Nのために 小説から抜粋①安藤編それなら、世界の果ての1番高いところに立ってみたくはないか、と言ってみたくなったが、突然強風にあおられた杉下は体をぐらつかせた。バランスを取り戻すと再び遠くに視線を向けた。だが、片手は俺の作業着の裾をしっかりと握りしめている。言わなくてよかった。言えば杉下は、世界の果てに行く方法を考えるだろう。そして1人で行ってしまうはずだ。この手を離して。