本日はオフでした。睡眠不足解消のため、娘と一緒にたっぷり寝ました(笑)。
さて、スピード社製水着で注目された競泳のジャパン・オープンでは、本日までの
3日間でスピード社製水着を着用した日本選手によって合計16もの日本新記録が
樹立されました。特に本日の北島康介 選手(日本コカ・コーラ)による男子200m
平泳ぎの世界新記録(2分7秒51)は衝撃的でしたね。ライバルのブレンダン・ハンセン
選手(アメリカ)の持っていた世界記録2分8秒50を更新して一気に2分7秒台に突入
しました。8秒台の世界新は出ると思われましたが、7秒台は想像以上でした。
そして、おそらくこの北島選手の世界新記録が決定打となったのでしょう。
日本水連はスピード社製水着を解禁する方向になったようです。
北京五輪ではスピード社製水着を着た世界各国の選手によって、世界新記録ラッシュ
の高速五輪となるような予感もしますね・・・。
水泳と陸上では、競技の特性も歴史も異なりますが、今回の問題が陸上競技で
発生した場合を想像しました。陸上の場合、ウェアとスパイクという2種類の道具が
あるわけですが、どちらかというとスパイクのほうが記録に直結していると思います。
たとえば、ナイキ社が”魔法のスパイク”を開発して、そのスパイクを履いた外国選手
が突如として世界新記録を連発し陸上界を騒然とさせたとしましょう。日本選手の場合、
シューズメーカーとは個人契約がほとんどですが、大半の選手はアシックス社かミズノ社
です。さあ、選手は自らの契約メーカーを蹴っても、ナイキ社を選ぶでしょうか・・・。
と、こんな具合になるのでしょう。ただし、水泳の場合は、日本水連が国内メーカー3社と
契約を交わしているために選手はオリンピックではその3社しか着用できないというのが
今回の騒動の根本にあります。陸上では、確かにウェアについてはオリンピックで
着用するものは日本陸連の契約メーカーになりますが、スパイクは選手個人の契約
メーカーになりますので、今回の水泳とはちょっとニュアンスが異なりそうですね。
(ただ、これがウェアで起こった場合、水泳と全く同じ事態になりますが)
今回の件は、競泳の記録更新の要因としての、”水着”の重要性を際立たせるとともに、
スポーツビジネス全般に対しても1つの大きな問題提起となったと思いますね。
(ビジネスという側面からすればスピード社は大成功でしょう。)
さて、数日前に読了した本、
小阪裕司
さんの「ビジネス脳を磨く
」です。小阪先生は、私が私淑する方のお一人。
・今日のビジネス社会における最初の、かつ最大の問題は、多くの人たちが旧い
フレーム「工業社会のフレーム」から世界を見ていること。
・工業社会のフレームとは、高品質な製品(サービス)をいかに均質に効率よく
大量に生産するか、という視点である。
・また、現在の情報社会は「圧倒的な情報量の流通」を特質とするが、情報社会も
工業社会の延長線上にあるといえる。
・しかしこのようなビジネス環境は新しい社会へ向かっている。それは感性社会。
感性とは人が高次に情報を処理するメカニズムである。具体的には、特定の異性を
見て「あの人、いいなあ」と感じたり、ある商品を見て、「いいなあ」と感じたり、ある店
で過ごして「なごむなあ」と感じること、それが感性である。
・感性社会とは、たった1つの要素が異なる結果をもたらし、その結果が常に動いており、
予測が立たないビジネス社会である。
・感性社会には3つの特徴がある。
①「これをやれば必ずこうなる」という解答がない。
②「今日の解は明日の解ではない」こと。
③「A社の解はB社の解ではない」こと。
工業社会では他社の解をそっくり真似ることで成功できたが、感性社会ではむしろ
「差異」や「らしさ」がなければいけない。
・感性社会では、目の前にある「結果」を見ることではなく、そこに至る「思考のプロセス」
を見なければいけない。
・情報は、「自分にとって意味あるもの」として受け取れるかどうか。そういう意味では、
感性社会では売れるか売れないかは、価格の問題ではない。
・感性については経済産業省も着目しており、「ものやサービスの形に表れないもので
あっても作り手の手間、こだわり、時間などに共感して、それに価値を見い出すもことも
ある。ものづくりの仕組み、ものづくりに込めた思い、思いやりといったものもうまく解説し、
わかりやすく見せ、共感を得られれば、優れたデザインと同様な価値を持つようになる」
と記している。
・感性社会に適したフレームでビジネス現場を見て、出来事やデータを分析し、課題解決に
取り組むときの基本的な見方は「感性情報デザインがされているか」ということになる。
・感性社会でも変えるべきでないもの、それは発信する情報の軸をなすものである。
自分そのものであり、仕事の根っこであり、「道」である。そこには、信念、哲学、ミッション、
使命、ライフワーク、といったものが含まれる。
・感性社会では、顧客だけでなく、感性情報の送り手である私たちもどんどん変わっていく。
だから、ゴールがなく、これで完成というものがない。たゆみなく、完成社会で道をなして
いくと、その道に共感するお客さんがどんどん増えていくのである。
・現象やデータを収集・分析する際に注目すべき点は、異様な出来事、異常値を探すこと。
・商品が売れなかったときに、それは感性情報デザインが上手にできていなかったからでは
ないかという見方をすること。
・感性情報はアウトプットし続けることで成長する。
・そして、感性情報には”飛躍”が期待されている。お客さん側からいえば”意外性”、デザイン
する側からいえば”飛躍”である。
小阪先生の著書はほとんど読ませていただきましたが、感性という考え方(感じ方)は、
今の私の仕事のスタイル、計測工房のスタイルにもかなり取り入れさせていただいていると
思います。