します。
抗体は、血液の中の主に「リンパ球」という細胞から作られます。
体の外からウイルスが入ってくると、様々な免疫担当細胞が働いて、
ウイルスをやっつけようと様々な反応を起こします。
その結果、発熱や咳、鼻水などの症状が出ることになります。
(つまり、インフルエンザとかで熱が出ているときは、まさにウイルスと戦闘中です)
そして、最終的にリンパ球が抗体を作り、
次回、また同じ敵が入ってきたときに早い段階で攻撃を開始し、
症状などが重くなる前にウイルスを排除できるようにしておくために抗体を作っておきます。
ちなみに、ワクチン接種はこの抗体を実際に感染する前に作るためにする処置で、
弱毒化したりして加工したウイルスの一部を注射することで、
体の中で抗体を作ってもらうために、ワクチンを接種します。
そのため、発症予防は完全には無理だとしても、
体の中でウイルスが増える前にワクチンで作った抗体がウイルスをやっつけてくれるので、
重症化を防いだり、周囲に移すリスクを減らしたりすることができる可能性が高くなります。
ただし、ワクチンに命を懸ける必要は全くないので、
アナフィラキシーなどの既往がある方は必ずしも接種する必要はありません
(このご時世、残念なことに肩身が狭い思いをされることも多いかもしれませんが…)
● 自己抗体とは
上で書いた通り、本来抗体は外から入ってきた敵をやっつけるために作るものです。
しかし、体の中の免疫のバランスが崩れてしまい、
自分の体を攻撃する抗体ができてしまうことがあり、この抗体が「自己抗体」です。
そして、この自己抗体が自分を攻撃することで起こる病気が、
多発性筋炎や関節リウマチをはじめとした「自己免疫疾患」になります。
体の中でできる自己抗体の種類によって攻撃される場所が異なりますので、
自己抗体ごとに引き起こす病気が異なることになります。
この抗体を作る機能を下げるために、
ステロイドや免疫抑制剤の治療が必要になります。
ただ、本来働いてほしい外からの敵に対する免疫も落ちるため、
感染症には弱くなってしまいますから、
治療中は感染予防が大事になります
(おまけ)
● 中和抗体
ブロ友さんとのやりとりの中で、デュピクセントで抗体ができるらしいと初めて聞きました。
調べてみると、デュピクセントでできるのは「中和抗体」というもののようです。
これは、デュピクセントは注射のお薬ではありますが、
身体にとっては外から入ってきた異物であり、ウイルスとかと同じような感じになります。
そのため、お薬の成分を外敵とみなし、体の中で抗体が作られ、
せっかく打ったデュピクセントを壊してしまうようになることがあります。
この時に作られる抗体を、お薬を中和するという意味で「中和抗体」と言います。
そのため、中和抗体ができると、そのお薬の効果が出なくなってしまいます
これは、糖尿病の方が使っているインスリン製剤などにもできることがあります。
もともと、人の免疫はかなり複雑に管理されていて、
ウイルス、カビ、細菌それぞれに違う免疫機構がが働きます。
その過程で自己抗体ができてしまうと、膠原病を発症することになるんですよね…
なんでこんなものができてしまうの?と、発症した立場からすると思ってしまいますが、
できてしまったのはしょうがないので、
うまくお付き合いできるように治療を頑張っていきたいです