タイムエンジニアリングにおける時間は、リードタイム分析により把握される。リードタイムは共通インターフェース・ルール1(注1)により離散確率分布に従って測定される。つまり、時間の長さを連続量で測定するのではなく、一定の時間長を持つ期の数で測定するのである。これが、タイムエンジニアリングの大きな特徴となっている。 このような考え方で、現実の在庫管理問題にタイムエンジニアリングの適用を進めていくとすぐに気がつくことのひとつに、期の捉え方がある。通常、期の長さは月、週、日、時というように物理的な時間の長さが一定の間隔で区切られる。しかし、生産・在庫管理問題を解くときの期は、必ずしも物理的に同じ長さである必要はない。例えば、半日単位の期を考えるときには、午前と午後では物理的な時間長さは異なることが多い。通常、午前は9時から12時までの3時間で、午後は13時から17時までの4時間となるからである。しかし、生産・在庫管理問題を考えるときに重要なのは期間内の入出荷回数であるので、これが同じになる場合は物理的な時間の長さは関係なくなる。生産数量や出荷数量は、供給量、需要量の変動として扱われることになるからである。また、小売店から生産工場や物流センターの稼働日を観測する場合には、小売店の稼働日ベースでカウントすることになる。小売店の休日は工場での時間の流れが止まって見えるような不思議な現象が観測されることになる。相対性理論における、観測者と非観測者の相対運動によってお互いの時間が進む早さが異なるという予言を、思い起こさせるような現象である。 このようなタイムエンジニアリングの適用過程で得られる、時間についての考察から、工学的時間論とでも呼ぶべき仮説が生まれた。


注1)IEレビュー誌 Vol.48 No.4 PP.53-59 参照