本日読了した本は、
大御所として芸能界に君臨していると一般的に思われている和田アキ子さんですが、
その生き方や姿勢は人間として何が大切かを真摯に訴えています。ビジネス書でも
あり、子供を持つ親のための本でもあるように思います。
・嫌われるのが怖くて、子供に理解のある”いい人”のふりをしている。だから子供に
なめられる。叱るべき時に叱ってこなかったから、叱られ慣れていない子を突然
叱って逆切れされる。叱れないおとなばかりで仲良しごっこを続けているのが、
今の世の中。
・みんなが”いい人”でいたいと思うのは、人と関わって傷つくのが怖いから。人に
何かを言って嫌な思いをするくらいなら、黙っていたほうがいいと思う。要するに
コミュニケーション拒否である。
・叱るのは冗談や暇つぶしではできない。相手のことを真剣に考えていないと叱れ
ない。自分はどう思われてもいいから、相手に正しい道を教えたいと思う無償の愛
である。叱るのは究極の愛情表現である。
・挨拶されて嫌な気持ちになる人間はいない。
・「人を見かけで判断するな」と言うのは自分が人を見るときの話であって、他人は
自分を見かけで判断していると肝に銘じたほうがいい。
・最近、マナーの悪い人間が増えたのは、「個性、個性」と言い過ぎる世の中の風潮が
ある。「一人ひとりの個性を大事にしろ」と言うが、反社会的でモラルも何も関係なく、
わが道をいくのが個性だと思い込んでいるのではないか。本当の意味で個性的に
生きるとは、ルールを無視することではない。ルールを守った上で自分の技で勝負
するということ。
・親は子供に対して愛情があれば叱っていい。叱り方にマニュアルなんてない。
・「世の中がおかしくなっている」と言われているが、天下国家の問題も、始まりは一つ
一つの家庭から。家庭でのしつけや教育、親子や夫婦、兄弟のコミュニケーションが
うまくいっていれば、それがどんどん広がって世の中全体が良くなっていく。
・努力も苦労もしないで"何者か"になれるなんて甘いことを考えてはダメ。夢やあこがれ
や目標は自分で作るものであって、天から降ってくるものではない。そしてそれに向かって
「なにくそ」精神で頑張る。人生、転んでからのほうが断然面白い。
・どんな世界にいても、仕事をしてそれでお金をもらっていたら、その道のプロである。
サラリーマンだったら部長や課長といった肩書きがあるなら、その役割に徹しなければ
ならないし、肩書きがなくとも会社に勤めているなら、そこの社員としての役割を果たさな
ければならない。社会人というのはみんなプロである。
・著者は"和田アキ子”のプロである。玄関を一歩出たら、本名の自分を捨てて”和田アキ子”
を演じているのである。
・友人、知人はたくさんいるが、親友と呼べる人をつくることができない。”和田アキ子”という
存在が、すべて心を許して寄りかかったら相手に大変な負担を与えてしまうから。
・叱ると怒るの違いは、そこに愛情があるかないか。
・叱った以上は、上っ面だけの付き合いではなくて、とことん付き合ってあげる。叱った後は
フォローが必要。
・自問自答を重ねていくと最終的に辿り着くのは「なんぼのもんじゃい、和田アキ子」という
こと。「おまえなんかたいしたことない。まだまだや。明日も頑張らなあかん」と自分を
叱るのである。
・たとえ何歳になっても何年キャリアを積んでも他人への気配りや感謝の気持ちを忘れたら
自分が育たない。大御所のつもりになって「人がやってくれて当たり前」なんて思い上がった
らその瞬間から自分がだめになる。
・芸能界を40年間走り続けて気が付くと自分より年上の人が少なくなり、へたをすると自分の
周りにイエスマンばかりが集まって、だれにも叱ってもらえなくなる立場である。そんな今、
一番気をつけなければいけないのが、いい気になって、うぬぼれて自分を見失ってしまう
こと。”裸の王様”にならないように、常に自分で自分を叱れる人間でありたい。
社員を預かる経営者としても、子を持つ親としても、学ばせていただくことがたくさん
書かれていると思います。