先日、道路に飛び出してきた猫をはねそうになった。
今までに動物をはねたことはないけど、道端の蛇を左前輪で轢いてしまったことがある。ウインナーがプチッとはじける様な感じだった。
飛び出してきた動物をはねてしまったらどのように対処したらいいのか、色々と調べてみた。
〇 野生動物をはねてしまった場合
ロードキル(道路上で起こる野生動物の死亡事故)も交通事故で、道路交通法第72条により、事故の発生を警察に通報する必要があります。
この時、ドライバーや同乗者が負傷、もしくはガードレール等の破損や後続車との衝突などが発生した場合は、併せてその旨も伝えます。
任意保険を使うには事故証明が必要となるため、警察には必ず通報しましょう。
道路交通法によると、動物を轢いた場合は物損事故という扱いになります。動物を轢いてしまい、死亡させてしまった場合でも基本的に罪に問われることはなく、減点や罰金などの罰則が科せられることもありません。
なお、事故後に警察への連絡を怠り「報告義務違反」となると違反の対象となりますので、必ず警察への連絡が必要です。
衝突した動物が生きている場合も死んでいる場合も素手で動物に触らないようし、警察の指示を仰ぎます。動物は道路管理者または自治体が処理します。
なお、高速道路等や幹線道路で轢かれた動物を発見したときは、二次事故防止のためにも、道路緊急ダイヤル「#9910」に連絡してください。
野生動物との衝突事故で車両が破損した場合は単独事故扱いとなります。自賠責保険では物損は補償対象外なので、車両の修理には任意保険の車両保険を使うことになります。
運転者や同乗者が負傷した場合は、人身傷害補償や搭乗者傷害で補償されます。対向車や歩行者に被害を発生させた場合も対物賠償責任保険や対人賠償責任保険などで補償されます。ただし契約内容によっては保険が使えない場合もあるので、詳細は保険会社に問合せてください。
〇 ペットの犬、猫などをはねてしまった場合
動物は、法律上「モノ」と判断されてしまうため、慰謝料は認められないのが原則です。
車道に飛び出してきたペットを轢いた場合、あくまでケースバイケースですが、運転者に過失が認められるケースはごく稀でしょう。
しかし、ペットが死亡・負傷したことで飼い主が「精神的被害」を被ったということで慰謝料、損害賠償請求が発生するケースがあります。その場合は慰謝料の金額は、飼い主が受けた精神的苦痛の程度やペットの購入時の金額、年齢等を加味した死亡時の時価、飼い主の過失割合が考慮された上で決定されます。
慰謝料が認められるか否かは、ペットとの関わり方など、様々な事情を総合的に判断して決められることになります。
ペットの治療費については、加害者の対物賠償保険から補償を受けることになります。賠償額がいくらになるかは事故の状況、飼育の状況などにより様々ですので、その場ですぐに賠償金を支払ったり、賠償の示談書を交わしたりする必要はありません。後日対応することを伝えて、連絡先を交換しておけばよいでしょう。
ペットをを轢いてしまったことで、自分の車両にダメージが及ぶケースがあります。むしろ飼い主に対して、ペットや家畜の管理不行き届きで道路交通の危険を発生させ事故を起こし運転者の車を汚した壊した、などとして修理費用を請求、損害賠償請求をすることが可能な場合もあります。
飼い主が責任を問われる場合は、犬がハーネスをつけずに公道を歩き回っていたようなケースや、ハーネスが長く伸びており、犬が自由に車道に出られる様な状態で車道に飛び出したようなケースでは、飼い主側の責任が大きいと判断される傾向にあります。いくらしつけられている犬であっても、外部の刺激によって予期せぬ行動をとる可能性があるため、飼い主側はハーネスをしっかりと掴み犬が車道に飛び出さないようにしなければならない訳です。
つまり、飼い主による犬の管理が行き届いていない状態であれば、自動車側の過失はゼロ、もしくは1割から2割程度になる可能性が高いといえるのです。
野生動物が相手の場合は動物には責任能力はないので修理費用は自己負担することとなってしまいますが、自動車保険に車両保険を付けていれば、そこから補償を受けることができます。動物との事故は自損事故・単独事故として扱われるのが一般的であるため、補償内容を限定したタイプの車両保険をセットしている場合は、補償されないことがありますので、保険会社に確認を取ってください。
原則として、交通事故においては、慰謝料は「人間が怪我をした、人間が死亡した」場合に請求可能です。
「モノ」が壊れた場合には慰謝料の請求が認められることはほとんどありません。
犬についての慰謝料が認められた事例はあるものの、数万円から30万円程度とそれほど高額な慰謝料は認められない傾向です。慰謝料が認められる場合は、その飼育年数や、自動車側の過失の大きさ等によってその金額が判断されます。犬が道路に飛び出したというように飼い主側の過失が大きい事例では、慰謝料自体が認められない可能性もあります。
ペットであっても急に道路に飛び出してきた場合はドライバーの責任は問われず、逆に飼い主の管理不行き届きを問われる場合もあるようです。
色んなケースが考えられますが、動物の命が亡くなったという事実は受け止め、お互いに誠実な対応が必要なんですね。