新しく整備された街はとても綺麗で、立派な新築の家々や復興公営住宅が立ち並ぶ。
周囲と繋がりを持てるよう設計された復興住宅もあり、とても住み易そうで、本当に良かったなぁと思った。
でも、それも当事者ではない立場からの感想なのかも知れない。
交流してきた被災者の方々や、そのご近所さんと話をしていると、「新しい家=心の安らぎ」という訳ではないことにも気づかされた。
住み慣れた土地を離れ、知り合いのいない新しい街での暮らしは、震災の痛みを抱える方々にとって、より強く孤独を感じるものだったかもしれない。
年月が経つにつれ、支援金の終了や家賃の高騰なども、被災者たちを苦しめた。
「震災直後の時より辛い」という声を、何度か聞いた。
ある時、タクシーに乗ると、運転手さんがこんな事を言った。
「この街の人、みんな笑顔でしょ?あれ、作り笑いだから。自分もそうだけど、無理にでも笑ってないとやってられないの。」
もちろん、心からの笑顔で前を向いている人もいるかもしれない。でも、その一方で、一生懸命自分を奮い立たせ、抱えきれないものを抱えながら生きている人たちがいるという現実。
そういうのは、やっぱり、テレビに映る綺麗になった街の映像からは、わからないものだった。