施設での見守り【看取りまで⑤】

 

14時頃、兄たちが帰りました。

一人になり、ふと

母の顔をこんなにじっくり見るのは初めてだ、と思いました。

 

素直になれなくて反抗したり

鬱陶しく思っていたこともあるし

歳をとってからも優しく出来ず

ほんとに親不孝な娘でした。

もう何も言わなくなった母に

優しくしても遅いよね・・

ごめんなさい。

 

夕方あたりから

だんだん様子が変わってきました。

手をあまり動かさなくなり

呼吸も静かになってきました。

ネットで調べると≪下顎呼吸≫になるとのこと。

時々、下あごを動かしてパクパクする感じになってきました。

これが≪下顎呼吸≫なのでしょうか。

 

介護士の方が2時間おきに体位交換に来てくださいます。

あと血圧や体温、サチュレーションを測りにきてくださいますが

熱以外は何度やっても測れません。

 

ずっと動かしていた右手の指先が冷たくなってきました。

 

20時半ごろ、兄たちから

これから向かいます、とのラインが入りました。

「はーい」と返事をし、

母の顔を眺めていたら

呼吸が少し乱れてきました。

 

口をギュッと結んでは

パーッと開き

元の呼吸に戻る

 

ん?どうした?

 

しばらくすると、

また口をギュッと結んでは

パーッと開き

元の呼吸に戻る

 

それを3回ほど繰り返して

動きが止まってしまいました。

 

えっ?えっ?

なに?

 

「おかあさん!おかあさん!」と体をゆすっても動きません。

呼吸が止まってしまいました・・

 

そろそろかも、と覚悟はしていたけど

目の当たりにすると

しかも一人の時に・・

動揺しました。

 

コールボタンで介護士さんにきてもらい

訪問診療の先生に連絡してもらいました。

 

1時間後ぐらいに兄たちが到着し

兄嫁は泣きながら入ってきました。

 

そして22時過ぎ

訪問診療の先生が到着し

死亡確認をしてもらいました。

 

2024年3月15日22時11分 

母永眠