昭和30年代はまだ針葉樹
の植林が盛んな時代。
冬前になると植林を
した森には嫌なくさい
臭いが立ち込める
そんな記憶がある。
雪の訪れとともに
餌がなくなり
真っ白な生き物が
その木の新芽を食べてしまう。
そうどこにでもいる野兎
夏の毛から真っ白な
毛をまとう。
くさい臭いの正体は
魚やイカなどの腸等を
大きなカンに入れて置く
中で発酵を通り越し
腐敗の臭いがする。
それを藁につけて
針葉樹の根本に置く
敏感な嗅覚の野兎は
絶対近づかないてな具合です。
冬の間
人間さまは動物性タンパク質が少ない
外敵でもあるこの兎を遠ざけることをしながら
虎ばさみで捕獲もする。
いつの間にか納屋にきれいに皮を剥いだ
兎がぶら下がっている。
確か5歳ころの記憶である。
牛蒡がたくさん入った
「兎汁」だったと思う
いま流行りのジビエ料理を
その頃口にしていた。
リヨン料理のレストランでギャルソンを
していた時に食べたラパン(兎)。
シャンピニオンをデュクセルして
お腹に塗り紐で縛って
ローストしたもの。