世界陸上大阪大会 9日目の個人的所感です。これで9日間の世界陸上も閉幕しました。
9/2(日)第9日
・女子マラソン。これまでメダルゼロという不名誉な戦いを強いられてきたホスト国の
救世主となったのはやはり女子マラソンでした。土佐礼子選手(三井住友海上)が
銅メダルを獲得しました!
土佐選手はスタート後から自ら先頭に立ちレースを引っ張り、35kmを過ぎてから、
ケニア勢2人、中国勢2人に置いていかれ一時は5位になりながらも、脅威の粘りで
3位まで浮上し、メダルを獲得しました。自らレースを作ってのメダルというところで、
内容にも価値がありました。
土佐選手はこれで10回目のマラソンですが、特筆すべき最大の強みは、10回の
マラソンで最低の順位が5位という超安定感。しかもその5位の大会は2004年アテネ
五輪ですから、素晴らしい5位入賞です。土佐選手自身、メダル獲得は2001年の
エドモントン世界陸上の銀メダルに続いて2個目となり、さらに今回の結果で来年の
北京オリンピックの代表の内定者第一号となりました。女子マラソンはこれで残り枠
が2つ。過去最大の狭き門の代表争いになることでしょう。
そして土佐選手が及ばなかったのが、やはり優勝したキャサリン・ヌデレバ選手
(ケニア)と2位の周春秀選手(中国)の2人でしたね。2人とも2時間20分を切るベスト
タイムと数々の国際レースでの実績を持っており、強さは折り紙つきでした。
今回の女子マラソンは珍しく番狂わせやダークホースの出現がなく、実力者が
そのままメダルを獲得したレースでした。
・女子4×400mリレーはアメリカが圧勝しました。第2走を努めたアリソン・フェリックス
選手は個人の200m、そして4×100mリレーと合わせて3冠達成。
黒人選手は鋼のような筋肉で走るタイプが多い中、野生のカモシカのように、伸びやか
でしなやかな走りをするフェリックス選手の走りは一線を画していますね。女子200mの
優勝タイム21秒81は、21世紀最高タイムでもありました。
・男子4×400mリレーもアメリカが圧勝しました。アンカーのジェレミー・ウォリナー選手も
個人の400mと合わせて2冠でした。今大会は結局、世界新記録が生まれませんでしたが、
このリレーではあわや世界新記録かという可能性も感じさせるアメリカの強さでした。
男子4×400mリレーは陸上競技の大会で常に最終種目となります。これは世界陸上でも
オリンピックでも、そして高校生のインターハイでも、その都道府県予選でも同じです。
したがって必然的に大会のフィナーレを飾る大トリ種目として盛り上がりはピークになる
種目です。今回、そこに日本の姿がなかったのは残念でした。エースの金丸祐三選手
(法政大学)が故障でリレーに出られなかったことが響きましたね。
これで世界陸上も閉幕したわけですが、9日間たっぷりと楽しませてもらいました。
2年に一度の祭典です。もちろん日本選手が活躍するに越したことはありませんが、
そうでなくても、世界のトップを決める競技は本当に面白いです。
次回の世界陸上は2009年にベルリンで開催されます。
さて、昨日読了した本、

セコム 創業者の飯田亮氏の「世界のどこにもない会社を創る!」です。
・新しいことをやらない企業に価値はない。リスクを覚悟の上で新しいことに挑戦
していかないならば株式会社である必要はなく、社団法人でいい。
・セコム創業時に、考えた独立の五条件。
①努力すれば大きくなる仕事であること、②誰もやっていない仕事であること、
③人から後ろ指を刺されない仕事であること、④大義名分のある仕事であること、
⑤前金の取れる仕事であること。
・事業の発端は単純明快なほうがよい。ぐちゃぐちゃ考えると出来ない理由や失敗する
ことを考えて結局やらない。いいと思ったら逡巡しないでとにかく踏み出してみる。
・会社が成長してくる過程では、楽すれば儲かる方法もあった。しかし、楽な方法を
選んでいたら社員も成長しないし、会社の体質も弱くなってしまう。額に汗して努力して
得られる利益以外は受けてはいけない。
・新しいビジネスは規制とぶつかる運命にある。しかし、新しいことを始めるときは規制や
習慣にかまわず自由にやる。社会や人が喜ぶことをやろうというのであれば、それは
必ず通るのである。
飯田氏はセコムという会社を創ったのみならず、日本の社会にそれまで存在しなかった
警備業という1つの産業そのものを創った方です。
その自伝からは、ほとばしるベンチャースピリットを学ぶことができました。