長かった授業もすべて終わり、小学生らしい元気な挨拶とともにみんないっせいに席を立つ。
ドッジボールをしに外へ出て行くもの、教室に残っておしゃべりするもの、早く家に帰ろうとランドセルを背負い足早に教室を出て行くもの…。
あっという間に静かになる教室に俊くんの姿も見えないことに気づき、毎週水曜日はドッジボールの日やから一緒に帰れんけんと言っていたことを思い出す。
僕も帰ろうと席を立った瞬間、教室に残った女子たちが愛恵ちゃんに話かける姿が見えた。
「かなえちゃん、今日暇?」
「うん」
「じゃあうちらと一緒に遊ばん?」
「ええの?」
「うん、むしろ大歓迎ばい。…誰か一緒に帰る人とかおると?」
ちら、とこちらを向いた愛恵ちゃんと目があい、途端にはねる心臓に、本当に病気にでもかかったっちゃろうかと不安になる。
ただ目があうだけで、言葉を交わすだけで、壊れたように激しく鳴りだす心臓。
今だってほら、ちょっと目があっただけでどうしようもなくドキドキして、心臓がはりさけそうで。
「ドッジボールまざってこよ!」
逃げるように、教室を飛び出した。