家電 | 旧・スネコタンパコの「夏炉冬扇」物語

旧・スネコタンパコの「夏炉冬扇」物語

スネコタンパコの、見たり、聞いたり、読んだりした、無用のお話

 わたしは大型家電のほとんどをケーズデンキから購入している。小物はアマゾンが多い。

 ケーズデンキの最大の特徴は、ポイントではなく、現金値引きであることだ。電器屋のポイントは、利用範囲が狭まいし、放っておけば消滅してしまう。その点、現金値引きはその場で決済されるのだから、すっきりしていていい。企業にとっても、バランスシート上、ポイントは負債になるのだから、客をつなぎとめるという点を除けば、それほどいいこととは思えない。

 以前、アマゾンでカメラの防湿庫を購入したとき、2ヶ所にクレームがあった。物が結構大きく、品物が入っていたダンボールは開封のときにズタズタにしてしまっていたし、幸いに防湿という面では問題がなかったので、良とし、返品はしないことにした。しかし、これを契機に、大物に関しては、アマゾンでの購入は控えることにした。

 ケーズデンキを利用するきっかけとなったのは、もう10年以上も前になるが、エアコン購入のときのことだった。当時、ジャパネットがテレビで盛んにシャープのエアコンの安売りを喧伝していたので、その値段をメモしてケーズに赴き、営業担当と交渉すると、「うちはその機種のワンランク上の機種をジャパネットの価格よりも安く提供する。」というので、購入を決定した経緯があった。

 もう20年以上使い続けてきたフロア型のスピーカーのウーハーにカビが生えたのはずいぶん前のことで、最近になって、この取り付け部分が完全に破れてしまった。音は、出るには出るが、わたしの頭のようにぼやけており、総入れ歯を外してしゃべっているような音色なので、買い替えることにした。

 ケーズデンキ菖蒲店の懇意にしている販売員に電話すると、店頭にはもちろんないが、そのスピーカーは購入可能だという。あとは値段の交渉で、価格コムで最安値を確認、その価格からさらにポイント分を引き、そこからさらに値引きをしてもらい、価格コム最安値のさらに上をいく最安値で交渉成立。

 商品が届くのに2週間ほど要したが、その音に、ぼけた頭が目覚めた。20年の時はこれほどの音の進化をもたらしていたのだ。ならばと、最近、読み込みに時間がかかるようになってきたCDプレイヤーとアンプも替えることにした。これらは、20年以上前、スピーカーと同時に購入したものだが、アンプは、現在でも、全く故障箇所はなく、使用頻度は最も高かったにもかかわらず、相変わらずピュアな音を聴かせてくれていたことが新スピーカーで確認できた。しかし、この際、すべてを刷新し、最新の音を聴いてみたいという欲求が、よだれを垂らしながら、わたしの脳ミソの奥深く、大脳辺縁系あたりで、舌なめずりした。

 そこで再びケーズの販売員と価格交渉し、いつも通り、価格コム最安値以下の値段で話はまとまった。しかし、CDプレイヤーはすぐに届けることは可能だが、アンプは受注生産だという。メーカーに問い合わせると、いつになるか不明だけれども、それでもいいか、と云われたという。もちろん諾である。今まで使ってきたアンプとじっくり別れを惜しむいい機会ではないか。

 2カ月ほどして、ケーズの担当から、商品が到着した、と連絡がきた。そのとき、わたしは、ダメもとで、もう少し安くならないか食い下がってみた。なぜなら、この2ヶ月間で、このアンプの値段が下落していたからである。それでも、ケーズが申し込み時に提示した価格は、今の価格コム最安値よりも安かった。担当は、わたしが来るまでに、確認しておくという。

 菖蒲店に引き取りに行くと、担当は、10,000円値引いておきましたから、と快く減額しておいてくれた。契約時の値段を負けてくれるというのはそうそうないことなのではなかろうか。もちろん一筆書かされはしたが。それで、わたしは、おれはケーズと共に死ぬ覚悟だから、これからもよろしく、と担当に云っておいた。

 担当氏は、トヨタMR2なんていう、今では珍しい車に乗っている人なのだ。