昭和の頃には
佐渡島の舟小屋には
少なからず何個か
ガラス製の浮き玉(ビン玉)が
転がっていたと記憶している。
ロープで網目のように編んで
結ばれて床や舟の上に
置いてあった。
これは定置網や三枚網の浮き
に使われていた。
日本における漁具の浮き
明治そして大正の頃は
元々は木製の浮きを使っていた
その後
プラスチックの出現までガラス製が
小樽の製造所で生産していたらしい。
昨今は漁具ではなくインテリアと
して細々とつくっている
大きなものは直径50センチ
小さなものは10センチ程。
大きなガラスの中に
小さなビー玉がくっついている
覚えている方は相当観察力が鋭い。
ビー玉が当時どこで売っていたのか
たぶんムラのお祭りのとき
雑貨屋で買ったものだろう
その頃はビー玉よりは
ガラス製のおはじきが中心。
だからビー玉が欲しかった
ガラスを吹き上げる工程で
ビー玉を蓋代わりにして
ガラスを溶かして止めるんだろう。
日本海は何かというと
海が荒れる
佐渡ではその大波をノタと呼ぶ
ノタの後はいろんなものが
海岸に打ち上げられる。
流木などに交じって
多くの海藻
アラメ・カジメの類
神馬草
イゴ
ツルモなど
季節ごとにいろいろな海藻が
打ち上げられる。
時より小さな
ビン玉も打ち上げられて
どうしてもそのビー玉が
欲しくて海岸で割ったことがあるが
ビー玉はうまく取りさせない。
ゴム合羽と笠をかぶり
腰に篭を括り付けて
あねさんたち(推定年齢70歳)が
ノタ後に波打ち際に立って
松の枝を逆さにして
竹にくくりつけ
引っ掻き棒にして
波打ち際でまだ浜に上がってない
海藻の塊をひっかける
海岸に引き上げる。
そんな中に図鑑で見たことのある
まるでアンモナイトのような
へんてこな貝殻があった。
タコフネと呼ばれている
メスのタコが卵を守る目的で
貝殻をつくってそこに入って
海の表面で成長する
この貝はアオイガイの類だそうだ。
オスはどいうわけか
貝殻をつくることは出来ない
情けない
メスは強いねー!
白い殻は相当に珍しいものであるらしいが
拾ったときはタコが中で死んでいたので
気持ち悪くてすぐに捨ててしまった。
そうやって海で
浮きながら長い長い歴史の
中で生きるタコフネ。
今もたぶん
ノタの後には打ち上げられて
海岸にはあるんだろうなー。
今ではインテリアとして
ランプシェードなどで
重宝されているというが
雑貨屋さんでは目にしたことがない。