遠くの町で災害が起きると、よく「何もできないけど、復興を祈ります」という声が巷にあふれる。

この「何もできない」ということは、ないと思っている。

何かしたいという思いが本気であれば、考えて探してみれば、できることは何かある。

どんな小さなことだっていいのだ。 

被害にあった地元の方々ですら、ボランティアの私たちに、寝る場所を提供してくださったり、貴重なお金でアイスクリームを差し入れてくださったり、温かい感謝の言葉をかけてくださったり…。

ボランティアの人たちに、何とかしてお礼を伝えたいという気持ちをたくさん頂いた。

想像を絶する悲しみに襲われた土地だからこそ、助け合おうとする人間同士の貴い気持ちは、驚くほど強く温かい力となって、あちこちに溢れていた。

初めて感じた、共に困難を乗り越えようとする結びつきの温かさ。ずっと心に残っている。


俳優の池松壮亮さんが、震災についてのインタビューで、こう語っていた。

「苦難のある人を前にして、やるべきことは、寄り添おうとする意思を持ち続けること」

本当にその通りだと思う。

寄り添う人の心は、想像以上に、誰かの心を明るく照らす。

だから、何年たっても忘れちゃいけないんだ。

東北で灯された、私の中にもある火は、いつでも誰かを照らせるように、これからも、消さない。