かわいくってステキな詩を紹介します
「 あほらしい唄 」
この川べりであなたと
ビールを飲んだ だからここは好きな店
七月のきれいな晩だった
あなたの坐った椅子はあれ でも三人だった
小さな提灯がいくつもともり けむっていて
あなたは楽しい冗談をばらまいた
二人の時にはお説教ばかり
荒々しいことはなんにもしないで
でもわかるの わたしには
あなたの深いまなざしが
早くわたしの心に橋を架けて
別の誰かに架けられないうちに
わたし ためらわずに渡る
あなたのところへ
そうしたらもう後へ戻れない
跳ね橋のようにして
ゴッホの絵にあった
アルル地方の素朴で明るい跳ね橋!
娘は誘惑されなくちゃいけないの
それもあなたのようなひとから
茨木のり子詩集 「 おんなのことば 」 より