(2) オキナワへの旅 6. 「集団自決」をめぐって | 地球一人旅

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  6. 「集団自決」をめぐって

 

 

 通常、虐殺事件に含まれないが、虐殺としか言いようのない事がある。

 沖縄戦における「集団自決」などと呼ばれている出来事がそれである。 

 沖縄の多くの人は、この「集団自決」という呼び方自体が問題だと言う。

  (実は、この呼び方は、他ならぬ日本軍が呼び、今の日本政府に引き継がれた呼び方なのだ)


 「集団自決」ではなく、内実は日本軍による「強制集団死」に他ならない。

 「集団自決」の名称は、本質を意図的にごまかすものだとの主張である。

 ( 明白な事で言えば、赤ちゃんが「自決」するはずなく、死に追いやられた事はまちがいない )

 


 かろうじて生き残った女性(金城ナヘ)の証言で、その実態をみていこう。 

 

 阿波連は、一日目の艦砲射撃で、焼け野が原になっていました。アメリカ軍は、阿波連から上陸するので、早く渡嘉敷の山へ逃げるようにと、私は小さい息子二人をせかして、追いかけられるようにして渡嘉敷に向かっていました。

 

 大粒の雨が、私たちの行く手をさえぎっていましたが、今、目の前に浮いている、山のような黒い軍艦から鬼畜の如き米兵が、とび出して来て、男は殺し、女は辱しめると思うと、私は気も狂わんばかりに、渡嘉敷山へ、かけ登っていきました。


 私たちが着いた時は、すでに渡嘉敷の人もいて、雑木林の中は、人いきれで、異様な雰囲気でした。上空には飛行機が飛び交い、こんな大勢の人なので、それと察知したのか、迫撃砲が、次第次第に、こちらに近づいてくるように、こだまする爆発音が大きくなってきていました。


 村長の音どで天皇陛下万才を唱和し、最後に別れの歌だといって「君が代」をみんなで歌いました。自決はこの時始まったのです。


 防衛隊の配った手榴弾を、私は、見様見まねで、発火させました。しかし、いくら、うったりたたいたりしてもいっこうに発火しない。渡嘉敷の人のグループでは、盛んにどかんどかんやっていました。


 迫撃砲はすぐそこで爆発した。自決しようとしている人たちを殺していた。若い者が、私の手から手榴弾を奪いとって、パカパカくり返えすのですが、私のときと同じです。


 とうとう、この若者は、手榴弾を分解して粉をとり出し、皆に分けてパクパク食べてしまいました。私も火薬は大勢の人を殺すから、猛毒に違いないと思って食べたのですが、それでもだめでした。私のそばで、若い娘が「渡嘉敷の人はみな死んだし、阿波連だけ生き残るのか-、誰か殺して-」とわめいていました。


 その時、私には「殺して-」という声には何か、そうだ、そうだと、早く私も殺してくれと呼びたくなるように共感の気持でした。


 意地のある男のいる世帯は早く死んだようでした。私はこの時になって、はじめて、出征していった夫の顔を思い出しました。夫が居たら、ひと思いに私は死ねたのにと、誰か殺してくれる人は居ないものかと左右に目をやった時です。


 私の頭部に一撃、クワのような大きな刃物を打ち込み、続けざまに、顔といわず頭といわず……。 目を開いて、私は私を殺す人を見ていたのですが、誰だったか、わかりません。そのあと死んでいった私の義兄だったかも知りません。私は、殺されて私の側に寝ている二人の息子に、雨がっぱをかぶせました。

 

 ( この後、本文では、彼女が死なずに生き残った事、そのため、親戚に迫害された事、米軍に「保護」された時の事、日本軍の村民殺害の事……等が、証言されている )

 

( 内閣府 沖縄戦関係資料閲覧室 証言集 慶良間諸島2 より抜粋 → ココ クリック )

 

 

 まず気づくのは、多くの手榴弾が配られていたという、明白な事実だ。

  (直接、軍が配らなくても、配った者が軍の意向を無視して軍需物資を住民に渡すはずがない) 

 

 「日本軍が関与した証拠はない」などという主張は全く意味をなさない。

 (集団自決が起きたすべての場所に日本軍が駐屯、いなかった島では集団自決が起きてない )

 

 しかも、両側の生き残った人たちの「証言」が、少なからずあるだ。

 それなのに、「軍が強制した証拠がない」と言い張る人たち。

 どういう神経をしているのか、理解に苦しむと言わざるを得ない。

 

 

 大江健三郎らの「集団自決裁判」判決で、軍の関与が認定されている。

 ( 2011年4月21日、最高裁で、原告らの上告が棄却、大江らの勝訴が、すでに確定している )

 

 「軍が深く関わったことは否定できず、総体としての軍の強制、命令と評価する見解もあり得る」

 

 さらに、「自決」賛美の洗脳が、日本軍・政府により、なされていたのだ。

 ( 沖縄でも、台湾・朝鮮と同様に、「皇民化教育」「同化教育」が、徹底的に行われていた)

 

 また、女性は投降したら、必ず強姦されるとの嘘を植え付けられていた。

 ( 男の場合は、拷問・生体実験・男根を切られる・耳や鼻を切られる等の噂が流布されていた )

 

 

 これらすべてをふまえ、「集団自決」は「強制集団死」との主張なわけだ。

 (命令がない場合も、日本軍に自決に誘導・追いやられたので、「総体としての強制」だと主張)

 

 

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      ( 「集団自決」 の事例一覧は ココ クリック )

 

  

 

 

( 「集団自決」の場所が荒らされ、説明板、遺品が破壊された 2017年9月13日 朝日新聞 )