大地と遊園地に行ってから1ケ月。あの日陸を見かけたと聞いて動揺している自分に少し驚いた。私自身陸のことは思い出になってきたかなって思ってたから。なのに大地の一言に自分でも意外なほど動揺したことで今でも陸のこと好きなんだなって実感してしまった。口数が少なくなってしまった私に大地は変に気を使うわけでもなく
『…そっか』とだけ言うと普段と変わらない会話に戻った。昔から大地は変わらずに優しい。私が辛いとき一番近くで支えてくれる。陸がいなくなった時もそうだった。周りは私に必要以上に気をつかった。その事が私には辛かった。でも陸は普通に接してくれた。その頃の私には何も見えてなかったけど今思えば大地の存在が私を救ってくれたのかも知れない。
母さんから遊園地の券もらったからって栞を誘ってみたけど、まさか栞が行くと返事するとは思わなかったが正直嬉しかった。家が隣で小さい頃から一緒に育ってきた栞。俺は小さい時から栞のことが大好きだった。昔から栞を守るのは俺しかいないと思ってた。そう。陸と栞が付き合うことになったと聞かされるまでは…。正直やられたと思った。陸とは高校からの付き合いで良く俺の家に来て栞とも良く話したりしていた。陸も栞のことが好きなのかも知れないとは感じていたが2人が特別な感情を持つほど親密な関係だったなんて気がつかなかった。
でも陸は俺の親友だし陸なら栞をきっと大切にしてくれるだろうと思った。そして何より栞が幸せそうに笑ってくれるのなら俺の気持ちは自分の心の中にしまい込むと決めた。
それから2年。
陸と栞は順調に付き合い今度の栞の誕生日には婚約する話まで出ていた。本当に幸せそうな2人が俺には少し羨ましかった。そんな時陸が失踪した。始めは心配しないでも大丈夫だって言ってた栞も失踪して1ケ月が過ぎる頃には心労で倒れた。陸を心配して眠れず食べれずな日が続き体に無理がきたのだ。その頃の栞は痛々しくて見ていられなかった。陸なら栞を幸せにしてくれると思って自分の気持ちをしまい込むと決めた結果がこれなのか?その頃の俺は自分を責めていた。栞が何と言うかわからないが俺はたとえ陸が帰ってきても栞には会わせないと決めていた。やっと陸がいない毎日に慣れ当たり前になっていた栞には陸を見かけたなんてことは言わない方が良かったのかも知れない。栞には言ってないが本当は陸を見かけたんじゃなく話しをした。陸と話したとき陸は『栞には本当に悪いことしたし勝手が良いとはわかってるけど今からでも謝ってやり直したいと思ってる。俺には栞が本当に必要だってわかったんだ』って言っていたが
『栞は俺が守る。お前は栞の手を自分で離したんだ。栞がどれだけ傷付いたと思ってる!?栞を傷付けたお前には会いに行く資格はない。諦めてくれ。』と言ってその場を立ち去ろうとした俺に陸は『……それでも俺は…栞が…』と言っていたが無視してその場を離れた。栞は俺が俺の手で守る。俺は密かに心に決めた。
今日は幼なじみの大地と久しぶりに遊園地に行く。
おばさんが商店街の年末の福引きで当てたのを貰ったらしい。大地も彼女とクリスマス前に別れたらしく行く相手がいないらしい。せっかくだからと独り者通し行くことにした。幼なじみなのに2人で出掛けるのは初めてだった。
久しぶりの遊園地は休日だったから思った以上に混んでいた。人が凄いねって言いながら一通り乗った私たちは遅めのランチをするために若干空いてきたお店に入って日替わりを頼んだ。ボッーとしていると急に
『栞 陸からは連絡あったんじゃないのか?』と大地に聞かれ連絡ないままだと答えるとビックリした様子でこちらを見ていた。
『俺が言うのも変だけど。俺駅前で陸を見かけたぞ。スーツ来てサラリーマンみたいだった。俺があいつを見間違うはずないから。』大地と陸は中学からの付き合いで いわゆる親友っていうやつだ。その大地が自信もって陸って言うのなら間違いないと思う。でも帰ってきてるなら どうして連絡してくれないのか。もしかしたら陸の中では私との恋は終わっていて他の恋をしてるのかもとか考えてたら悲しくなって泣きそうになった。