京都市左京区の寺で飼われていた30匹以上の猫が住職の死去で残され、親族が新たな飼い主を探している。
公的機関に持ち込むと、原則的に殺処分が待つ。
飼い主の高齢化による「飼育放棄」はペットブームの陰で全国的な課題となっており、何らかの対策を求める声も聞かれる。
現在、寺の境内で残された猫の管理をしているアルバイト鍵谷碧さん(24)=左京区=によると、住職は今年1月に亡くなった。
住職の妻も高齢で以前から入所施設に入っており、猫の世話をしきれなくなった。
境内では20年以上前から猫を飼い始め、持ち込まれた捨て猫を「保健所では殺処分されてしまう」と住職が引き取ることも多かったという。
こうした経緯もあり鍵谷さんは「殺処分は避けたい」と新たな飼い主探しをすることにした。
残された猫のうち、健康状態が良い20匹の年齢などを記したチラシを大量に作り、知り合いを通じて市内の商店などに配り、飼い主を募集している。
「年を取った猫が多く、一緒に過ごせる期間は短いかもしれないが、残りの時間を温かく見守ってほしい」
問い合わせは、鍵谷さんの携帯電話090(5642)0803かメールy0721m-22@docomo.ne.jpまで。
■高齢化、全国で飼育放棄増加
岐阜大などが昨年、全国の保健所などを対象に行った調査では、犬の所有権放棄の理由として最も多いのが飼い主の死亡・病気・入院で26・3%。うち60代以上が56・3%を占め、5年前よりも増加しているという。
京都市家庭動物相談所(南区)でも、飼育放棄理由の最多は飼い主の高齢化や体調不良だ。
昨年9月に施行された改正動物愛護管理法では、動物が命を終えるまで適切に飼育することが飼い主の責務として明記され、同相談所でも高齢者に犬猫を譲渡する場合には次の飼い主のめどを確認している。
動物愛護団体「京都どうぶつあいごの会」(南区)の喜多村賢会長(53)は「ペット文化が広がった今、飼い主の都合で宙に浮いたペットを保護できる体制づくりを考えるべき」と話す。