先日のかばん歌会に出詠した歌です。

ロックインシンドロームとは、閉じこめ症候群と訳される、
意識は元気な時と全く変わらないのに、
身体的自由をすべて奪われた症状のことです。

この言葉を知ったのは、
"Still waters run deep"(NewScientist 18 August 2007 P.42-43)
という論文で、脳科学者の茂木健一郎氏の講座での原書講読の教材としてでした。

この論文には、驚くべきことに、ロックインシンドローム患者の方が、
普通の健常者よりも幸福を感じているということが判明したという、
科学調査の結果が紹介されていたのです。
脳科学の発達によりロックインシンドロームの患者とのコミュニケーション
をとる技術が開発されて、彼らの意識を知ることができるようになったとのことでした。

ロックインシンドロームというのは、つまりは脳だけで生きているような状態ですので、
脳の環境適応能力のすごさがわかるというものです。
いかなる状況におかれても、脳は幸福を追求するのだということです。

そしてまた、幸福というのは、客観的な基準で他人が決めるものではなくて
あくまで本人の主観により決まるものだということがわかります。

このような解釈を、先の講座で発表したところ、障害児を出産する恐れから妊娠・出産を
ためらっていた女性から、考え方を改めるきっかけになりましたとの感想を頂きました。

こんな一連の体験を詠んだのが、冒頭の一首だったわけですが
歌会での受け止められ方は、全く逆の結果と成りました。
不幸な患者を知ることで、自身の幸福を確認する。
あるいは、我々自身がそもそも囚われの身であるという意味で、
患者と変わらないのでは、、、
という受け止められ方でした。

というわけで、この歌は大失敗作です。

歌会というのは、本当によい勉強になりますね。
歌会での歌評は、評者のため(自己表現)ではなく
出詠者のためにあるのですね。これも再確認しました。